エンディングノートを買ってみたら分かったこと
ある友人の死を通じて、思うところがあり、エンディングノートを買った。
それまでの私は、エンディングノートについては、あまり興味もなかったし、むしろ、縁起が悪いとさえ感じていた。
でも、地震が起きた時の備えを、縁起が悪いから考えないっていう人はいないでしょう？ 人の死は、地震とは違い、必ず訪れるもの。年を取ってからじゃ備えられないよねって思うようにはなっていた。
妻の友人の連絡先を知らない
その友達が亡くなった時、私はお子さんの国語を教えていたので、私の連絡先をご主人が知っていたことで、彼女の友人たちに訃報を知らせることができた。彼女はそのお子さんが生まれる前からの友人だった。その時にご主人が「妻の友人を把握していない」と言ったことが、一番はじめにエンディングノートを買おうと思った動機だ。
私は私の死を誰に知ってほしいか
そのことがあって、まず、もし私が急に死んだら、2か所、連絡してほしいところがあると、伝えた。その二人に伝えたら、仕事やイベントが急にストップしても理由を参加者に説明できそうという人。
でも、それだけでいいのか？と考えるようになった。
は？有香さんなのにオルゴール？
その友達のお葬式では、彼女がフラダンスをやっていた関係で、フラ仲間が特別なレイを彼女にかけてあげていた。そして、お別れの会では、ハワイアンの曲が流れていた。
ああ、彼女らしくて素敵だと思った。
彼女にもきっとその音楽は聞こえているだろうし、何より、残された人たちが「彼女らしい」と感じることが大事だと思った。
私なら、絶対show-yaを流してほしい。しかも、私の好きな曲を流してほしい。リストを作って、なんなら誰かが流せるように、クラウドにまとめておいてもいいかな。お葬式にハードロックなんて、親戚はびっくりしちゃうかもしれないけど、たぶん「有香ちゃんらしいね」って言ってくれるだろう。
ところが、突然のこととなると、葬儀屋が決めた何とかパックみたいのになって、今だったら、50代女性にはこんな感じ～みたいなものになるかもしれない。そして、私の好きじゃないオルゴール音楽が多分流れるかもしれない（笑）
（実は、音感がありすぎて、オルゴールのようなシンプルな音がカタカナで聞こえてくるので嫌い）
そもそもオルゴールは、おしとやかすぎる。「は？有香さんなのに？オルゴール？」と笑っちゃう人もいるかも。
そういう意味で、お葬式はこうしてほしいと書いておくのも良いかと思ったのも、エンディングノートを買ったきっかけ。
尊厳死という選択
実は、この友人が亡くなる少し前から、死についての本を立て続けに読んでいた。
人には寿命があり、医学の力で無理やり生命を維持しても、本人も家族もつらい時がある。例えば80歳から意識もないのに、医学の進歩で100歳まで心臓が動くとすると、意思疎通もできない20年が延々と続く。病床も空かない。その間の心労もさることながら、医療費も半端ない。でも、いったんその状態になると、家族はストップと言えないし、医療も手を引くことができない。安楽死は日本では犯罪だからだ。
そこで、そういう老後が嫌な場合は、意識がなくなる前に、延命治療はしないでくれと伝えておく必要がある。つまり「病院には連れて行かないで」だ。病院は連れてこられたら、その任務で、具合の悪い人を帰せないから。
でも、うっかりご近所さんが救急車を呼んでしまうことは、避けられないから、治らないと分かった時点で延命治療をしないでくれということを、あらかじめ書いておく必要があるそう。尊厳死を望むってことだね。
エンディングノートの選び方
書店にも、Amazonにも、たくさんの種類のエンディングノートがあった。もう「好み」だと思う。しっくりくるのに出会うために何冊か書いても良いと思う。私が買ったのはこれ。遺言書や相続の書類を数多く書いてきて、セミナーも開いている人が、参加者の声を集めて作ったとのこと。
１ 人生の振り返り
基本情報、大切な人の連絡先など
２ 認知症・介護編
財産管理の希望、介護の希望など
３ 医療
終末期医療、延命治療について、臓器提供についてなど
４ 葬儀・お墓
葬儀の形式、費用、要望、お墓のことなど
５ 財産・相続
保険、年金、負債、デジタル資産、ペットについてなど
エンディングノートは、今を精一杯生きるためのノート
項目を見て、初めて分かったことがある。エンディングノートは、死後の家族のために書くノートではないってこと。何を伝えたいのか、何を分かってほしいのかということは、今、どう思っているのかを整理することになる。
今を、迷いなく、ブレなく生きるために書くノートだ。
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