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評価をするのはお客様

「テーブルは木目に沿って拭いてくださいね」と入社したばかりのスタッフに話します。
テーブルには木目があるのに磨くときにその繊維に沿わせないって気持ち悪いですよね。そういうの嫌なんです。
もちろん、テーブルを拭くこと自体の目的は「綺麗にしてください」です。

綺麗にできないなら拭かなくていい。
綺麗にすることを忘れて拭くことが目的になったら意味がないです。
これ、言い換えたものが凡事徹底というやつですけど。

いつからか綺麗になればOK、が拭けばOKになっていくのが業務の連続と継続の恐ろしいところです。


昔のお店の子のテーブルの拭き方を見ていたらすごい丁寧に拭いていて、外から見ても分かるくらいに力を入れて丁寧に拭いていた。
その子はもう辞めてしまってのだけど、ちょっと感動したんですよね。
あぁ、あのテーブルは絶対に綺麗になったな、って外から分かったんです。

これって外見と中身の議論に似ていて、自分がちゃんと拭いてるかどうかじゃなくて、周りのお客様にどう見られているか、評価されているか、を意識しなければいけないということです。
人目なんか気にするなって結構的外れなことだと思っていて絶対に気にした方がいいです。
あなたがバスケットボールのチームを作るときに仲間にスカウトしたくなるのは野球のユニフォームを着ている人よりもバスケットのユニフォームを着ている人ですよね。


綺麗にするという目的の徹底に加えて、周りのお客様に「あ、あのスタッフさんすごい綺麗に拭いてるなぁ」って思ってもらわないとダメで、お客様に夢を見せるのがサービス業だからです。
ぐちゃっと畳まれた布巾でさーっと撫でるように拭かれていたら汚れは落ちていないし「水垢が!」となる。

その子は土日、たまにしかお店に入れない子だったんですけど。
それでも手持ちの少ない技の中で即時に自分に出来ることってなんだろうって考えて努力した結果がそれだったのでしょう。とっても美しいことだと思います。

贔屓目なしに
「テーブル拭いて欲しいランキング」
があったら(ないですけど。笑)
かなり上位だよって当時は本人に言っていたけれど。


これは負けないぞ、とか
ちゃんとやろう
って思える何かがある仕事はきっと楽しい。絶対に出来ることが一つでもあるはずです。それを磨いていくと綺麗になっていく。
もちろんどのように磨くのか、は自分でデザインしないといけないのです。

そしてそれは必ず品評会に出さないといけない。評価をするのはお客様だから、という理由だからですね。自分でする自分の評価ほど虚しいものはないよな、と感じる。


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