それでも私たちは焼き鳥がしたかった
やっと寒さが落ち着いてきたとはいえ、家の外にシートを敷いてビアガーデン、というわけにはいかない気温の毎日。
それでも焼き鳥をやりたかった私たち姉妹は、家の中でホットプレートを出して肉を焼くことにしたのだった。
何だか最近ワインにハマっている妹が、白ワインを近くの酒屋さんで買ってきた。チーズにもハマっている妹が、安くておいしいブルーチーズをスーパーで買ってきた。我が家の食は妹が司っていると言っても過言ではない。
そして姉の部屋にテーブルやコンロや炊飯器をセットして宴開始。油が飛んでも大丈夫なように、畳の上にはシートを敷いてある。油断大敵である。
ジュージューと肉の焼ける音が響き、それぞれに肉の面倒を見ながらワインをやった。美味しい。もも肉はジューシーで、砂肝はコリコリだ。
そんな楽しい宴に招かれざる客がやってきたのは、肉を焼き始めて30分ほど経ったとき。
『ぴよろろろ、ぴよろろろ、火事です!火事です!』
あまりの煙に火災報知器が誤作動を起こした!いい感じに酔っていた私たち姉妹もさすがにビックリ。だが待て、まだ慌てるところじゃない。幸いなことに火災報知機は私の部屋の天井についている(だから作動したわけなんだけれども)、止めるんだ!
…手が届かない。
報知器から吊り下がるヒモが高くて手が届かない。万事休すと思われたが、まだ手はある。2人いるのだ。
「妹よ!肩車だ!!」
「え………どっちが下??」
「私だよちくしょう!!」
酔ってはいるが何とかなるだろう。鳴り響くピーピー音。薄い壁。早くしないと火も出ていないのに鎮火作業をしないといけなくなる。主にご近所とか。そしてこんなことで妹にケガさせたら向こう3カ月毎週お寿司屋さんに連れて行かなければならなくなる。
意を決して妹を肩車、ふらつかないように足に力を入れる。
「急げ、消すんだ!!」
「届いた!」
「引っ張れ!」
……プツン。
「「え」」
サイレンも止まったがヒモも切れた。え、これ次からどうすりゃいいの?いや次なんてあってほしくもないのだけど…。
でも、とりあえずその場が落ち着けばそれでよしの遊布野姉妹。紐の着れた報知器どうしたらいいのとか、よく考えたら踏み台持ってきたらよかったんじゃないのとか、そんな憂いは目の前でおいしそうに焼けている鶏肉を食べたい誘惑に負けて、また座って宴を再開。もちろん窓はぜんぶ開けて。
みなさんも、家の中で焼き鳥するときはどうぞお気をつけて。
以上、現場からでした。
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