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魂のこよみ

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Anthroposophischer Seelenkalenderは,ドイツの神秘思想家ルドルフ・シュタイナー(Steiner, Rudolf)が1912年に発表した詩篇形式のカ…
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2022年7月の記事一覧

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】7月第5週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】7月第5週

肌に感じた 白い熱
瞼を貫いた 明るい光
鼻腔を抜けた 青くさい香り
舌を転がった 丸い甘み
鼓膜に響いた 鈍いわななき 

世界に向けて開いた 五感の扉から
私は全身で 
その広がりを受け止めた

魂の奥まで 鮮やかに浸透した
世界の輝きは

内的な仄暗い夜に
きっと私を照らす

はじめから私の中にあった 
懐かしい灯火として

※Rudolf Steiner,
Anthroposophisch

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】7月第3週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】7月第3週

忘我の光の海にたゆたっていた

私という区別はどこかに置き去って
ただ気持ちよく目を瞑り

輝く水面を
大の字になって当て処なく

しかしふと感じる

生まれてきた意味を
私が わざわざ私として ここにある訳を

※Rudolf Steiner,
Anthroposophischer Seelenkalender:52 Wochensprüche
Rudolf Steiner Verlag, Do

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】7月第4週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】7月第4週

世界の鮮やかさに気を取られ
つい忘れてしまう

答えは 他ならぬ私の中にあり
有無を言わさぬ確かさを持って
つねに輝きを放っていたことを

外の白熱に目が眩んだ日も
内なる光に目を背けた夜も

それだけが持つ 唯一の輝き
私が私であることを証す 明らかなる根拠

このかけがえのない恩寵を
抱きしめて生きなければならない

※Rudolf Steiner,
Anthroposophischer Se

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【R. シュタイナー『魂のこよみ』】7月第2週

【R. シュタイナー『魂のこよみ』】7月第2週

白く輝く光に全身をゆだね
世界に融解した私は

あなたとイコールの
未分の境地で

いつしか
私なるものの苦味を忘れていた

思考は 朝に消えてしまう夢のように
形を成しては解けていく
イメージの戯れ

掴もうにも像を結ばず
あるいは
その結ばなさが心地よかったのかもしれない

そこへふと
舌の奥に感じる ほろ苦さが
微睡む私を揺さぶる

書庫の奥の奥で
長いこと顧みられず
埃をかぶった分厚い書物

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