ワタシはといの猫である。
はじめまして、ワタシはとい(人間)の猫です。
名前も姿も非公表であります。
(以下、人間をヒトと呼称します。)
「とい」と名乗るそいつは、いつの頃からか我が家に転がり込んできました。すぐ居なくなるだろうと思っていたのですが、まだ居ます。そして、何故か「とい」は1日中家の中にいます。
どうやら休むのが下手くそすぎるらしく、常に誰に言われた訳でもなく何か手を動かしては、セカセカと動き回っています。
そのくせ、すぐに疲れるようで、ワタシからすれば何がしたいのか皆目分かりません。
一方、もう一人のヒトは朝早くどこかへ行き夜遅く帰宅します。こちらのヒトの暮らしは特に変わっていません。帰宅後は決まって、私の身体を持ち上げたり、撫でまわしたりします。
最も変わったのは、新入り「とい」と共有する時間が圧倒的に増えたことです。
当初は、女中のように、ワタシのご飯や飲み水の用意、トイレ掃除などをする為、ヒトなのかと思っていました。
ヒト用の食料の買い出しや洗濯、炊事、散歩などにも行っていたようです。(帰宅後の匂いを確認すればすぐに判ります。)
しかし、時折突然横になっては物体のように動かなくなるのです。(あれ?死んだのか)と思って顔の横まで近づくと、不思議と意識はあるようで、ぼーっとしながら涙を流したり、なにやら独り言を繰り返したりしていたりします。
何を言っているのかは理解できませんが、「ごめんなさい。すみません。ごめんなさい。申し訳ない」と言っているようです。
なんだか悲しそうなので隣で寝てやることにすると、「ありがとう」と言います。ありがとう、とはよく聞く音でいい意味なはずなのに、でもなぜか泣いています。
(こいつはなんなのだ?)
よく分からない生き物だなと思いながら、「とい」が寝落ちたのを見届けてお気に入りのキャットタワー最上階へ向かいます。ワタシは猫なので。
そうした日々が過ぎ、「とい」は徐々に外出するをしなくなりました。炊事も洗濯もほぼしません。ワタシのごはんと飲み水をかえることと寝ること、あとは細々とした作業をするようになりました。
シシュウ、アミモノ、ドクショとやらをしています。
「きちんと休むように」とイシャというヒトに言われたようです。しかし、それが最初から出来るヒトであれば、本来このような状態になるのでしょうか。
だから私は、1日2、3回、この新入り「とい」をガブリと噛んで寝る時間を教えてやるのです。「猫は休むものなのだ、」と伝わっているのかいないのか、新入りは先住のワタシのあとについてひとまず布団へもぐるのです。
その効果もあってか、「とい」はヒトのように見えるが、生活の実態はワタシのような猫属となりつつあります。しかしまぁ「猫とヒトの狭間にあるモノ」と思っていますが、全く新入りの世話をやくのも一苦労です。
「ほんとうに、この新入りは世話がやける。」
これまでに書いたことのない文章を書いてみたくなりました。byとい