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Day4 駐在備忘録 家探し

少し前に、アメリカで州を跨ぐ引っ越しをしました。
実はアメリカでの引っ越しはこれで3回目。
毎度色んなことが起きるので、備忘録として残しておくことにしました。
長いので家探しと実際の引っ越し作業に分けて書きます。


私が3回の引っ越しで学んだこと

今の自分から当時の自分にアドバイスするとしたら、以下の5つをあげます。

①自分や家族が住居にどんなこだわりがあるか認識しておく
②管理部門のマネージャーに住居選定条件を細かく確認する
③家族含めて諸条件を整理し、優先順位を決める
④部屋は内見する。周辺環境も時間帯を変えて見る
⑤気になる物件は一定期間観測する

初めての引っ越し: とりあえずの家探し

安全で安心だけど最低限の家

2019年にニューヨーク駐在が決まって、まずビザのために住所を設定する必要がありました。
最初は単身だったので、会社でサービスアパートを1ヶ月半くらい契約し、その後自分で家を選ぶという段取りになっていました。
サービスアパートは、会社の管理部門のマネージャーが日系のエージェントに頼んでいて、住所と部屋のタイプ、据え置きの家具しかわからないまま渡米しました。
正直、1ヶ月半しか住まないし問題ないと思っていました。
また、ビザ取得の際にトラブルが続き、家のことまで細かく見ている暇がなかったのです。

でも、それは間違いでした。

アメリカ生活が始まるとうきうきしていた私が、エージェントに鍵をもらって案内されたのは、半地下のStudio(日本でいう1K)。
窓はあるものの、日中も真っ暗で電気は必須
窓から街を歩く人の足が見え、人通りや車通りが激しく、昼も夜もとてもうるさかったです
実は、管理部門のマネージャーはサービスアパート選びをエージェントに丸投げしていて、どんな部屋が選ばれたのか知らなかったそうです。
閉塞感のある部屋で、部屋にいると気が滅入るので、とりあえず次の引っ越し先をできるだけ早く決めるモチベーションにはなりました。
その後、会社の先輩が住んでいるアパートを紹介してもらい、決めうちの部屋でしたが内見の上申し込みをしました。

家選びの大前提として、こだわりがない人は誰かに丸投げするのが一番です。
駐在の場合、日系のエージェントと契約していることも多く、彼らは日本企業が気にするポイントを理解しているので、条件さえ送れば良い感じの物件をピックアップしてくれます。危険なエリアや、やばそうな物件は紹介しません。
ただし、家賃が高かったり、候補が限定的だったり、融通がきかなかったりします。
私がそうだったように、家にこだわりがある人はエージェントに丸投げが最適解にはならないケースもあります。
自分自身の家のこだわりポイントや、過去住んだ部屋で気に入っていたポイントを認識し直しておくと、エージェントに頼る場合でも自分で探す場合でも、後工程がスムーズです。

また、内見はやれるなら、サボらずにやっておいた方がいいです。
特に家にいるのが好きなタイプの人や、環境が変わるストレスに弱い人は、駐在前に自分の目で見て確かめると愛着も沸き、ここで生きていく覚悟みたいなものが決まります。
住む場所を指定されている場合でも、内見や管理会社が公開している部屋の3Dモデル、部屋のビデオを見てイメージしておく(けれど過度な期待はしない)と、現地での生活がより現実的になっていくと思います。

二回目の引っ越し: より条件のあう家探し

理想と条件を突き詰め見ずに決めた家

あんなに必死に選んだアパートは、パンデミックにより一時帰国を余儀なくされ、1年も住むことはできませんでした。
家族の住んでいる家に戻りましたが、私の生活空間はそこにありません。
在宅勤務が必要だったので、より広い家を求めて一時帰国中も近所で引っ越ししたりしました。(日本の引っ越しはとても楽!)

パンデミックが落ち着きはじめた2021年に、今度は家族を帯同しての再渡米が決まりました。
家族のビザ手続きや自分のビザ更新もありつつ、家探しを日本から進めました。
まだ簡単に日本⇔アメリカ行き来ができなかったので、今回も物件候補選定はエージェントに頼りました。
ただ、自分でも部屋探しのサイトを見たりして、広さや相場観の理解を深めたので、満足できる部屋を選ぶことに繋がったと思います。
前回の教訓を活かし、予め管理部門のマネージャーと詳しく住居規定について確認し、必須条件を具体的にエージェントに伝えたおかげか、物件候補は広く出てきました。
オンライン内見対応もしてもらえたのですが、見た部屋と同じ間取りの違う階の部屋を勧められ、引っ越し当日に部屋に入るまでどんな状態かわからず、ドキドキしていました。
同じアパートでも部屋ごとに内装が違ったり、状態が違うことは結構あるあるなので、今なら怖くてできません。
内見で実際住む部屋が見れないというのもあるあるなので、本当にここの部分は運だと感じます。

また、この時最も大変だったのは、家族と自分の感覚や考え方を擦り合わせることでした。
私は短いながらニューヨークに住んでいたことがあり、各エリアの特徴や雰囲気がある程度わかっていました。
ニューヨークでの引っ越しが想像以上に大変なことも。
家族はそのあたりの知見がなく、日本にいる感覚で引っ越しを考えていたと思います。
また、初めての帯同で、私が主導してやってくれるという感覚もあったのかもしれません。
私一人で全て対応するのは無理だったので、今後の生活を自分たちで作り上げるために、家族にも色んな意思決定に入ってもらう必要がありました。
そのために、渡航前後でいつまでに何をやるのか、どんなイベントやトラブルが起こりえるのか、困った時にお金で解決するか、自分たちの労力や時間で解決するのかを話す時間を積極的にとりました。
家族からすれば、新天地での生活を色々楽しみにしているところに現実を突きつけ、脅してくる私は嫌なやつだったと思います。
ただ、私の持つ引っ越しへの緊張感が少し伝わったのか、そこから家族は協力的かつ自立的に行動してくれるようになり、精神的にも肉体的にも大変助かりました。

こうして選んだ家は、ちょっと買い物が不便で、交通のアクセスがよくないことを引き換えに、ニューヨーク市内とは思えないくらい静かで安全で穏やかな生活を送ることができました。
その後、更新時の家賃高騰やニューヨーク市内の治安悪化、あてにしていた最寄りの地下鉄が使えなくなるなどの出来事がありましたが、総じて素晴らしい経験ができたあの家に感謝しています。

三回目の引っ越し: 一から始める家探し

東と西で違う環境の中、探し出した家

2024年年始に事務所が西海岸に移転することが決まり、ニューヨークを離れることになりました。
東から西への大移動ですが、同じアメリカ国内かつ日本人の多い都市部であり、家族もアメリカの理不尽さや大変さに慣れつつあり、本引っ越しまでに数回引っ越し先を訪問する予定だったので、正直過去二回の引っ越しほど苦労するとは思えませんでした。

そうです、フラグです。
これも大きな間違いでした。

まず、時期が最悪でした。
2-4月は駐在員の出入りが最も激しい時期です。
日系のエージェント、引っ越し業者は繁忙期で、部屋の候補や引っ越し見積もりに関する連絡が全然返ってこなかったり、ギリギリまでキャンセルで枠が開くのをを待つ必要があったり、ひたすらハラハラしました。
完全にアンコントロールな理由で自分のせいではないため、どうにでもなれと開き直れていたら、また違っていたかもしれません。
日系の業者さんにお世話になるなら、繁忙期(1-4月と7-10月)は避けた方がよいです。
この時期に当たってしまった場合、サービスに満足できない点があっても、仕方のない時期だと諦めた方がいいかもしれません。

また、東と西では、家の内見申し込みから契約方法まであらゆることが少しずつ違いました。
小さな差ではあるものの、今までの常識と違うことが続くので何が正しいのかわからず、地味にストレスでした。

特に違った点としては、以下の3つです。

①リーシングオフィス(賃貸契約の管轄オフィス)と担当者の有無
ニューヨークで駐在員が借りるアパートには、ほぼ必ず建物内にリーシングオフィスと呼ばれる賃貸関係を取り扱うオフィスがあり、担当者が常駐しています。
その担当者が内見対応したり、申し込みや契約、家賃の交渉もします。
部屋の更新や退去手続きもです。
そのため、ふらっとリーシングオフィスに立ち寄って、内見予約やモデルルームを見せてもらうこともできたりします。
LA近郊で家を探し始めた当初、リーシングオフィスが敷地内にない、あっても担当者が常駐していない物件が結構ありました。
内見したい場合は、電話やメールでの予約が必須ですし、内見できる時間枠が少なかったです。
その割に内見に時間がかかるので、1日に回れる物件数が限られてしまいます。
かなり絞り込んで見たものの時間が足りず、もう少し予約をもったスケジュールを組むべきでした。

②契約のドラフトを確認するタイミング
ニューヨークの場合、部屋の申し込みをしたタイミングで即契約のドラフトがもらえ、読み込むことができました。
契約の主な条項もリーシングオフィスの担当者が内見時に説明してくれました。
カリフォルニアの場合は、内見有無に関わらずオンラインで申し込みができ、契約は後から出てきます。
内見時に細かい内容を担当者に聞くこともできますが、建物の管理者が案内を担当することも多いので、聞いてもわからないからリーシング担当に連絡するよう言われることもありました。
私自身は、契約内容を確認する前に費用を払って申し込みすることに非常に怯えていましたが、西海岸のエージェントさんには当たり前のことだったようなので、西海岸はゆるめの雰囲気なのかもしれません。

③家賃の変動
引っ越しが決まってから、LA近郊物件の相場観を知るべく、以前のように不動産サイトで物件情報を毎日見ていました。
これは本当に驚いたのですが、同じ物件の同じ部屋でも日々家賃が変動します。
最初から気になっていたいくつかの物件については2週間くらい家賃を観測してグラフをつけていました。
だいたい50-500ドル/月くらい変わるのですが、その理由は未だにわかりません。
また、ネット上にオープンに掲載されている価格よりも、担当者のいう価格や申し込みサイトに表示される金額が優先されるので、油断せずに再度確認する必要があります。
我が家の場合は、内見時から10日くらい様子見して、最終的に200ドル下がった時点で申し込みしました。
気に入った部屋があって、予算内の価格ならすぐ申し込みを進めてもいいかもしれませんが、予算を少しオーバーするような物件は定点観測していたら価格が下がるタイミングがくるかもしれません。

最終的に選んだのは、ニューヨークの1.5倍くらい広くて、会社から近いけれど、築30年超えで車上荒らし頻発注意エリアにあるアパートでした。
今の所は不自由なく暮らしていますが、引っ越し決定から引っ越すまで2ヶ月なかったり、エージェントと揉めたり、申し込み予定の部屋が取られて別の物件にギリギリで切り替えたり、東から西への引っ越しが一番大変だったと思います。
もう、アメリカの中では引っ越ししたくないです。

最後に

駐在生活の立ち上げに際して、住環境は思ったよりも重要です。
ビザが取れて自分が無事入国できても、それはスタートラインに立っただけでした。
現地到着直後は、家以外のことでも山ほどストレスがかかるので、せめて家くらいは心休まる場所にしておくのが無難だと思います。

これからアメリカで家探しをする方の参考になれば幸いです。

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