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[#とは] THIS IS JAPAN! Episode8 「Kawaii」とは?

THIS IS JAPAN! のシリーズは、主にTwitterで外国人向けに描いています。元は英語で、noteに載せているのは日本語訳バージョンです。せりふが横書きで、読む方向も左から右なのはそれが理由です。

「可愛い」「Kawaii」は、21世紀で最も海外に広まった日本語だと言われています。おそらく「オタク」の文化&言葉と一緒に広まったんだと思います。Cuteよりも情緒に訴えかける感じがあって、すごく日本ぽい言葉ですよね。「Karoushi(過労死)」や「Hentai(ヘンタイ=日本のアダルトコンテンツのこと)」も日本らしくて有名ですが、Kawaiiのほうがより健康的なイメージがあります。

先日、Pixivでもこの漫画を載せたところ、とても興味深いメールをいただきました。漫画の最後のページの「Kawaiiは穴をデコレーションするもの」という部分に関連して、「その穴を埋めているのは、その人を思う優しくて温かい気持ちなのだと思います」という内容でした。さらに「時々生意気に思える小さい子も、笑顔になってくれると、自分に開いた穴がふさがる気がする」という内容もありました。まさに「可愛い」の効果ですよね。

以前聞いた説で、動物の幼体が可愛い理由は、成体に捕食されないため&養育のモチベーションを起こさせるために備わった機能というものがありました。確かに、手足が短くてコロコロしててアプアプ言ってる感じがあると、いたわりの気持ちがわいてきますよね。逆に45歳のオッサンの私がコロコロしててアプアプ言い出したら、うわっきもいと嫌われてしまいます。つまり、「可愛い」「Kawaii」は、我々の本能に根差したいたわりマインドから来るものなんだと思うんです。その証拠に、そもそも可愛いとは子供と女性に使われる言葉でした。どちらも動物の本能である繁殖のために、大事にいたわらなくてはいけない存在ですもんね。

ちなみに、「あなたはかわいいわね~」といたわりの気持ちがわいているとき、脳内ではオキシトシンという愛情ホルモンが出ています。これは免疫力にも関わるホルモンです。つまり、何かをいたわりそれを愛おしく感じていると、自分自身も健康になるのです。なのでぜひ、周りをいたわり、愛情を与えていきましょう。相手も自分も人生がいい感じになります。オキシトシンの仕組みについてはこういう漫画も以前に描きました。

けれども、他人をいたわれない、愛情を与えられない、という人もいると思います。それは、自分で自分に対していたわりも愛情も与えられていないことが原因であることが多いです。また、育った過程でそれらを与えられていなかったから、そもそもいたわりも愛情も何なのかわからないというパターンもあります。悲しいことですが、現代はそういう人が増えてしまっていますよね。私の友人でも何人か知っています。そしてそこで、本能的に自分へのいたわりを与えようとしているのが、いろんな「Kawaii」だと思うんです。Kawaiiの意味をもっと広げると、「いけてる感」です。例えば病みかわであれば、自己否定感が強くて病んでいる人が、病みかわカテゴリーのメイクや服装をすることで、病みかわとか地雷系というジャンルの「いけてる感」を手に入れて少し自分を肯定できるようになる、つまりいたわれるということなのだと思うんです。それは、その他の特徴的なファッションだったり、ピアスやタトゥーの愛好家、筋肉ムキムキにこだわる人…というか我々みんながうすーくちょっとづつ持っている感覚だとも思います。

なのでぜひ、あなたも自分なりの「Kawaii」を見つけましょう!Kawaiiという言葉に抵抗がある場合は、さっきの「いけてる感」でも良いのです。私も杉村くんで描いたとおり、不良キャラになることで「いけてる感」を手に入れて、自分へ愛情を与えられるようになりました。

最後に、最近「池袋ウエストゲートパーク」(2000年に流行ったドラマです)を見直してるんですが、この時代は特に若者のファッションが多様で派手でした。ストリート系では、アメカジや裏原系が人気でしたし、他にもケルト&コブラやアンチクラスといった、ミュージシャンによるブランドや、さらにヴィジュアル系ファンの女の子にはバンギャというフワっとしたくくり(ファッションも含めた)がありました。他にもロリータファッションや、もちろんおなじみのギャル系もいろんなジャンルがありましたし、むしろ制服を私服として着たりもしていました。そして最大の特徴が、それらの多くは国内ブランドで、日本国内で発生して盛り上がったブームだったのです。これって「Kawaii」が日本国内で発生して盛り上がったのと一緒ですよね。もともと日本人は不安を持ちやすい国民性があります。さらに2000年は世紀末だし世の中の変化も大きかったです。先行きが不安になってきた時代のため世の中にいたわりが薄くなり始めて、自分なりの「いけてる感」を多用なファッションに求めて自分を愛そうとしていた気がします。そしてそれの現代版が「Kawaii」なのかもしれません。ちなみに私のメンタル不安定妻ちゃんも、元バンギャで、現在もかわいいもの大好きです。去年のクリスマスにはちいかわとポケモンをプレゼントしました。THIS IS ITAWARI です。

https://note.com/yuki1192/n/na96b72b56da0?magazine_key=mad6a2457605d


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