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素敵な思い出と指輪。

「自分へのご褒美」という言葉を聞くと、多くの人は高価なものや贅沢品を思い浮かべるかもしれない。しかし、私にとって最大の自分へのご褒美は、思い出を作ることだった。

ある日、私は早めに仕事を切り上げて帰路についた。ここ数日、残業続きで疲労が溜まっていた。そんな日は、なるべく気分転換ができるように、自分自身を労ってあげるようにしている。

「よし。散歩して帰ろう・・・」

その日は天気が良かったので、近くの公園に行って散歩をすることにした。季節は春。あっという間に冬が終わり、桜の花が満開でひらひらと舞っていた。私は自然に囲まれ、季節の移り変わりを感じながら、気持ちを落ち着かせた。

公園を歩いていると、小さな子供が遊具で遊んでいた。彼らは無邪気に笑い、楽しそうに遊んでいた。その姿を見て、わたしも昔は遊具で遊ぶのが何よりの楽しみだったなと、子供の頃の楽しい思い出が蘇り、少し癒された。

公園には、いつもたくさんの人が訪れる。家族や友人、カップルなど、それぞれが思い思いの時間を過ごす。私はそんな自由な時間とともに、思い出が溢れる公園が大好きだった。


しばらく歩いていると、ベンチに座っている一人の女性が目に飛び込んできた。

彼女は、ベンチで一人で座っていた。手には、小さな箱が握られている。なんだか不思議なオーラを感じ、私は引き寄せられるように彼女の近くに歩み寄ってみた。すると突然顔をあげた彼女と目が合った。
すると、彼女は優しく微笑んで、話をしてくれた。

彼女は、その小さな箱には指輪が入っていると教えてくれた。彼女にとって、その指輪はとても大切なものだった。それは、亡くなった祖母が残してくれたものであり、彼女にとっては、祖母との思い出が詰まったものだった。

彼女は、公園で一人でいるのは、祖母が好きだった場所だからだと言った。そして、祖母との思い出をぽつりぽつりと話してくれた。彼女が子供の頃、祖母と公園で過ごした時間は、とても幸せな思い出だったという。

彼女は、指輪を身に着けて、祖母との思い出をいつも身近に感じているのだそうだ。彼女の指で光る指輪は、曲線が美しいシンプルな指輪だった。不思議と彼女の指にぴったりで、その指先からは、まるで彼女を見守っているかのような優しさがあふれ出ていた。
春の陽気とともに、なんだか私も彼女と一緒に祖母との温かい思い出を感じることができたような、そんな気がした。

高価なものや贅沢品もいいけれど、思い出は人生最大のご褒美だ。私も彼女のようにたくさんの思い出の詰まった宝物をこれから増やしていきたい。そんなことを思いながら過ごす、うららかな春の日だった。


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