音の魔女と土砂降りの鼓動 【詩】


懐かしい音に足を止めた


胸の底に落ちる雨音
「君の側に」と手を伸ばして

無垢の花を手折る雷鳴
折れた茎から始まるの

今、生まれ変わりの咆哮が彩る
祝福の宴

呼び覚まして あなたの横顔を追いかけた日々が
叩きつけて 私の心臓を震わせた指が
刻んだリズムは この夜に降り注ぐ
手放した涙をほどくように


新しい杖で円を描いた

腹の底で溜まる騒音
「君のように」と目を逸らして

冬の雲を払う黎明
触れた棘から溢れるの

今、崩れ落ちてく轟音が教える
土砂降りの鼓動

指し示して 私の道筋に輝いた月よ
解き明かして あなたの心臓を動かした星よ
結んだリボンは この風に舞い上がる
静謐の祈りが届くように


立ち尽くす 雨の中

杖を振る  雨の中

立ち尽くす 雨の中

杖を振る  雨の中

立ち尽くす


どうか どうか もう一度だけ
あなたの魔法で その雨音を聴かせてほしい













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