四季が体に刻む記憶
お昼のパスタを茹でようと火にかけたお鍋を覗き込んだ瞬間、
ガスコンロの熱ともわっと立ち昇る蒸気に、
冬の朝の点火直後のファンヒーターを思い出した。
粗塩を溶かそうと
お鍋の中をトングでくるくるとかき回していたら、
化学の実験で食塩水の入ったビーカーを
ガラス棒でかき回す情景がふっと浮かんだ。
洗濯物を干そうとベランダに出た時、
お日様は暖かいけれど風が少しひんやりする秋の朝に、
体育会に所属していた大学時代、シーズン終わりの、先輩が引退してしまった心細さと背筋が伸びる気持ちを思い出した。
***
普段思い出すこともないのに、
ふとした瞬間に五感が反応して思い出す記憶。
覚えていたのかと自分に驚きつつ、思わず1人微笑んでしまいます。
寒さと暖かさの振り幅が大きくて五感が敏感になるからなのか、この時期はそういう思い出との再会が多くなるような気がします。
四季があるからこそ、
記憶はより一層、体に刻まれやすくなるのかもしれませんね。
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