紫がたり 令和源氏物語 第三百十五話 若菜・上(九)
若菜・上(九)
新しい年を迎え、女三の宮が源氏に降嫁されることが明らかになると、名乗りをあげていた者たちが無念の想いを呑み込みつつ口を閉ざしたのは言うまでもありません。何しろ相手は准太上天皇の位を戴いた源氏の君なのですから、敵うはずもないのです。
冷泉帝も女三の宮の入内を望まれておりましたが、あえて何も仰いません。
それよりも源氏の四十の御賀を国をあげて盛大にお祝いしたいとその旨を伝えました。
しかしただでさえ身分の重くなったのを素直に喜べない源氏はすべてを辞退してしま