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バスが好き

知らない場所をバスで走るのが好き。

それなりの町には便利な地下鉄なんかがある。
出張や予定が詰まっている時は何も考えずにお世話になるけれども、どうも違和感があって、そいつは何なんだろうとバスに揺られて思いを巡らせていたら、確かに行きたい場所にピンポイントで行けて便利なんだけど、町のアウトラインが見えなくて気持ちが悪かったのね、わたし。

バスは渋滞にはまったりもするから、時間に余裕がないといけない。
そもそもわたし、急ぐ旅はしない主義。

バスの車窓から見る町行く人の様子や、バス停の名前から、町の成り立ちなんかに思いを馳せる。
運転手さんのアナウンスやドアの開け閉めのクセを見つけて、ひとりこっそりツッコミを入れてみる。
見慣れない景色の先に記憶にある風景にたどり着けない予感に、乗り間違いと気づくまでのドキドキだったり。
こんなところにこのお寺があるんだとか、学校だなあとか、美味しそうなお店の店構えを見つけたり。
ヘンテコな看板や不思議なトラックにニヤリとしたり。
乗客の方言やら言語やら聞こえてくる内容やらを楽しんだり。

地下鉄は点と点、バスは線。
安心するんだな。
そんなで合点がいったら思わずうとうと。そして終点のターミナル駅に到着したいつかの冬の日。
戸隠までのバス、マウイでのバス、ラスベガスのバス、あちこちのバスが思い浮かんで、思う。

わたし、バスが好きでした。

あ、電車も好き。
新幹線の車窓でチェックする富士山はもちろん、いつかの岐阜あたりの雪景色は墨絵のようだったし、名古屋あたりの夕焼けは雲の感じが荘厳だったっけ。

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写真は先月の奥入瀬渓流。

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