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【スポーツビジネスお悩み相談】サッカークラブとの関係性作りや自社の顧客育成はどうすればいい??

スポーツビジネスやスポーツマネジメントを初心者向けに優しく解説するサイト、「ゼロからのスポーツビジネス入門」を運営している須賀優樹です。

普段は神奈川県の産業能率大学にてスポーツマネジメント分野の教員をしています。

今回は、サイトの読者の方から「取引先であるJリーグのサッカークラブと、何か協業して自社の商品販売や売上アップにつなげたいが、どうしたらいいか??」というご連絡を頂き、ご相談に乗らせていただきましたので、その内容をみなさんにも公開したいと思います!!

プロのスポーツチームやスポーツクラブとの関係性を作っていきたい企業の方や、自社の顧客育成などに悩みがあるような方の参考になれば嬉しいです!!

今回のご相談者

  • 今回のご相談者 : アパレル関連の会社を長年経営されているFさん(仮名)

  • 現在のご職業 : 会社経営者

  • ご相談日 : 2022/8/21

  • ご相談内容 : 取引先でもあるJリーグのとあるクラブと一緒に、商品開発などを進めていきたい。自社の商品の売上も落ちてきており、なかなか打開策がない状態になっている。このままだと事業の継続も困難になるため、なにかアドバイスが欲しい。

ご相談内容のまとめ

  • ① 最近、Jリーグのとあるクラブから試合のイベントで使用するグッズ制作の受注をもらった。そのグッズをきっかけに、自社の商品開発やマーケティングに活かしていきたいので、サポーターに対してアンケートを実施できないかどうか考えている。ただ、そういうことをやったことがないのでなにかアドバイスが欲しい。

  • ② 自社のECサイトで商品を販売しているが、顧客との関係が「1回」で終わってしまうことが多い。顧客数もそれほど多くなく、単価の低い商品がメインのため、採算を取るのが難しくなってきてしまっている。自社で「コミュニティ」のようなものを作ってマーケティングするのがよいのか、悩んでいる

須賀優樹からのアドバイスまとめ

①サッカークラブとの協業やアンケートについて

  • 既にFさんの会社との関係性があるJリーグのクラブとであれば、サポーターに対してアンケートを取ったりすることは難しくないのではないかと思う。

  • ただ、Fさんの会社にとってもサッカークラブにとってもメリットがあるようなアンケートの設計をしっかりと考える必要がある。

  • また、アンケートを「紙」で行うか「ネット上」で行うか、どのようにアンケートを配布するか、誰がアンケートを集めるのか、誰がアンケートを集計するのか、誰がアンケートの費用負担をするのか、など、調整しなければいけないことがかなり多くなる。そうした労力をかけてまでやるべきかどうかは慎重に判断したほうがよいと思う。

  • できることとしては2つあり、1つはサッカークラブとFさんの会社でお互いの課題感や目的などをしっかりと共有して、「アンケートをしたほうが良い」という共通の認識を作っていくことが必要。

  • もう1つは、自社で独自のアンケートを作成して、ネット上やTwitterなどのSNSで回答を集めてしまうという手がある。

  • サッカークラブとのアンケート企画を詰めていくのは時間や労力、資金がそれなりに必要と思われるため、それを待っているとなかなかデータを集めることができない。なので、サッカークラブとの関係性作りをやりながらも、自社でどんどんデータを集めていったほうがよい。自社で集めたデータを元にサッカークラブと課題の共有や、よりオフィシャルな感じでの大規模なアンケートを実施していくきっかけにできると思う。

② 自社の顧客との関係性作りについて

  • まずは、すでにECサイトを経由してFさんの会社の商品を買ってくれている顧客がいるのであれば、そうした顧客のデータを分析して、どういう人が何を買っているのかなどを理解していく必要がある。

  • 顧客データの分析をするときは、顧客を「優良顧客・一般顧客・休眠顧客」といったように、層別化していくと分析がしやすくなる。

  • その場合は、最低限「購入金額・購入数量・購入回数」という3つの軸を使って分析をしていくとよい。

  • 「コミュニティ」を作ること自体が大事なのではなく、商品を購入してくれた顧客との「関係性を維持する」ということがまず一番大事になってくる。

  • なので、まずは自社の「優良顧客」をしっかりと見つけ出して、その顧客に対してアンケートをしてみるとか、座談会のようなものを開いてみるなど、とにかくコミニケーションを取っていくことが大事になる。

  • 世の中にあらゆるモノがあふれている現代においては、顧客との関係性を作り上げていかないと、すぐに顧客は別の企業やブランドの商品にながれていってしまう。

  • うちは中小企業でリソースがないから、顧客からの要望を聞いてもそれを叶えることができないのでは?」という心配はしなくてよいと思う。顧客の要望を何でも叶えることが大事なのではなく、顧客に寄り添ってしっかりと顧客の生活や人生をサポートしていくという姿勢を見せることが大切になる。そうして「信頼関係」が顧客と生まれていけば、顧客はFさんの商品を選んでくれる可能性が高くなってくる。

  • むしろ、「うちの会社はリソースもない中でなんとか頑張ってます」という、ありのままの姿を顧客に見せてしまったほうが、顧客からすると安心感や親近感がわいて、応援したい気持ちになってくると思う。

  • 最初から強いチームを応援するより、弱いチームだからこそ応援したいという気持ちになるのと一緒。

  • まずは、自社にとって何を最優先するべきかを一度整理してみることが大事になる。サッカークラブとの関係性構築なのか、新商品の開発なのか、自社の既存顧客との関係性構築なのか、などなど。

アドバイスを受けてのFさんの感想

  • プロのサッカークラブと一緒に、サポーターに対してアンケートを取っていくといったことは、できないのではないかと消極的になってしまっている部分があったが、とても前向きになれました!

  • サッカークラブとの関係性はまだまだこれから深めていける余地があるので、担当者の方と少しずつコミニケーションを取っていきたいと思いました!

  • サッカークラブとの共同での「アンケート」については、事前に検討するべきことが多いと改めて気づいたため、本当にやるべきかどうかはよく考えたい。

  • 自社の売上アップや事業拡大については、「コミュニティを作らなければいけないのではないか」という考えに囚われていた部分がありました。須賀さんとのお話の中で、大事なのは「コミュニティ作り」というよりは「顧客との関係性をいかにつくるか」ということを理解し、そのために手持ちのデータなどをまずは分析してみたいと思いました!

おわりに ~「目的」をしっかりと決めるところから~

最後までお読みいただきありがとうございます!

今回のFさんは、会社の経営者として長年ご活躍され、プロのサッカークラブからグッズ制作の受注を受けるなど、とても信頼の厚い企業を経営されていらっしゃいます。

ですが、これまではどちらかというと「B to B」で「法人向け」の事業をされてきていることや、業界のデジタル化などの影響で事業が不安定になってきており、一般消費者との接点や、一般消費者向けの商品・サービスなどをこれから充実させなければ将来性が難しくなってきているという課題を持っていらっしゃいます。

なおかつ、かなりの少人数で会社経営をされていることから、なかなか新しいことに調整するリソースやパワーが足りないという課題もあります。

そうした中で大切になってくることは、まずは「自社として何を果たすべきか」という「ビジョン」をこれまで以上に明確にしていくことと、1つ1つの事業や商品開発、その他様々な施策に対しての「目的」を明確にしていくことに尽きます。

どうしても世間で流行している「SNSマーケティング」や「コミュニティマーケティング」といったようなバズワードに流されて、「ウチもコミュニティを作らなければいけない!」というように、焦ってしまう場合もあるかと思いますが、「自社として果たすべきことは何か」を常に念頭に置いておけば、それらはあくまで「手段」でしかないということに気づけると思います。

Jリーグとのクラブとのコラボレーション、とても夢のあるビジネスですよね。

これからもFさんとFさんの事業を応援していきたいと思います!

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