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第64回 今やらなくちゃいけないのは「チームを組むこと」であり、吸収合併だ!

一人じゃ勝てないことを受け入れないとヤバイ

仕事柄、日本と海外(主にアメリカ)の創作物をゼロ距離で見る機会が多いのですが、トップクリエイター達は「強い作品を生み出す最新の工場」を完成させ、工場生産でヒット作を量産している一方で、泡沫クリエイター達は今日も自力(手作業)で作品を生み出しています。

今のやり方を続ける以上、もう、この差は埋まらないどころか、開く一方。

僕はよく「キミの世界観には誰も興味がないんだよ」と身も蓋もないことを言っていますが、その思いは日に日に(世界を見れば見るほど)強くなっています。 #10年前とはワケが違う

致命的なのは、多くのクリエイターが「組まなきゃ(チームで戦わなきゃ)無理な時代に入った」ということを受け入れていないこと。

『銃』の時代どころか、『ドローン爆撃機』の時代に入っているのに、日本人クリエイターは今日もせっせと『刀』を研いでいます。 #話にならん

傍から見る限り、絶対に勝てないし、恐ろしい事に本人も「自分は(自分のやり方じゃ)、行きたいところまでは行けない」と薄ら気がついている。
少なくとも「世界で活躍できるクリエイターにはなれない」と気がついている。

だけど、それを口にすると、自分のプライドやメンツの類が崩れそうだから、なるべく「世界(海外)」は見ないようにして、仲間内で集まって、客席を身内で埋めて、誤魔化すように活動を続けている。

仲間達とは「自分達の作ったものは最高だ!」と讃え合うが、世界基準で見た時に、自分達の打ち上げた花火が小さいこともさすがに気づいている。口にはしないけども。

厳しい話をすると、たとえばあなたがアクセサリー作家だとして、あなたが思う「オシャレなアクセサリー」を作ったところで、残念だけど食っていくことはできない。
身内が「付き合い」で買って終わり。

「オシャレ」だけでは差別化が図れないから、そのアクセサリーに、あなたが考えた「オリジナルストーリー」をのせたところで、結果は同じ。

相手(大手)は、もともと認知度や信用がある上に、完全分業でアクセサリーを製作していて、「美術」のトップランナーも、「ストーリー」のトップランナーも、しっかりとヘッドハンティングしている。
あなたが一人で活動する限り、あなたに勝ち目はない。
厳しいけど、これが現実だ。

CHIMNEY TOWNでインターンを取るようになってから、後輩達には「上手く、あやかれ」と伝えています。

世界で戦うのなら、尚更。

今から「ゼロ→1」をやったところで、とてもじゃないけど間に合わない。
クリエイターは特に「私の世界」を表現したい人達だから、受け入れ難いかもしれない。

だけど、今やらなくちゃいけないのは「チームを組むこと」であり、吸収合併だ。
特に、同じ時代、同じ地域に、「あやかれるコンテンツ」があるのなら、こんな幸運は無い。
全力でしがみついた方がイイ。
勘違いしちゃいけない。
「チームを組むこと」は、
「チームの為に個性(自分)を殺すこと」じゃない。
「自分の個性をチームに落とし込むこと」だ。

チームビルディングのコーチ的に言うと、求められているのは「同質性を軸にしたチームワーク」ではなくて「異質性を軸にしたチームワーク」だ。
一人一人の個性はバラバラでいい。

だけど、チームに絡めることが重要だ。

『映画 えんとつ町のプペル』の美術チーフの佐藤さんが、どんな美術をあげてくるのか?
『映画 えんとつ町のプペル』のキャラクターデザインの福島さんが、どんなキャラクターをあげてくるのか?

それらを僕はまだ知らないし、打ち合わせでは「私的には、こっちに持っていきたいんですよねぇ」とシッカリとしたワガママをぶつけられる(笑)。

だけど、彼らの才能は「チーム」に落とし込まれる。
「いや、私、世界で戦うつもりはないから」という考えもあるだろう。
だが、韓国のコンテンツが、あなたの家のリビング(あなたの活動領域)にも届いているハズで、もう見て見ぬフリはできない。

もう誤魔化しきれない。逃げきれない。
生き残りたければ、一人で戦わず、ちゃんと組んだ方がいい。

「御チームに私を入れれば、御チームはこれだけ強くなりますよ」と、ちゃんと自分を売り込んだ方がいいと思います。
最後通告ぐらいの勢いっす。
現場からは以上です。

西野亮廣

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