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紫がたり 令和源氏物語

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青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
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#女三の宮

紫がたり 令和源氏物語 第四百五話 夕霧(八)

 夕霧(八)   物の怪に悩まされていた御息所は翌日の昼過ぎには落ち着かれました。 ずっと…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百九十四話 鈴虫(三)

 鈴虫(三)   山の院(朱雀院)は源氏を慮り、女三の宮に移譲した三条邸へ宮を移されるよう…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百九十三話 鈴虫(二)

 鈴虫(二)   開眼供養が始まり、高僧の尊い読経や説法など次々に為されるなかで、源氏は感…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百九十二話 鈴虫(一)

 鈴虫(一)   少し前の初夏の頃、六条院の蓮池が凛とした花で彩られた時分に出家した女三の…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百八十話 柏木(十)

 柏木(十)   源氏は宮を出家させてしまったことを心底悔やみ、若い尼姿を見ると悲しくなり…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百七十八話 柏木(八)

 柏木(八)   柏木にはもう起き上がって夕霧を迎える力も残っておりません。 それでも秘め…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百七十七話 柏木(七)

 柏木(七) 紫の上は女三の宮のことを思っておりました。 物の怪につけいられたということですが、六条院には宮のご回復を祈る僧侶たちも多くあったでしょう。それほどに心弱くならねばこのような事態には至らなかったはずです。 産後の経過が思わしくないとは聞いておりましたが、生きることを諦めるほどにお辛かったのでしょうか。 誕生したばかりの御子を捨てるとは、お辛かったに違いありません。 宮のご降嫁が決まった折には、自分の存在すべてを否定されたように感じていた上ですが、実際に宮様にお

紫がたり 令和源氏物語 第三百七十六話 柏木(六)

 柏木(六)  二条院にある紫の上には、いち早く源氏の使者から女三の宮の出家が伝えられま…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百七十五話 柏木(五)

 柏木(五)   「ご出産なさってからどうも体調がおもわしくなく、寝付いておられるのです。…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百七十四話 柏木(四)

 柏木(四)   女三の宮が衰弱されていると聞いた源氏はこのまま儚くなられては困ったことだ…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百七十三話 柏木(三)

 柏木(三)   小侍従が六条院に戻ると何やら慌ただしいのを不審に思いました。 どうやら女…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百七十二話 柏木(二)

 柏木(二)   柏木の歌はこのようにありました。 その手跡は弱々しくも美しいのがなんとも…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百七十一話 柏木(一)

 柏木(一)   柏木の病状は一向に改善されることもなく年は改まりましたが、この年の始まり…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百七十話 若菜・下(三十六)

 若菜・下(三十六)   柏木は例の試楽以来、床についたきり頭も持ち上げられぬほどの病に臥してしまいました。 ふと意識が戻るといつでもあの源氏の厳しい一瞥が脳裏に甦り、その眼差しに射抜かれたように気力が萎えて体から力が抜けてゆくのです。 青年は自分が失ったものの大きさを思い知らされておりました。 六条院に出向き仄かな希望が芽生えたことがまた酷でした。 捨てたと思っていたものは以前ならば何も考えずに享受していたものですが、今はそれを望める身ではないと改めて知ると悔やまれて、地の