テーブルマナーとポタージュレシピ

 最近尋ねられることが多い、テーブルマナーやカトラリーの使い方のお話をしようと思います。
 洋食メニューでライスを選んだ時、お箸ではなく、フォークとナイフが出てきたとします。私が子どものころは、フォークの背(山になっている方)にごはんをナイフで押しつけながらのせて、口に運びましょう、と習いました。これはイギリス流と考えらています。食事中にフォークを手の中で回転させたり、右手に持ち替えるのはマナー違反とされたために出来た食べ方かもしれません。
 日本の結婚式でのフルコースで見られるセッティングやマナーは、イギリス流のようです。イギリスのマナーが先に日本に入り、その後フランスのマナーが入ってきたため、日本では両方が混ざった可能性があります。
 近頃はお箸で食べるフレンチもあり、一口サイズにお料理をカットし盛り付けるレストランも多くなりました。カトラリーレストにカトラリーを置くようになっているレストランも増えてきているので、マナーを気にする機会は減っているように思います。けれども、いざという時のために基本的なことを確認しましょう。
 大皿の周りにフォーク、ナイフ、スプーンなどがたくさん並んでいる場合、緊張する必要はありません。外側から順に使っていきます。前菜、スープ、魚料理、肉料理、という順番に並んでいます。お皿の上にあるのはデザート用のカトラリーです。はじめにお伝えしたように、これはイギリス流になります。フランスはというと、一皿ごとにカトラリーを取り替えていきます。お皿のお料理を食べ終えたらフォークとナイフを揃え、ごちそうさまの合図とします。もしもお料理を食べている途中でこの所作をすると、片付けてほしいという意味になり、あまり口に合わない、食べきれない・・・、などのサインととらえられることもあるので注意しましょう。
 食事前にセッティングされているナプキンは、最初のお料理が運ばれる直前にひざへ広げるとスマートです。ナプキンは二つ折りにして、二枚になっている方を手前にします。食事中に汚れてしまった指はその内側でぬぐい、表からは見えないようにします。
 食事中にお手洗いに立つなど席を離れる時は、椅子の座面にナプキンを置きます。テーブルの上に置いてしまうと、食事が終わったサインになってしまうからです。食事が終わった時は、ナプキンをきちんとはたたまず、軽くたたんででテーブルに置きます。きちんとたたんで帰ると、「お料理があまり美味しくなかった」という意思表示になってしまうことがあります。

 欧米では、スープは飲むのではなく「食べる」といいます。フォークやナイフだけではなく、スプーンなどのカトラリーを使って口に運ぶことを「食べる」と言い、コップやマグから直接飲む場合は「飲む」となるようです。スプーンからは音を立てず、静かにいただきます。しかしスープが熱々だとフウフウしたくなるので、口に流し込んでもやけどしない温度であることが前提ですが・・・。スープの残りが少なくなってきた時、手前を持ち上げるのがイギリス流、向こう側を持ち上げるのがフランス流です。
 そしてパン。サーブされたパンはパクッとかみつかず、一口ずつちぎっていただきます。またスープや皿のソースをパンで拭うというのは、実はあまり上品ではありません。お料理のソースはパンではなく、お料理にからめながら食べ切りましょう! フランス人の方と食事をすると、お料理や付け合わせに上手にソースをからめて、食べ終えた皿がピカピカなことが多く、とても驚きます。
 先日左利きの友人が、フォークとナイフは右利き・左利きのハードルが無いと話してくれました。はしより簡単に使えるようになった、とのこと。なるほど、両手を使うので、どちらが利き手か関係ないですものね。
 グローバルにお仕事をされている方と、テーブルマナーのことを少しお話しする機会がありました。海外で複数の国籍の方と会食をされる機会が多いとのこと、主催者の国に合わせるか、あるいはどこの国の方が多いのかさっとチェックし、テーブルマナーをマジョリティに合わせるそうです。北欧の方々はお豆をつぶしながらきれいにフォークの背に乗せて口に運んでいたそうですから、マナーの話は複雑ですね。これは簡単には語れない! 今回はフランス流を中心にお話しさせていただき、今後の勉強課題とさせてください。

 スープとポタージュの違いは何でしょうか?
 スープはさらっとした液体、例えばコンソメースープ。さらっとした液体に具材が形の残った状態で入っているのもスープ。洋風だけではなく、中華スープやトムヤムクンスープなどもありますよね。ミキサーでペースト状にした、どろっとしたものがポタージュ。おそらくそんな認識ではないでしょうか。私も日本の料理学校ではそのように習いました。ところが、フランスでは全てがポタージュ。スープはポタージュの中の一種の呼び名になります。なんだか違和感がありますよね。
 フランスでお料理を習っていた時に、「人参の葉っぱだけはポタージュにもならない!」と先生に言われました。(胡麻和えにすると美味しいのに・・・。)そのくらいフランス人はどんな食材もポタージュにしてしまいます。煮込んでからミキサーにかけず、カットして煮込んだままだったり、マッシャーで粗くつぶす方法もあります。
 スープの基本構成は、ポワロー(いわゆる西洋ねぎ)と、とろみ付け用食材・メインの食材です。ポワローは手に入りづらいので、長ネギの白い部分で代用します。玉ねぎだと甘さが強く出てしまうからです。粗みじん切りの長ネギを油でじっくりと炒めます。そこにブイヨンを加え、とろみ付けの食材を投入。カットしたジャガイモを使うことが多いのですが、残りご飯や固くなったパンを使うこともできます。私は、小さめの雑穀(アワやヒエ、キビ)を加えています。
 メインの食材は、人参やブロッコリー・ゆでたほうれん草・ごぼうなど・なんでもアリです。今回は、マッシュルームを使った絶品のポタージュをご紹介します。

マッシュルームのポタージュ

マッシュルーム  1パック(約200g)、モチアワ 大さじ2杯、鶏ガラスープ 400cc、ブーケガルニ(タイム1枝・ロリエ1枚・パセリの軸1本分)、塩・胡椒・牛乳 50cc
①マッシュルームは汚れを取り、粗く刻む。
②鍋にスープとブーケガルニを入れ、マッシュルームとモチアワを加える。強火にかけて沸騰後中火にして30分煮る。
③ブーケガルニを取り除き、ミキサーにかける。鍋に戻し、塩と胡椒で味を調える。
⑤牛乳を温め、ブレンダーで泡立てる。盛り付けたポタージュに注ぐ。
*マッシュルームはホワイトでもブランでもOK。モチアワの代わりに、ジャガイモ小1個、またはご飯を大さじ2杯分加えていただいても可♪

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