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調べを受ける

物心ついた頃から、自分が何であるかを知りたがる傾向にある。

健康診断しかり、占いしかり。
調べられた結果、
「あなたの○○は○○です」
「あなたは○○です」
と知らされることが、実は好きだった。

特に自分の目では確認できないことについての興味は格別に大きいと思う。

つい一昨日のこと。約10年振りくらいに、内視鏡検査を受けた。
7月に人間ドックを受診して、「要再検査」の項目が出た。
体感としてほぼ間違いなく、内視鏡検査をする程のことではないと思っていて、ちょっとだけ受診機関の担当者にごねてみた。
どんな理由であれ「要再検査」との診断が出されたからには、再検査を見送ってもいいとは立場上、言えない、と言われた。
そりゃそうだ。おっしゃるとおり。

内視鏡検査は事前の準備がひと仕事。
腸の中を空っぽにするのに、1日がかりで取り組まなくてはならない。
そして検査自体も、腸内に空気を送りながらカメラ操作をするので、お腹のこの上ない膨満感と、腸のカーブを切る感じが、前回とっても嫌だった。
そんなことから、半分渋々、でも、「調べてほしい」「普段見えないものを見たい」というなんとも変態的な好奇心も抑えきれず、半分は嬉々として、この日を迎えた。

自宅から徒歩数分圏内に、老舗の専門医があることは知っていた。
今回、健診機関からの指定はなく、自分で探してくださいとのことだったので、この猛暑、自宅に近いに越したことはないと、決めた。
専門機関なだけに、とても慣れている。悪く言えば流れ作業的。
その慣れが、検査に不慣れなわたしにとっては、ちょっと脅威に感じもした。
彼ら彼女たちにとっては、日常茶飯事でも、わたしにとっては、一大イベントなんだもの。
でもそんな一抹の不安も杞憂に終わる。さすが専門機関。
この検査が日常茶飯事なだけあって、前回のような不快を感じることも全くなく、あっという間に終わってしまった。
検査のはじめは意識があったので、モニターに映る我が腸内を見た。
自分の腸ながら、きれい。
体内宇宙の美しさにうっとりした。

わたしの所有物なのに、滅多に見ることができないその画像をいとおしく思った。

人間ドックでもわたしは診断画像をガン見する。
レントゲン写真、超音波エコーの画像。
以前マウスピースをつくるのに型取りした自分の歯型も、しばらく手元に置いて眺めていた。

わたしのものなのに、わたしの一部なのに、普段自分で見ることが適わないそれらを見るのが嬉しい。

結果、1個だけポリープが見つかったけど、放置しておいて問題ないと判断され、無事に終了。

自己愛が過ぎる、のだろうか?
執着が過ぎる、のだろうか?

調べを受ける

調べてもらうのが好き、というお話でした。

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写真は京都・Akizuki galleryの店長・黒猫のむーちゃん。

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