ちいさかった妹と乾杯の幸せ。
寒の戻りでカセットコンロと鍋と灯油ストーブが大活躍中。
安かったちぢみほうれん草で鍋をやり、ひと段落して一杯やっている遊布野家での話である。
日本酒を熱燗にして飲みつつ蟹味噌をちびっとやってみた。
かにみそは妹が買ってきてくれた。
これが旨い。美味すぎる。旨くて旨くて震える。
「こ、これが大人か…!」と妹が言う。
たしかに妹は肝系食べられなかったなあ、子どもの頃。
対する姉の方は、子どもの頃から好き嫌いがほぼなかったので、そういう実感がない。
小さい頃食べられなくて、大人になってから食べられたものってほぼないんじゃないかな…
肝系は低学年の頃から大好きで、サンマを焼けば家族分の肝を欲しがり、サザエのつぼ焼きの先っちょが上手く取れずに切れようものならガチ泣きし、豆腐ようだの塩辛だのの父の酒のお供はかたっぱしから掠め取っていた。
父と母は分けてくれることもあったが基本的に自分で食べてしまうから、妹が肝が苦手だったのは姉からすれば戦争をせずに好物を倍食べられるという、降って湧いていたラッキーだったのである。
単に苦い系が不得意でなかっただけかもしれないが。
唯一食べられなかったとすれば、じいちゃんがよく新聞見ながら味噌をつけてかじっていた根生姜だろうか。一口かじってベッとやって、辛いと泣いたのを覚えている。
あれを美味しいと思えた時は、ちょっとじいちゃんに並んだ気がした。
ただ、酒に合うなあ、という感覚は、飲めるようになってから(当たり前だけど)手に入れたものではあるので、「これはごはんより酒だな」と思った瞬間は、自分が大きくなったのだと感じたかもしれない。
ただ、先の写真の奥に写っていることからも察せられるかと思うが、姉はごはん党。
結局ごはんもしっかり食べている。
気をつけないとなんだけどね日本酒×ごはんはさ。コメとコメやん。
でも美味しいんだもの。
かにみそとごはんなんて罪である。重罪である。
だから強いて言うならば、こうやって姉妹で飲んでいる時間こそが、ああ、大人になったなあと思う瞬間かもしれないと思う。
あのちいさかった妹がですよ。
酒飲んでクゥ〜とか言って、前は「いらん!」ってこっちに寄越してたかにみそ食べて美味しいって言ってるわけですよ。
しかも私より酒強くてもはやザル、知識もあってバーでバイトした経験なんてあったりして…感慨深くもなるじゃないですか(絡み酒)。
でもそれだけ、2人で飲むということは私にとってうれしい時間でもある。
だから次の日仕事があったとしても、妹が飲もうと言えば断れないもとい断らない姉である。
あー、幸せだなあ。1日の疲れが吹っ飛ぶなあ。
終わり良ければ全てよし。今日も良いいちにちでした。
みなさまも良い週末を。
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