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妹が、家に居ないでと言ったから②

さて家を休日に追い出されてバイクで町を巡る休日紀行、第2回である。

といってもはっきり言ってまだ道に慣れない私に行ける場所というのは限りがある。京都で暮らした9年の記憶を掘り起こし、行けそうな場所を模索する。

タイヤも替えたばかりなので、あまり山の近くは行けないな。
人の多い観光地を経由するコースも怖い。

そんな思考を巡らしたのちに、住んでいた下鴨の町からたまに自転車を走らせていた宝ヶ池という場所に決めた。
調べてみるとバイクをおける駐車場もあるようだ。道もそこまで難しくない。

…甘かった。

生来の方向音痴も手伝って全然辿り着けない。
スマホのカーナビもあるのになぜそんなことになったのかというと、なぜか現在地をナビが追ってくれなかったからだ。

画面に映し出された地図の外に自分が出てしまうとそれでおしまいという、なんだそりゃという結果に。運転しながらタップだスクロールだをできるわけがない私に。

何かの設定のミスだろうか、未だ原因不明だ。

限りなく自信のなかった自分の記憶力に助けられて着いたときには疲れ切っていた。やっと着いたという安堵感たるや。

安心したら眠くなり、林の中に据え付けられていた、おそらくピクニック用とみられる台の上で昼寝する。


なかなか良い眺め。時折鳥たちがさえずりながら行き交う。生き物の気配がする。人の声もBGMだ。

一周するのに30分ほどかかる大きな池の向こうには、貴船や鞍馬を内包する鞍馬山や、比叡山がのぞめる。曇りではあったが雰囲気は荘厳だ。

そして鹿にもばったり。いると知らなかったのでなかなかの驚き。

たくさんの虫や動物たちがいるようで、網を持った子どもたちがキャッチアンドリリースや餌やりを楽しんでいた。いいなあ。

その中でひたすらぼーっとする。

車の音や町の雑踏から離れて水際でぼんやりするのは何だか自分自身をリセットしているような感覚だ。

さてさて、自分を洗いなおしたことだしそろそろ行こうか。

そう思って、残り半周ほどになった池の外周をぐるりと巡り、元の場所に戻ってバイクにまたがる。そして気づく。

スマホの電池残量、5%。

さあさあ記憶力よ、お仕事の時間だぜい!
迷っても死ぬわけじゃなし、自分で進むことの醍醐味だろう。

今日も楽しかった。

来週はどこへ行きましょうか。そもそも梅雨なんだけど休日の雨少ないな、来週も晴れるかな。



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