見出し画像

紫がたり 創作部分解説『絵合』

みなさん、こんにちは。
本日から私の書く源氏物語の創作部分について綴ろうと思います。

遡りますが、絵合の帖では「しろ」という名の白い仔猫を登場させました。
斎宮の女御と冷泉帝が心を通わせたのは帖のタイトルにもあります「絵」です。
梅壺で仔猫を飼い始めたと聞きつけた冷泉帝が昼に梅壺を訪れますと、猫を追いかける女房達の騒動を目の当たりにします。
仔猫は無事に捕えられ、猫を写生していたことにお主上の顔はほころびます。
斎宮の女御の手筋は見事でお主上は度々昼に訪れては共に絵を描いて心を通わせて行くようになるのです。
原本では女御と帝が共に絵を描いて、女御の愛くるしいさまを帝が好もしく思う、という感じで短く描かれておりますが、もう少し深みを加えたかったので、この部分は大きく創作しました。
 
物語というのは難しいものですね。
源氏物語は女房言葉によるもので、情景などが綴られ、歌がエッセンスとなった物語です。
現代語意訳において人物の生き生きとした姿を伝えようと考えますと、セリフというものが重要になってきます。
そして現代の私たちが楽しめるようにとアレンジするもので、カタカナ言葉を入れたり、口語体で使うような横文字なども盛り込む型破りな手法に至るわけです。
 
源氏物語は長く愛されてきた文学です。
やはりその長編を読み砕くというのはなかなか困難なことだと思います。
私はかなり脚色して省く部分も多分にありますが、楽しんで読んでいただければありがたいです。
ただ受験生の方や学生さんにはこれがストレートな翻訳と思われると困りますので、あえてここで付け加えさせていただきました。
 
明日は先日『玉鬘』の帖の創作部分について説明いたします。

この記事が参加している募集

#古典がすき

4,071件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?