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サクラと初恋 4話 (高校生のサクラ)

「サクラ、カラオケ行くぞ」

颯太は、家に入ってくるなり言いました。

いつもそうです。サクラの姿を見る前に、玄関でそう言うと、 颯太は靴を脱がずに、玄関でサクラが出てくるのを待っています。

「ちょっと待って」

サクラは慌てて、鏡で自分の姿をチェックします。

颯太が来る前に、出かける準備はしてありましたから、すぐに出られます。

(今日はカラオケに行くと思ってたんだよね)

サクラは、颯太が来てから間もなく玄関に行きました。

颯太は、サクラの服装や姿を確認しているように見えます。

しかし、サクラにぬかりはありません。
派手すぎず、地味すぎず、流行をさりげなく取り入れたコーデ♪イケメン颯太の横を、サクラはお似合いの恋人のように、バランスよく歩けるのです。

サクラは、ウキウキしすぎてる気持ちを押さえ、
ウキ♪ぐらいの顔をして颯太の顔を見ました。
颯太はいつものように、流行りのミュージシャンや、好きな曲の話を嬉しそうに熱く語っています。

二人は喋りながら家を出ました。

颯太はサクラをよく夜遊びに連れ出してくれました。
整った、大人びた顔立ちのサクラは、高校生には見えませんから、補導される心配もなく遅い時間まで遊んでいました。お互い、両親公認の仲でした。
いつも二人は自然と一緒にいました。


カラオケが始まり、颯太は本気で歌います。

なかなか上手です。

熱が入りすぎて、颯太は5曲歌う頃には、声がハスキーになります。

サクラも本気で歌います。

バラードを歌う時は、自分がミュージックステーションに出てるつもりで、本人になりきって歌っています。曲によっては、顔もつくって完璧に歌います。

少しお酒も入ってるのですごく楽しいです。

サクラが歌うと、颯太がいつも喜んでくれます。

喜んだ顔も好きです。

颯太も負けずに歌います。

サクラもノリノリです✨

この日も、全力投球で歌って、二人で楽しく帰りました。


アルコールと、カラオケと、外の空気もちょうど良くて、ちょっといい気分です。

涼しい夏の夜でした。


颯太がいつものように最近の面白かったことや、変な先輩の話をはじめました。

話しながら、

颯太はサクラと手をつなぎました。


!!


これは!!!!!動揺を隠さねば😱💗

心臓が飛び出るとはこの事だわ、、と、

突然手をつながれてしまった事で、サクラは心の中でパニックになりながら、颯太に気づかれないように、いつものように話を聞いています。

深呼吸が多くなってきました。

深呼吸せずにはいられません。


颯太は酔っぱらってるかもしれませんが、

サクラだって少し酔っぱらっています。

サクラは、深呼吸を繰り返しながら決意しました。

(これは、またとないチャンス!!✨

小さい頃に、颯太に好きだという気持ちを伝えましたが、両想いになったかと思いきや、

その後はいつも通り、普通の関係が続き、

そしていまだに普通に私の家に来る彼、、、、、、

そう、

彼の名前は颯太、、、

なぜいつも私のそばにいるんだ?

聞いてみようじゃないか、、、。)

頭の思考回路も酔っぱらってきたようです。



「私たちって、どういう関係?」

って聞いてみようか、、、。

「付き合ってるの?」とか、
「私はケースケの彼女なんでしょ?」とか、

あらためて「好きだよ」

とか言いたいけど、

自然と一緒にいてくれる関係が、心地よくて、ずっと一緒にいたくて、

今まで何も言えませんでしたから、、、。


なので、時々カラオケの曲に全力で想いを込めるサクラなのでした、、、。


(私は今、颯太と手をつないでいる、、、)


サクラはまず、お酒の力を借りて、つないでいる手を恋人つなぎにしてみました。

颯太は、、、普通です。少し笑ってそのままつないでいます

サクラだけ、指が絡み合ったことで死にそうな心拍数になっています。

呼吸が荒く、歩くのもやっとになってきました。

でも、手は離したくない、、、。


サクラの様子を見て、颯太がゆっくり歩いてくれました。

恋人つなぎに慣れた頃、サクラは自然と颯太の肩に寄りかかりました。

恋人つなぎ&密着です。その瞬間、

「サクラ!大丈夫か!?」

颯太が心配して顔を覗きました。

「大丈夫~」

と、サクラはヘラヘラしながら言いましたが、明らかに酔っぱらいになっています。

「飲み過ぎたかもなー💨ちょっと休むか、、、
おんぶしてやろうか?」

と、颯太は言いました。

サクラは首を横に降り、近くの座れる場所を指差しました。

おんぶなんてされたら、、、、

救急車を呼ぶことになるかもしれません。

颯太が近くのコンビニから水を買ってきてくれました。優しいです。

「寄りかかってろ」

と、颯太が言うので、お言葉に甘えて寄りかかりました。

いい香りのシャンプー使ってて良かったです。

サクラはそっと、颯太と手をつなぎました。

(今しかない!酒の力を借りているとはいえ、絶好のタイミング✨この状態で、顔を見ずに言うか、、、いや、顔は見た方がいい。いや、見れない。
こんな近くで見たら、何も喋れない。もう少し歩いたところで言う、、、。言うんだ私、、、。)


サクラがそんなことをずーっと考えていたら、

「やっぱりおんぶしてやろうか?」

と、颯太が言いました。

顔を真っ赤にして首を横にふるサクラの顔を見て、
颯太は、

「もう歩けそうだな」

と言って、笑いました。さっきと違って颯太は喋りません。

静かです、、、。

手をつなぎながら、ゆっくりと、颯太に引っ張られながら歩きます。

「オレは、サクラの事が大好きなんだ」

颯太は言いました。



サクラはビックリして足を止めました。

私も!!

と、言おうとしたとき、

颯太がつづけて話しました。

「どれだけ大切かわかるか?」

「すごく大事なんだぞ!」

うんうんと1人で頷きながら話す颯太を見て、

(何かちがうぞこれ、、、)

と、サクラは思いました。

これじゃあ今までと変わらない、、、。

私の気持ちを伝えたい。

私が今まで言えなかったのは、
颯太が大切にしてくれてたからだから。

大事にしてくれたから、、、。

「颯太!私、颯太が好きだよ!お兄ちゃんとか、そーゆーのじゃなくて、ずっと、ずっと好きだったの
初めて会ったときからずっと、、、。」

颯太の目をしっかり見て、言いながら、サクラは泣いていました。

とうとう言いました。

颯太が、泣いているサクラの頭を撫でます。

やることをやり終えたサクラは、もう最後かもしれない。と思って颯太に抱きつきました。

「俺だって、、、」

颯太は言いました。

「お前のそばにずっといたいと思ってる」

「じゃあ付き合って」

サクラはボロボロに泣きながら言いました。
颯太のチェックのシャツに涙が染みこんでいきます。


「付き合えない」

と、颯太は言いました。

サクラは理解できませんでした、、、。

「何で付き合えないの?」

と、サクラは聞きました。

「お前の事が大事だから」

颯太は言いました。もう、訳がわかりません。
サクラの涙も止まりました。

「付き合って」

「できない」

「付き合って」

「できない」

「好き」

「オレも好き」

「恋人にしてください」

「ダメです」

「愛してる」

「オレも」

サクラと颯太は、このやり取りをしばらく続けました。

最初は腹が立ちましたが、サクラは、ああ、もういいや。と思いました。

颯太はやっぱり優しいです。

優しくないような気もします、、、。


何もかも、サクラが5才の頃の、あの時のままでした。

「帰るよ!」

サクラは笑顔で言いました。

そして、颯太に「ありがとう」って言いました。

颯太は、「おう🎵」と、笑って言いました。

もう一度、二人は並んで歩きました。

自然と手をつなぎます。

やっぱりまだサクラはドキドキしてます。

何だか悔しくなったので、颯太の心臓に手を当てました。

これは、、、!
すごくドキドキしているではないか!!


「ドキドキしてるし!」

と、サクラは颯太の顔を覗くようにして言いました。

「アハハ」

と、颯太は笑いました。サクラはため息をついて、
前を向いて少し歩いて、

笑顔で帰りました。

しょうがないな、、、というような、清々しいような、、、温かい感じの、悔しい、、、なんともいえない状況ですが、

気持ちをちゃんと伝えられた自分が、嬉しかったのでした。

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