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赤い町、赤い衣【チベット旅行記4】

こんにちは!yukiです。

今日は、
標高4000mの高地にあるチベット僧院
を訪れたときのお話をしますね。

僧院の名前は、ラルンガルゴンパ

立ち並ぶ家々も、道ゆく僧侶の衣も、
目に入るのは赤色ばかり。

「こんな場所があるなんて…」と、唖然としてしまう光景でした。

観光地ではなく、
見たことがない方も多いと思うので、
写真多めにしました。

それでは、どうぞ!


ラルンガルゴンパへの道


ちょっとだけ、移動のことをお話ししますね。

チベットで移動する時間って、とても楽しいのです。

車窓から見える景色は、次々と移り変わっていきます。

どこまでも広がる草原、
雪を抱いた険しい山々、
パッチワークのように美しい畑、
おとぎ話に出てきそうな、装飾が施された可愛い家…

一緒に乗るお客さんとの出会いも楽しいです。

田舎だと大きなバスは走っておらず、
ワゴン車や乗用車をシェアするので、
自然と交流が生まれます。

今回のテーマであるラルンガルゴンパに行くには、
まず最寄りのセルタ(色達)という町に行く必要がありました。

セルタへ向かう車のお客さんは、尼僧さんばかり。

走り始めるや、
隣に座っている40代くらいの尼僧さんは、
肉まんっぽい食べ物をくれました。

そして「これもどうぞ」ってひまわりの種をいただき、
不器用に殻をむきながら彼女の方を見ると…
信じられない速度で、片手で食べてる笑
あの技、教えてもらえばよかったです。
何度も何度も、ひまわりの種をいただいてしまいました。

前に座っている2人の若い尼僧さんは、
ときどき振り返って、優しくほほえんでくれます。
辛いお菓子やパック詰めされた漬物をくれて、
すごく感じの良い方たち。

途中から皆さんお休みになってました。

山間部の峠に差しかかったとき、
若い男性のお客さんが「車を停めて!」と言います。

そして、お経が書かれた紙をバラ撒きながら祈っていました。
神聖な場所なんでしょうね。

やがて車はセルタに到着し、
皆さんに感謝して、笑顔でお別れ。

純粋な心で優しくしてくれる人が多くて、
本当に心があたたまるなあ…。

イーバ、タンニャとの出会い


セルタで、ラルンガルゴンパに行く車へ乗り換えます。

お客さんは僧侶ばかりでしたが、
2人の女性旅行者も乗っていました。

旅行者同士、自然と会話になります。

2人は中国人でした。
ドレッドヘアに黄色いバンダナを巻いた明るそうなイーバ
長い黒髪の穏やかそうなタンニャ

「え、日本人?!
 こんなところに来るなんて珍しいね。
 実は私、日本の
 アニメとマンガ大好きなんだ!
 宮崎駿が好きなんだよねー。
 千と千尋とか、もののけ姫が最高!」

と、イーバは嬉しそうに語ります。

タンニャも、

「私も、日本のアニメとマンガよく見てるのよ!
 特にワンピースとコナンと犬夜叉が好き!」

そして、覚えている日本語のセリフを
いろいろ披露してくれました。
日本のアニメやマンガの影響力って、すごいですね!

イーバとタンニャは、
昨日すでにラルンガルゴンパを訪れていました。
宿はセルタに取っていて、往復しているのだそう。

「本当すごい場所だよ!
 あの景色見たら、びっくりすると思うよ〜」
と笑います。

車が進むにつれて、なだらかに連なる丘の間に、
チラッと“赤いなにか”が見えました。

車はそちらに走っていきます。
“赤いなにか”がどんどん近づいてきて、それが家だと分かってきました。

ラルンガルゴンパを歩く


そして、ラルンガルゴンパの入り口に到着。

車を降りて目に入ってきたのは、こんな景色でした。

「うわっ、なにこれ?!」
と開いた口が塞がりません。

丘の斜面を覆うように、びっしり建てられた赤い家。

驚いている僕を見て、
イーバとタンニャは楽しそうです。

「ところで、昨日知り合った僧侶が、
 今夜の集会に誘ってくれたんだけど、
 良かったら一緒にどう?」

と誘ってくれたので、

「えー本当に?ぜひ行きたい!」

とご一緒させてもらうことに。

そして、
せっかくだから昼間も一緒に見て回ろう、
ということになりました。

町の入り口から坂を登っていき、中心部へ進みます。

いやあ本当に赤い…

気になった大きな建物に入ってみると、
建物の内部もまたカラフルな空間。

部屋の中にいた僧侶が手招きしてくれて、
参拝させてもらえました。

まさかのイルミネーション笑

チベット仏教って、
派手なものがけっこうあるんですよね。

金ピカの像とか、
お城みたいなお寺とか、
極彩の曼荼羅(マンダラ)とか。

次は、
丘の上の眺めが良いところに行こう!
ということになり、坂を登っていきます。

このあたりの標高は4000m程度。
酸素が薄いので、身体を動かすと、
すぐに息切れしてしまいます。

途中、イーバとタンニャが、
道ゆく僧侶に尋ねてホテルを見つけてくれました。
チェックインの時も翻訳してくれて、助かります!

丘に登ると、僧院がある谷間の外には
草原が広がっているのが分かります。

「ねえ、これ食べよう!」
と、イーバが売店にある
スイカを見つけて言いました。

一切れずつ買って、
食べながらゆっくり丘を登っていきます。

日差しが強いので、
爽やかな甘さのスイカは最高!

そして、僧院を見渡せる丘の上につきました。

本当にすごい景色ですよね!

昨日は天気が微妙だったらしく、
イーバとタンニャも大喜びでした。

心ゆくまで写真撮り合ってから、
町の中心部へ戻ります。

途中、同じ方向に歩いている僧侶のグループに
イーバが声をかけ、仲良くなって
一緒に丘を下っていきます。

中心にある広場まで下りると、
そこでは問答修行が行われていました。

立っている方が、
両手を打ち鳴らしながら質問を投げかける。

それに座っている方が答えていく、
という感じです。

学んでいること、
疑問を感じていることなどについて、
議論し合う場なのだといいます。

夕飯を取ろうとしたところ、
なにやら男性用と女性用の食堂があるとのこと。

しかし僧侶ではないので、聞いてみたら、
あっさり3人で食べられました。

僧侶はお肉を食べないので、メニューは野菜のみ。
チベット料理は優しい味で大好きです。

食堂を出ると、
タンニャと連絡を取り合っていた
僧侶が迎えに来てくれました。

そして、集会へ連れて行ってもらいます。

男女が布の仕切りで分けられているので、
分かれて会場へ入ります。

読経が始まると、
会場は凄まじいエネルギーで満たされます。
ビリビリと空気が振動する、圧倒的なエネルギー。

読経が終わり、
高座にいるリンポチェ(高僧)の法話が始まります。

近くの僧侶が、
「見ますか?」
って経本を貸してくれて見てみたのですが、
チベット語と中国語だけなので全然わからず汗

法話で何を仰っているか分かりませんでしたが、
そのあたたかい声の響きに、心が安らぎました。

集会が終わり、外でイーバとタンニャに合流します。

「法話の内容、分かった?」

と聞くと、

「中国語もあったけど、
 4割くらいしか分からなかったな。
 輪廻の話をしてたよ。」

とのこと。

辺りはすっかり真っ暗で、2人はこれからセルタに帰ります。

町の入り口まで送っていくと、すぐ車が見つかりました。

「あとで写真送るからね!」

握手して、お別れ。

イーバとタンニャに出会えたおかげで、
最高の一日を過ごすことができました。

すごいものを見たとき、
その場で感情を共有できる喜びは、
やはり何にも代え難いものだと思います。

本当にありがとう!

朝日の中で


イーバとタンニャを見送った翌朝。

冷たい空気の中、
僕は、昨日3人で写真を撮り合っていた丘の上にいました。

朝日を浴びるラルンガルゴンパは、
それはそれは美しい光景でした。

出会いと別れ。

喜びも、切なさも、すべて旅の醍醐味です。

切なさとか寂しさって、
実は、マイナスの感情ではありません。

過去の経験と結びつけて
マイナスにしてしまうだけ。

切なさや寂しさは、美しい感情だと思っています。

夏の終わりを感じた日のような、
秋の夕暮れに冬の香りがしたときのような、
「もののあはれ」という表現がぴったりの、
澄み切った感情。

そして、
穏やかな気持ちで心を開いていれば、
また素敵なご縁はやってきます。

“旅は人生の縮図”といわれるのは、
こういったところにあるのかもしれませんね。



最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!

それでは、今日も良い1日を!



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