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鳥の音楽・故郷の自然を歌う【クラシックピアノを聴いて感性を磨く】


こんにちは!yukiです。

今日は、
「クラシックピアノを聴いて感性を磨く」
シリーズの10回目。

クラシックに馴染みのない方も、
気軽に楽しめるように書いていきます!

今回のテーマは、鳥の音楽

「へ? 鳥?」

という心の声が聞こえてきそうですが…汗

鳥に関連するクラシック作品って、
けっこうたくさんあるんです!

繊細な美しさをもった、
愛らしい小品を紹介しますね。

それでは、どうぞ!


前奏曲 Op.32−5


さっそく作品を紹介しますね。
3分程度の小さな作品です。

ラフマニノフ作曲、
前奏曲 Op.32−5」です。
(とっつきにくい名前ですよね笑)


夢の中のようですよね…!

遠くの方から聞こえてくる、
歌うようなメロディー
そこに現れる鳥の声

のどかな雰囲気の一方、
道のわからない森を歩いているような
かげりや不安も感じます。

グラデーションのように移り変わる響きが、
美しすぎますね。

演奏するリシッツァさんの脱力も凄まじい!笑



鳥の声
は、
どの部分だか分かりましたか?

曲が始まってすぐに現れる、
細かい音が連続している部分が
鳥の鳴き声なのだそうです。

中盤と最後のトリル(2音を交互に素早く鳴らすこと)も、
鳥みたいな感じがしますよね!

曲のほとんどが弱音ですが、
実はピアノでは、弱音域のほうが
表現の幅はずっと広いのです。


ちなみに“前奏曲”は、
“プレリュード”と呼ばれます。

自由に作られた短い曲
だと思っていただいて良いでしょう。

もともとは、“前奏”という名のとおり、
メインへの導入音楽だったようですが、
やがて独立曲となりました。

もうひとつ、
タイトルの“Op”とは“Opusオーパス”の略で、
“作品番号”という意味。

つまり、この曲は、
作品32番の5曲目ということになります。

自然を愛したラフマニノフ


ラフマニノフは、
ロシアの貴族の家に生まれました。

ロシアに住んでいたころは、
春夏には自然豊かな別荘で過ごしながら
作曲をしていたそうです。

別荘の庭で作曲するラフマニノフ
引用元サイト

「前奏曲 Op.32−5」も、
1910年の夏に別荘で書かれた作品。

というか、
ラフマニノフの作品の大半は、
この別荘で書かれたのだそう。

25年以上にわたって
別荘での作曲活動を続けたそうですが、
やがてその生活にも終わりが訪れました。

ロシア革命によって、
貴族である彼や家族に危険が迫り、
亡命を余儀なくされたのです。

そして、海を越え、
遠いアメリカに住むことになります。


ラフマニノフは、祖国を出てから、
ほとんど作曲ができませんでした。

友人に、

「なぜ作曲しないんだ?」

と聞かれると、
次のように答えたそうです。

「私はもう何年もの間、
 ライ麦畑のささやきも
 白樺のざわめきも
 聞いていない…」

ロシアの自然からインスピレーションを
得られなくなってしまったうえ、
音楽ビジネスで“消費”されていく日々。

ラフマニノフは、
祖国と、故郷の自然を深く愛していたので、
ロシアを離れざるを得なかったことは
想像を絶する悲しみだったのでしょうね…

彼は後に、スイスに別荘を建てたそうで、
そこはかつてのロシアの別荘に
よく似ているのだそうです。

新しく作曲はできなかったものの、
かつて作った曲の演奏は続けました。

「前奏曲 Op.32−5」はお気に入りだったそうで、
ラフマニノフ本人による録音も残っています。


異空間へ連れていかれるような本曲。

ぜひ、気分転換したいときに、
聴いてみてくださいね。




最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

それでは、今日も良い1日を!



(今回のカバー写真は、
 苗場山の森でした!)



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