Paris Olympic観戦記⑩
おはようございます。
今日は朝から陽はそれなりに強いものの風があるので滲み出る汗と相まって、とてもさわやかに涼を感じられる。
ブレイキン女子
今回のParis Olympicで初めてOlympic競技化された、唯一の新競技ダンススポーツ“ブレイキン”。DJがかける音楽に合わせて1対1で交互に即興でダンスを披露し、技術や表現力、独創性などを競う。
日本からは、湯浅亜実(ダンサー名:AMI=25)選手と、福島あゆみ選手(AYUM=41)、半井重幸選手(SHIGEKIX=22)と大能 寛飛選手(HIRO10=19)が出場する。
1970年代アメリカ・ニューヨークで発祥した“ブレイキン”。縄張り争いをしていたギャングが「暴力ではなく、音楽とダンスで勝負しよう」と呼びかけたのがはじまりとされている。これが本当なら、そんなピースな解決方法あるなら(その発想はとても素敵だと思うけど)そもそもギャングなんてしなさんな、とも思うし、そんなアメリカの文化を伝統を重んじるフランスが唯一の新競技に盛り込んだというのも面白い話だなとも思ったり。
日本ではというと、僕ら中年からしてみれば、大学のダンスサークルがあって当時はまだ「チャラい」(もちろん真面目に嬉々として踊っていた仲間もいる)というのが概してのイメージだった(間違ってたらすみません)。
しかし、2012年から中学校の保健体育でロックやヒップホップなどのリズムに乗って全身で自由に弾んで踊る「ダンス」が必修化され、まだ幼稚園の姪甥が習い事でダンス教室に通っているのを聞くにつけ、事態は様変わりしてもはや一つのスポーツとして完全に市民権を得るに至っている。ストリートダンス協会の調査によるとダンスの競技人口は推計600万人を超え、サッカーの534万人(総務省・統計局調べ)よりも多いとか。男女バランスがよく、体ひとつと音楽、真似するためのyoutubeやTictokがあれば今すぐに始められるダンスが多いと言われれば、確かに納得だ。
元々ギャング抗争の勝負をつける方法だったという点で、ラップバトルと極めて近い性質を持っていて基本的には相手をディスる、バカにする、けなす、というマインドを含むものだったものを競技として削ぎ落とした形になっている。しかし、その要素が0になっているわけでもないからそのやりとりも面白い。
競技としてのブレイキン
ダンスとしての競技としての評価基準は、①技術、②技の多様性、③独創性、④完成度、⑤音楽との調和の相対評価とされる。
細かく見ていくとこんな感じ。
立って踊る「トップロック」
アクロバチックな回転技「パワームーヴ」
音楽にあわせてピタリと動きを止める「フリーズ」
しゃがんで手をつき、足さばきを見せる「フットワーク」
音楽との融合性「ミュージカリティ」
ただ、『これをやったから何点』という基準はなく、点はその大会の審査員達の主観によって付けられる。故にその会場の雰囲気を音楽に乗せて踊ってどれだけ盛り上げられるか、巻き込めるかが大きな要素となる。
1対1で交互に踊る「ソロバトル」では、DJが流す音楽に合わせて2~3ラウンド交互に踊っていく。9人の審判がラウンドごとに評価し、5人以上に支持された選手がそのラウンドの勝者となる。
AMIさんがみずからのダンスの軸として挙げるのが「かっこよさ」。一つ一つの技やポーズ、それにスムーズな流れなど動きの細部にこだわってどの瞬間を切り取ってもかっこよく見えるダンスを追求してきた。
ただ、これまでの文章でもお分かりの通りブレイキンど素人の僕が見ていて思ったのは、わざと切れ味とまとまりがあるまさに「かっこよさ」よりも、それをめちゃくちゃ楽しそうにやってる笑顔の印象の強さだった。見ていて気持ちの良いダンスに、その笑顔がより楽しくさせてくれて、1本目から『あ、この人がうまいってやっぱり納得』という感じで、ズブの素人にも凄さをわからせる本物だった。そういった意味で金メダルも納得という結果だった。
今回はスケートボードや昨日決勝が行われた男子サッカーにおいても10代が活躍するなどメダリスト達の低年齢化が際立つ中、同じ世代のAyumiさんの活躍にも期待したけれど、惜しくも準々決勝での敗退となった。しかし、彼女のような存在があったからこそAmiさんのような若手が世界を目指せたことは間違い無いので、同様にお疲れ様と伝えたい。女性に対して年齢を言うのは失礼だけれども、中年と括られる世代であれだけ動けるのは本当に凄い。
引き続き日本代表の活躍とフェアプレーと感動に満ちた後半になります様に。
僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。
皆様も、良い週末を。
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