紫がたり 令和源氏物語 第二百二十七話 胡蝶(二)
胡蝶(二)
六条院の春の庭には舟を何艘も浮かべられる巨大な池が造営され、中宮の住まわれる秋の庭へと続いております。
ちょうど庭の境に大きな築島で隔ててありますが、双方の庭はどちらの池からも行き来できるようになっているのです。
中宮付きの若い女房達は美しく着飾り、春の庭から差し向けられた小舟に乗り込んで、春の御殿へ訪問することとなりました。
唐風に飾った小舟の船頭は同じく唐風の衣装を纏い、みずらに結った愛らしい唐子のような二人の童たちです。
「さぁさ、みなさま。どうぞお