見出し画像

カラスは「カー」と鳴き、犬は「ワン」と鳴くだけ

こんにちは。人財コンサルタントの平田ゆかこです。

昨日コンサルしたお客様はとても口数の少ない人でした。

個別相談に入り「今日セミナーにお越しになった目的はなんですか?何かこれを解決したい、とか悩みがあるからセミナーにお越しになったと思うのですが」と伺っても、
「いえ・・・〇〇先生とZoomで直接拝見できるなら・・と思って・・・。。」で
会話がプツりと切れてしまう。

「じゃあ、起業したい、とかいう思いはお持ちではないですか?」
と聞いてみると、「いえ、起業はとてもしたいです。明日にでも。」
「じゃあ、何で起業するとかは決まっていますか?」
「いえ、特に・・・」

で、また会話がプツリ・・・ シーン・・・

「〇〇さん、それが”悩み”なんじゃないんですか?」
「え・・・?」
「その、『起業したい!』という思いはあるけど『何で起業したいのかわからない』って、それがお悩みなんではないでしょうか?」
「あ・・・まぁ、はぁ・・・」

またプツリ・・・・・・


もうこの時点で私は「あぁ、そうか・・・なんか売られるんかな?とか なんか本講座とか興味ないのに、って思って引いてるのかな? 早く帰りたいのかな? 私と話すことは無駄な時間だ、と思われているのかな。」と、
この方とコンサルすることに時間を使うのが嫌になってきていた。

でもまだ個別コンサル開始5分。
「じゃあ、〇〇さん、お話しされたくなさそうですし、お帰りください」
と帰すのは、あまりにも早すぎる・・・

もうこんな状態で聴き続けるのも嫌がられるだろうけど、
ヒヤリングシートは完成させよう、と
今やっているお仕事から少しずつ聞いていった。

転職は何回かしているけれど、
17年も同じ業界で勤めている。

「お!じゃあここで得ている知識・ノウハウでマネタイズできるじゃん」
と単純に思った私は、さらに詳しくどんな業務なのかをヒヤリングしていった。

「人がプロフェッショナルになる目安って、大体10年って言われているんです。〇〇さんはもう17年もこの業界にお勤めで、もうここの業界のことをわかっておられると思うのですが、これで起業とは思われませんか?」

・・・・どうも乗ってこない。。。

そりゃあそうだ、彼女は会社が嫌なのだ。仕事も嫌なのだ。
会社員として働くことは、奴隷契約とさえ思っている。

「このビジネスを個人でやるというイメージが掴めていないので・・・」

またプツリ・・・・

うー・・・どうしよう。。。

「他に何かやっていることってありますか?趣味とか??」


「はい、〇〇があります。」

おー、あるじゃんあるじゃん!! それを言ってよー!!!
しかもとてもレアで、崇高な趣味だった。

よくよく聞くと、すでに7年ほどWSなども開催している、という。

言ってよー!!! これじゃーん、起業するのー!!!

「これで起業するというのはいかがでしょうか?」

「でも、これはビジネスにはならなくて、無料であってもやっていきたいもので・・・」
「え?でも会社辞めたいんですよね? そうしたらビジネス化していく方向に持っていったらどうでしょうか?」

すでに有力な方とのご縁はいただき、その方達とコミュニティーを築こうとしている。

「ここのコミュニティーは純粋に趣味を楽しむ、というところにおいておきたいんです。」


え???なんで??? 
口を開けば、起業したい、という割には
ここは無料でいい、とか、趣味ですから・・・とか言う。
でも会社員は明日にでも辞めたいくらい嫌い・・・

「え?? そんなに起業したいのであれば、そのWSを商品として作り込んで、そのコミュニティーは会員制にして、とかしたらいかがですか?」
と提案しても、

「そうは思わないんです、そのコミュニティは無償でもやっていきたい。」

起業はしたいけど、ビジネス化は望んでいない・・・

でもWSまで開催して、有力な人たちとも繋がってきているのに、それをビジネス化する方向になぜ進んでいかないんだろう・・・、と私はとても不思議に思っていた。

コミュニティの成長を聞いても、「15名くらい所属してくれればいいです。」
「じゅ、15名?!でいいんですか???」
「私の目の届く範囲がそれくらいだと思うので。
ここのコミュニティも所属してくれている方達と深い関係を作りたいし、この場に貢献することが目的なんです。」


BtoBビジネスで企業契約を取っていきたい、と言うものの
マネタイズしようとは考えない・・・

「急いで成果を出したいとは思っていないんです。ここのコミュニティの人たちとまず深く繋がりたいと思っています。」

でも、仕事は明日にでも辞めたいと思っている。

じゃあ、なんでコミュニティを育てて、
マネタイズする方向に持っていかないんだろう・・・・??


私の中でストーリーができなくなっていた。。

この人は起業したい、と言う割には自分でストップをかける??
なぜだ???


その時に先生が来てくれた。

「あぁ、コミュニティはそういう風にしたいんですね。良いと思いますよ。」


え?!良いの???

「コミュニティづくりを目的にやったら良いと思います。そこの場にいる人が一番喜ぶものは何か?を提供する。ここはお金にせずに、人が集まりやすい仕組みを作っておく、ということで良いと思います。」

するとご依頼者の彼女の顔も、パーっと明るくなった。


おー!なるほど!! そういうことか。

彼女は「コミュニティ作り」をしたかった。
でも私はそのコミュニティを、入り口部分から「ビジネス化」しようとしていた。


ここのコミュニティはコミュニティ作りだけを目的にしておいて、
無料の勉強会などを開催し、人が集まる仕組みを構築する。

そこをマーケットインとして捉え、そこに集まってきた人に対して
「有料になりますが、こういう講座もありますよ」と伝える。
コミュニティーを介して信頼ができている状態だと「それじゃあ、うちの会社の研修をお願いします」という流れも出てくるだろう、と先生が続けた。

「そうですね!そういう風にやりたいです!」
と、口数も少ないし、リアクションもない彼女の声が上がっている!


彼女のコミュニティに対する想いを汲み取れなかったことから、
私は自分のストーリーを押し付けようとして、
彼女の心を閉ざす方向へ動いてしまっていたことに、
その時ようやく気付きました。

カラスは「カー」と鳴き、犬は「ワン」と鳴くだけ。

カラスは「カー」と鳴く。犬であれば「ワン」と鳴く。
両者言葉が違うため、理解をするには時間がかかるし、努力もいる。
しかし相手に通じなくとも自分の主張や思いは持っている。

それを相手を理解できないからといって、
自分のように「ワン」と言わせる方に持って行ったり、
「カー」と鳴くように誘導したりするのは、
その人の本来の気持ちを掻き消してしまい、結果として不満足な想いを相手に残してしまうことになる。

コンサルタントとしてお客様と向き合う際大事なことは、
向き合う方の大切にしたい部分は大切にしながら、
起業したいという思いがあるのであれば、
それをどうやったらビジネス化できる方向に持っていけるのか?を一緒に考える、
それがコーチングコンサルティングだと、今回反省した点でした。



当初は開始5分で「もう終わりにしたい・・・」と思っていた個別コンサルの時間は気がつけばもう深夜12時になる長丁場になっていた。

開始5分でいきなり凹んだとしても投げ出さず、辛抱強く諦めず、目の前のお客様に興味を持って丁寧に聴いてゆく。
そうすると、きっとお客様にもギフトを贈ることができるし、自分にも得るものがある。
そういうことも学べたとても良い時間になりました。


お読みいただき、いつもありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?