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【2021年】個人的ベスト本11選!

こんにちは、Yukiです。

ついこの前、2021年が始まったかと思えば、もう終わろうとしていますが、いかがお過ごしでしょうか。

今回は、残すところわずかとなった2021年に読んで良かった本を11冊ご紹介したいと思います。本当は3冊に絞ろうと思っていたのですが、選んでいるうちに良い本がたくさん出てきてしまいました。なんとか頑張って11冊に絞りましたので、今後の読書の参考にして頂けると嬉しいです。

1.今野晴貴『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』

本書では日本の労働問題を入り口に、日本の資本主義社会を読み解いていきます。労働問題とは、「ブラック企業」「過労死」「労働の質の劣化」などです。なぜブラック企業は無くならないのか。なぜ過労死は無くならないのか。なぜ労働の質は劣化し続けるのか。こうした問いに取り組んでいきます。

ブラック企業が無くならない理由について明快に語られており、目から鱗が落ちました。特に第6章『「ブラック企業」の源流』と第7章『伝播する「ブラック企業」』が面白かったです。

労働問題に関心がある人にオススメです。

2.斎藤幸平『人新世の「資本論」』

昨年発売された斎藤先生の著書です。本書では現代社会についてマルクスを手がかりに考察し、かつマルクスの思想を読み解いていきます。資本主義の矛盾を指摘し、マルクスは時代遅れどころか、存在感を増していると斎藤さんはいいます。

また、一般的にマルクスは共産主義の代表格として語られ、あまり良いイメージは持たれていないように感じます。僕もそのうちの1人でした。ところが本書を読んでみると、どうも一般で語られるマルクスと実際のマルクスの間には、乖離があるように感じました。

新書としては異例の40万部も売り上げ、新書大賞にも輝きました。

3.高橋昌一郎『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』

人類史上最強の頭脳の持ち主であるフォン・ノイマンの伝記本です。あまりにも頭が良すぎたことから、「人間のフリした悪魔」とか「火星人」と呼ばれたそうです。

本書については記事を書いているので、詳しくはそちらをご覧ください。

4.村上慎一『なぜ国語を学ぶのか』

「なんでわざわざ国語なんて学ぶんだ。」おそらく、この疑問を持ったことがある人は多いのではないでしょうか。ご多分に漏れず、僕もそうでした。

「なんで国語を勉強しなきゃならないのか。日本語を不自由なく使えているのに。聞けるし、話せるし、書けるし、読める」と思っていました。しかしこの本に出会ってこうした考えはきっぱりと捨てました。むしろ、「国語を学ばなければいけない」と思っています。今では国語は重要だと断言できます。

国語を学ぶ必要性に対して疑問を持っている全ての方にオススメです。

5.石黒圭『文系研究者になる「研究する人生」を歩むためのガイドブック』

大学院に関する情報を探してみると、そのほとんどは理系の情報で文系に関するものは圧倒的に少ないです。それはおそらく文系で大学院に進学する人が少ないことに起因するのだと思います。

そうした状況を打破してくれるのが本書です。本書では、大学院に進学してから研究者になるまでに何が必要で、どのようなことがあるのか、またそもそも大学院とはどういう場所で、研究するとはどういうことなのか、といった重要なことが丁寧に解説されています。

研究者になるつもりはなくとも、文系大学院を目指している人は必読です。なぜなら、大学院に進学する上で、そして進学してから大切なことが扱われているからです。ネットで検索するよりも、これ1冊読めば間違いありません。

6.中島義道『働くことがイヤな人のための本』

「なんで働いているんだろう」と働く意味を考えたことがある人、「働くのイヤだな」と思ったことがある人は多いのではないでしょうか。

本書には年齢も性別も個人を取り巻く状況も全く異なる、A、B、C、Dという4人の人物が登場します。彼らと哲学者である中島さんの対話を通じて、仕事に関するあれこれを考えていきます。

本書についても、以前に記事を書いたので詳しくはそちらをご覧ください。

7.和田靜香『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』

本書は、相撲や音楽を専門とするライターの和田さんと、国会議員である小川さんの対談を納めた本です。和田さんが感じている漠然とした不安、生きづらさを小川さんに忖度なしでぶつけています。

本書で扱われる範囲は、政治、人口問題、税金、労働、環境問題、沖縄と幅広い分野に及びます。政治を考えるうえで是非とも手に取ってもらいたい1冊です。なぜなら、本書を読むことで政治の身近さ、大切さを感じることができるからです。

和田さんの専門は相撲・音楽であり、政治ではありません。しかし、専門外の和田さんだからこそ、本書の内容はリアリティをもって読者に届けられると思います。普段政治に特段の関心を持っていない読者と和田さんは同じ目線だからです。和田さんは、政治に関心を持たない読者の代表者といっても良いでしょう。

政治に詳しい人、あるいはそれを専門としている人からしたら、当然だと思われることも書いてあるかもしれません。しかし、自明視されていることは世間では必ずしも、当然というわけではありません。そしてその当たり前の部分を問うことこそが、政治に関心を持つきっかけになると思います。

巻末には、和田さんが小川さんと対談するために読んだ本がすべて掲載されています。本書を読んで関心を持った分野があれば、巻末のリストからさらに学ぶことができます。

今年は衆議院選挙がありました。これを機に政治を考え始めてみませんか?

8.石井光太『格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉』

石井さんは、国内外の貧困や児童問題を追うルポライターです。以前に石井さんの別の著書を読んだことがあり、それをきっかけに貧困について興味を持つようになりました。

本書では、日本の貧困、格差問題について扱われています。近年、日本でも貧困や格差の問題が目立つようになり、いたるところで扱われるようになりました。しかし、それらをきちんと認識している人は意外と少ないのではないでしょうか。タイトルにあるように、本書では日本の「リアル」が描かれています。高校生向けと書いてありますが、高校生のみならず大人にも日本の現状を正しく知ってもらうために、読んでもらいたい本です。

9.千葉雅也ほか『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』

本書は、執筆活動を行っている4人による「書けない悩み」の対談です。本を書くなかで、「書けない悩み」をお互いに共有したり、どうやってその悩みを抱えながら執筆しているのか、締め切りとどう付き合っているのかなど、執筆に関するアレコレを話し合います。

僕自身も書けない悩みを抱えていました。大学院受験のために5000字程度の研究計画書は、本当に何も書けなくて毎日がしんどかったです。そのため、本書の内容には、いちいち頷いていました。

執筆という営みに対する、4人の考え方や向き合い方が知れたので大いに参考になりました。

10.村木嵐『夏の坂道』

本書は、戦後初の東京大学総長となった南原繁を主人公に、彼が歩んだ人生を題材にした自伝小説です。彼は戦前に生まれ、大学教授となってから世界大戦を経験しました。

そこでは、日本がどんどん戦争へと突き進んでいく様子や、それに異を唱える者に対する弾圧などが生々しく描かれています。個人的には、戦争へと向かっていく当時の日本と、現代の日本は似ている気がしました。70年前に犯した過ちをくり返すべきではない、そのために歴史を学ぶのだと強く感じました。

11.オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』

本書は、スペインの哲学者であるオルテガによる厳しい時代批判の書です。念のために説明しておくと、彼は1930年代に新聞のエッセイ欄に自らのエッセイを継続的に発表しました。それをまとめたのが本書です。したがって、彼が批判の対象としたのは1930年代のヨーロッパです。

「大衆とはおのれ自身を特別な理由によって評価せず、「みんなと同じ」であると感じても、そのことに苦しまず、他の人たちと自分は同じなのだと、むしろ満足している人たち」と大衆を定義し、痛烈に批判しています。

またこうも述べています。

「大衆は、みんなと違うもの、優れたもの、個性的なもの、資格のあるもの、選ばれたものをすべてふみにじろうとする。みんなと同じでない者、みんなと同じように考えない者は、抹殺される危険にある。」

いかがでしょうか。このオルテガの指摘は、どこか現代日本に通ずるものがあるように僕は思えてなりません。100年も前に書かれた本とは思えないくらい、日本に当てはまると読んでいて思いました。

現在に違和感を感じている人に是非読んで欲しい1冊です。

終りに

ここまで合計11冊の本を紹介してきました。本当は1冊1冊取り上げたいくらい良い本で内容が濃いのですが、そうすると長くなってしまうのであくまで簡単な紹介に留めておきました。

興味を持った本があれば、是非実際に読んでみて欲しいと思います。

ここまで読んで頂きありがとうございました!



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