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【私がOETをすすめる5つの理由】

みなさん、OETってご存知ですか?
Occupational English Testの略で、医療従事者(医師、看護師、歯科医師、獣医師、栄養士など12の医療分野)に合わせて作成された英語試験です。オーストラリアで開始された英語試験ですが、現在では、ニュージーランド、シンガポール、イギリス、スペイン、ドバイなど多くの海外医療資格保持者の資格試験、もしくは就職の際の英語力の証明として利用されています。それに加え、昨年からはアメリカでもステップ2臨床技能試験(CS)の代用としてOETが利用されるようになりました(アメリカはまた条件が変更になる可能性がありますのでご注意ください)。多くの国で受験が可能ですが、日本では、大阪にのみ試験会場があり、月に1−2回程度実施されています。

OETはTOEFLやIELTSと同様に、Listening, Reading, Writing, Speakingの4セクションで構成され、それぞれ45,60,45,20分間の試験です。こちらのOETの公式ページから試験問題のサンプルを見ることができます。


私は英国の外国医学部出身者(IMG)向けの医学試験に出願するために、IELTSまたはOETが必要だったのですが、途中でIETLTSを諦めて、OETに乗り換えました。結果的に良い判断だったと思っており、選択が可能な方にはおすすめしたいと思っているので、その理由を以下にご紹介したいと思います。


1. IELTSよりも点数を取りやすい
まず、こちらのスコア対応表を御覧ください。

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https://www.occupationalenglishtest.org/test-information/results-assessment/ より)

OETの必要スコアは、職業や国によって異なりますが、要求されることの多いスコアはB(350点以上)で、IELTSではおよそ7.0、TOEFLではおよそ98点相当、ケンブリッジテストのC1相当とされています。特に私はIELTS7.5もしくはOETスコアB以上が条件でしたので、この表だけ見ればOETが圧倒的にお得に見えます。IELTSで7.0以上取れているのに伸び悩んでいたり、高得点が取りにくいセクションがあるという方は、ぜひOETの過去問を覗いてみてください。私の個人的な印象では、医学論文をよく読んでいる、英語で患者さんの診察が(まあまあでOK)できる、医療以外の分野にあまり関心がない、という方は準備期間が短くてすむと思います。


2. 医療トピックのみが出題される
私はIELTSでOverall 7.5(かつ各セクションで7.0以上)必要だったのですが、Writingで7.0をなかなか取ることができなかったり、ほかのセクションで失敗したりで、さらにはコロナで試験がしばらく開催されないという状態でした。医師免許を取りたいのに、全く関係のないテーマの試験勉強をすることに飽きてしまっていて、IETLTSでよく出てくる道案内やプレゼンテーションについて議論する学生のリスニングは全く楽しくなかったですし、Readingの古代遺跡の話も、試験中に眠くなる確率大でした。一方で、OETでは完全に医療の話題しか出てこないので、リスニングもレクチャーを聞いているような感覚で、飽きることなく、また自分の持っている医療知識や経験によって話題を予測できたり、英語の実力を補うことができるので、医療従事者には特に取り掛かりやすいと思います。逆にいうと、問診のやり取りなどが出てきたりするので、現場の経験の少ない人は不利ではないですが、お得感が減る可能性があります。


3. OETはスペルミスに甘い
OETでは多少のスペルミスに寛容です。
例えば、嘔吐 ’vomitting’はスペルが間違っていますが、おそらく正解になります。
どの程度の間違いまでOKかという明確な定義はありませんが、たとえばListeningなどでは、特に聞き取れた内容が伝われば点数がもらえるとされています。IELTSやTOEFLではスペルミスや冠詞の間違いは確実に減点されますが、OETでは医療情報として誤解を与えないレベルのミスは見逃してもらえるようです。


4. イギリス英語に慣れているとお得
もともとオーストラリアで始まった試験なのですが、現在はIETS同様にイギリスのケンブリッジ大学でも監修されており、Listeningでは頻繁にイギリス英語が登場します。私はIELTSの勉強をしていたこともあり、イギリス英語でListening対策をしていたので、スムーズにOET様式に順応することができました。


5. Writingでスコアが上がらないならOETがおすすめ
IELTSやTOEFLでのライディングは、大学などでのレポートに必要な文章構成力と、正確な文法力、パラエティに飛んだ語彙力と自制の使いこなしなどが評価されます。一方で、OETのライティングは、カルテを参考に、紹介状を1通作成するというものです。
医師であれば何度も書いたことのある紹介状作成ですが、試験で通用する「重要情報」さえ理解すれば、文章構成力はほぼ必要ないですし、英語筆記でよく要求される「粋な言い換え」も必要ありません。答えは問題文であるカルテに全て書かれているので、それをまとめるだけ。コツさえつか編めば合格点を取るのは比較的簡単と言えると思います。

以上が私がOETに乗り換えてよかった、IELTSよりも自分に合っていたと思うところです。私は日本で6年臨床をしましたが、最近の5年ほどは公衆衛生分野で仕事をしていたため、最近は臨床英語にはほぼ縁がありませんでした。専門単語など忘れているものばかりでしたが、臨床の現場を見たことのある方であれば、あまり差は出ないように思います。また、私は医師用の問題しかわかりませんが、OETは医療職別に問題が作成されているので、職種を超えて全く予想もつかないような設定は出てこないと考えて良いと思います。

最後に、私が利用した教材をいくつか紹介します。
1. 問題集 Official OET Materials 


2. オンラインコース 
独学できるオンラインコースです。コースを取ると担当の講師と2回Speakingの練習ができます。
教材が大量にありますが、私はおそらく60%程度こなしたと思います。出てくる単語はすべて理解できるようにしました。ただし、前述のように正確にスペルできる必要性は低いので、理解するだけでOKです。 


3. リスニング対策 
リスニングでは、レクチャーのようなフォーマルな英語と、同僚とのやり取りなどのカジュアルな会話が出てくるので、両方の英語に慣れておく必要があります。
フォーマルな医学英語ならNEJMをオススメします。私はジョギングしながら聞いていました。


カジュアルな会話リスニングなら、YoutubeでBBC のドキュメントを作業しながらよく聞き流していました。イギリスの医療の様子がよくわかります。

リスニング試験では、問題文を読みながら音声を聞き、メモを取るという非常に忙しい作業が必要になるので、何かしながらでも内容をつかめるようになるのが目標です。


4. 単語 
Professional English in Use Medicine 

時間が足りず、優先順位も低かったので、最初の15セクションくらいだけやりましたが、非常によくまとまっています。
古い本ですが、イギリスの簡単な医療の仕組みや、イギリス独特の名称などを学ぶことができます。

5. マンツーマンの授業 
公式HPに語学学校のリストがあり、その中から時差の合うイギリスの学校を選び、最後の1週間は毎日1時間SpeakingとWritingをチェックしてもらいました。 


こんな感じでIELTSを諦めてからOETに乗り換え、仕事の合間に約1ヶ月半ほど対策をして、1回目の試験で目標のスコアを取ることができました。若干詰め込み型の対策でしたが、OETは受験者が相対的に少なく、比較的歴史も浅いためか、公式の教材が非常に少ないのが難点です。そのため、数ヶ月以上時間を費やすと、練習問題を解ききってしまう可能性があるので、期間を決めて一気に準備するのが良いと思います。


英語試験対策が必要で、OETも利用できるという方は、ぜひご参考ください!

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