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[#最近の学び] クルド人の友人と、パレスチナとイスラエルについて

今、中東では大戦争が起きていますよね。パレスチナとイスラエルです。でも、遠い世界の出来事でよくわからないという人が多いと思います。なので今回のブログではそのあたりについて解説します。…というのも、以前に漫画に描いたクルド人の友人が、今回の戦争で非常に心を痛めているのです。なのでちょっとでも彼らアラブ系の方々の無念を知ってもらえればと思ったわけです。

https://note.com/yuki1192/n/n57be81ddf53f

まずざっくりと、パレスチナ=アラブ系、イスラエル=ユダヤ系で、この両者は以前から揉め事が続いており、現在の戦争はパレスチナのハマスという集団がイスラエルに攻撃をして始まった、ということを頭に置いておいてください。この2つの動画とブログがシンプルにまとまっていてわかりやすいです。

https://www.nhk.or.jp/minplus/0121/topic015.html

これらをさらにわかりやすくまとめます。現在のパレスチナ(アラブ人)とイスラエル(ユダヤ人)がある地域は何千年も昔、両方が一緒に暮らしていました。そしてその地域が別の国によって滅ぼされた後、ユダヤ人は世界中に散らばります。それから2000年くらい経った1948年に、やっとユダヤ人はその場所に戻る事ができて、イスラエルが建国されます。でもここはその約2000年の間アラブ人が住んでいたわけです。例えるなら、あなたの一家を「新部さん」という名前だとします。新部さんは何千年も歴史がある古民家に代々住んでいます。そうしたらある日、その何千年前の持ち主の子孫、「ユダ山さん」がやってきて、ここは元々俺の先祖の家でもあるからと住み始めました。これがイスラエル建国です。当然、新部さん的には、いきなりやってきてなんなんだと揉めますよね。するとユダ山さんは、じゃあ部屋を何個か新部さん一家用に残しておいてあげるよとなりました。これがパレスチナです。でも部屋なので狭いです。特に狭いのはガザという部屋です。しかもユダ山さんの本音は、新部さん一家には出ていって欲しいので、部屋にいろいろ嫌がらせをしてきます。そして嫌がらせをされまくってもう無理!ウガー!とガザ部屋にいた息子のハマスくんが、包丁を持ってリビングに殴り込みをかけてユダ山さん一家の一人を刺してしまったのです。これが今回の発端になったパレスチナのハマスという組織によるイスラエルへの攻撃です。それに対してユダ山さん一家は、よっしゃこれで正当防衛的にこいつらを追い出せるぞ!ということで、金属バットで新部さん一家をぼこり始めます。これが今起きている戦争です。戦争というか、結構一方的にユダ山さん一家が新部さん一家を爆撃しています。

日本では最初、パレスチナのテロにより戦争が始まった!なんて悪い組織だ!イスラエルは被害者だ!という報道がされていました。けれども、確かにハマスくんは包丁でリビングに殴り込みをかけましたが、それには嫌がらせをされまくりという理由があったのです。さらに殴り込みをかけたのは息子のハマスくんなのに、その巻き添えで他の家族も現在ぼこられているのです。まだ小さい妹や弟も容赦なく金属バットでぼこられています。例えば、パレスチナのガザ地区の病院が空爆されたというニュースがそれです。女性や子供を含む500人以上が亡くなりました。

ここまでの流れで、2つポイントがあります。1つめは、そもそもなぜそんなにユダ山さん一家はこの古民家に住みたがるのでしょうか?もともと住んでいた新部さん一家を部屋に追いやって、しかも出てけと嫌がらせをして、そして息子に反撃されたらさらに金属バットで一家全員をぼこりだすというレベルなので、相当この古民家に執着がありますよね。2つめは、ユダ山さんの嫌がらせとはどんなものだったのでしょうか?ハマスくんが包丁を持って突撃するくらいなので、結構なレベルだったと想像できますよね。

1つめは、ユダ山さん一家の先祖は何千年も前に世界中に散らばったわけですが、その散らばり先でずっと嫌がらせをされてきていたのです。ユダヤ人の迫害と聞くとピンとくる人もいると思います。故郷を追われた状態でいじめられるのは結構つらいです。想像してみてください、あなたがもし故郷から遠く離れた東京のブラック企業で毎日鬼上司にいじめられていて、クタクタになって帰ったアパートでは毎晩隣の部屋からハードコアパンクバンドの練習の騒音がやばいとしたら。毎日つらいですよね。例え会社でいじめられていても実家か自分の持ち家でそこに家族が待っていてくれる環境だったら、まだ耐えられそうな気がしますが、ユダ山さんにはずーっとそういう場所が無かったのです。会社でいじめられて、アパートに帰るとハードコアパンクなのです。そんな感じで数千年耐えに耐えて、ついに東京のブラック企業から地元実家近くの普通の会社に転職することになったのです。嬉しいですよね。でもその実家はとっくに売りに出されていて新部さん一家が住んでいたというわけです。でももういじめられたりハードコアパンクの騒音に耐える環境には戻りたくないですよね。これが、ユダ山さんがこの家に執着する理由です。

そして2つめ、ユダ山さんが新部さんを家から追い出すためにしてきた嫌がらせの内容です。まず前提として、ユダ山さんは世界中でいじめに耐えたスーパー根性で超絶成り上がりに成功し、お金も権力もあります。有名なのはロスチャイルド家ですよね。世界一の大富豪一族です。世界を裏で操る的な陰暴論のネタによくなっています。あとこんなふうに、みんなもご存じの会社の創業者だったり、重要ポジションにいたりします。

https://japan.cnet.com/article/35143822/

他にもノーベル賞受賞者の22%はユダヤ系ですし(アインシュタインもそうです)、日本でもビジネス書などで「ユダヤ人の成功哲学に学べ」みたいなタイトルのものが多く出版されていました。そういうのもあってユダ山さんは自尊心が高いです。そこで新部さんに対しては、支配をベースに嫌がらせをしてきました。お前らなんか人間の形をしているけど動物と一緒だ!という意識です。こちらの動画で詳しく述べられています。

パレスチナは、広い古民家の中の部屋のようなものだとブログの最初で例えましたが、実際のパレスチナも壁で仕切られた狭い場所です。そして出入口には検問があって、新部さん一家は外に出られないようになっています。特に今回のハマスくんのいたガザという地域は、福岡市くらいの広さしかありません。部屋でいうと1畳くらいと想像してください。しかもその狭い部屋の中に、ユダ山さんは入って来てゴロゴロしたりします。要は出てけというプレッシャーをかけるわけです。というかすでに、部屋の一部はユダ山さんの机とか荷物が勝手に置かれてて、新部さん一家をムリヤリ追い出そうとしています。そしてあちこちに監視カメラもあって新部さんが自由に動けないように監視をしています。もちろん拳銃で威嚇される事も日常です。仕事も取り上げ、2022年のパレスチナの失業率は45%だそうです。電気やガス、水道、食べ物も全部イスラエルが管理しています。イスラエルの気分一つでパレスチナは全滅させられてしまうのです。

さらに、英語版のこの動画を紹介します。イスラエル側から見たパレスチナについてです。いきなり最初はこの、強インパクトのおばさんから始まります。

We'll kill you all!(おまえら全員皆殺しだ!)と言っています。この後、「全員だ!」「一人づつ!」「くそイスラム信者どもめ!」「イスラム教なんかごみくずだ!」と続きます。宗教を否定されるのは、日本人で例えると推しのアイドルをクラス全員からバカにされる事の10000倍くらいの辛さだと思います。その後、イスラエルの人たちの意識調査も紹介されます。それによるとイスラエルの人たちは、2/3がアラブ人は知能が低く暴力的で文化的にもしょぼいと思っていて、50~60%はアラブ人と一緒の場所に住みたくない、友達にもなりたくない、なぜなら我らイスラエルのほうが優秀だからだ、ということです。さらに高校生の50%はアラブ人に投票権をやるなと言っていますし、約90%のイスラエルの人たちは、自分の子供の恋人がアラブ人だったら嫌だとも答えています。もし結婚なんてしたら、二度とイスラエルには戻れないそうです(ただこれは、アラブ人に限らず、違う宗教の人との結婚自体がNGというのもあるようです。)。また、「あいつらの母親とかみんな殺したほうがいい。だってアラブ人産むじゃん」とか、「あいつらみんな武装勢力だ」と発言していた人が法務大臣になったり、パレスチナ人を排除する活動をしていて、石を投げてパレスチナ人を殺したこともあるオッチャンが国家安全保障大臣になったりしています。こんな具合に古民家の中で、新部さん一家とユダ山さん一家は揉めに揉めているわけです。

でもその一方で、一番大事なのは「いろいろな人がいる」という事です。話を分かりやすくするために「新部さん一家」「ユダ山さん一家」という例えを出しましたが、実際はアラブ人もユダヤ人も世界中に大勢いるわけですよね。なのでユダヤ人も世界中の全員が「アラブ人皆殺しだ!」と言っているわけではありません。過激なユダヤ人もいれば、穏やかなユダヤ人もいるという事です。アラブ人も当然そうですよね。ハマスのような過激なアラブ人もいれば、穏やかなアラブ人もいるわけです。我々日本人だって同じ事です。↑↑の動画で日本のYoutuberを案内していたアラブ人のオッチャンも、イスラエルにユダヤ人の友人がいると言っています。忘れてはならないのは、この戦争は「いろいろな人がいる」中での過激な側の人による戦争で、しかし実際に殺されているのは穏やかな側の何の罪もない一般人だという事です。そしてそこから離れた場所に住む穏やかサイドの私の友人も、同じアラブ系として心を痛めているわけです。これってすごく悲しい連鎖ですよね。こういう事件もありました。

イスラエルやパレスチナから遠く離れたアメリカで、パレスチナ出身の子供が殺されてしまいました。パレスチナやイスラム教徒、ハマスを憎んでいる男性にです。26か所も刺されていたそうです。それだけ憎いということですが、この子供は全然関係ないですよね。全然関係ない子供が、遠く離れた場所で、悲しい連鎖の犠牲になってしまったんです。このように、ある対象を憎く感じていると、その対象と共通点がある人も一緒くたにして憎んでしまうことがあります。「いろいろな人がいる」がわからなくなってしまうのです。日本でも一時期、反韓流ブームで、韓国のものなら何でも嫌う層が現れましたよね。私の韓国の友達も、DMで日本人にひどい事を言われた事がありました。詐欺に遭った事もあります。彼は日本が好きで、日本に住んでいるのにです。すごく悲しい出来事でした。

私はよくメンタル的に病んでいる人をテーマにした漫画を描きます。彼らに対して私は直接何かができるわけではありません。でも、彼らについて勉強して、理解を示し、それを漫画にして広める事はできます。それにより直接では無くても、理解をする人が増えることで、それが巡って彼らへの直接の救いがどこかで生まれるのではないでしょうか。それはあらゆる逆境の中にいる人にとっても同じだと思います。今回のパレスチナとイスラエルの戦争も同じです。今何が起きているのか、その原因になった双方の歴史や悲しみ、そしてそこから派生した悲しい連鎖を理解して、それが積み重なる事で、どこかで彼らへの救いが生まれるはずです。少なくとも私のクルドの友人はちょっと救われる気がします。私は彼の事を描いた漫画の最後に「自分には何が出来るだろうか」と描きました。みんながそれぞれ身近な人にちょっとづつ自分なりのポジティブな行動をする、平和とはそういうものの積み重ねなのではないでしょうか。

https://note.com/yuki1192/n/n57be81ddf53f

※話をわかりやすくするために、他の国からのちょっかいについては割愛して、イスラエルとパレスチナの関係だけに絞りました。Youtubeで「パレスチナ問題」と検索するとたくさん解説動画が出てくるので、ぜひそちらでも勉強してみてください。


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