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復職が不安な人必見!職場復帰後定着率が大幅アップする「リワーク」とは?

「リワーク」という言葉を聞いたことがありますか。

メンタル不調が原因で休職した方の復職支援プログラムのことを「リワーク」といいます。「return to work」略して「リワーク」。職場でのストレス対処、業務に必要な集中力や継続力、コミュニケーションスキルの向上等の支援を通して、円滑な職場復帰を目指します。医療機関や支援機関の運営する施設で実施されているプログラムです。

そのなかでも群を抜く、職場復帰後6ヶ月以上の定着率93%(※1)という驚きの実績がある民間のリワーク施設があります。

それが「ニューロリワーク」です。

ニューロリワークでは、会社を退職されてしまった方の「再就職」の支援も行っています。様々な方の希望に合った社会復帰の方法を選択ができるのが魅力の一つです。

今回は、ニューロリワーク施設長山川隆司さんに、復職後も「長く健康的に働き続ける」ための秘密を探るべく、お話を伺いました。

リワーク施設「ニューロリワーク」とは

厚生労働省障害者対策総合研究事業の「リワークプログラム利用者と非利用者の就労予後に関する比較効果研究」の中に、復職後の就労継続割合に関して次のようなデータがあります。

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厚生労働省障害者対策総合事業
「リワークプログラム利用者と非利用者の就労予後に関する比較効果研究」より


復職して1年後の就労継続割合は、リワークプログラム利用者が約85%だったのに対し、非利用者が約60%。つまり、「リワーク」は安定した就労のために、積極的に利用したい支援の一つなのです。

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そんな中、職場復帰後6ヶ月以上の定着率93%(※1)という驚きの数字を出しているのが「ニューロリワーク」です。運営しているのは、インクルード株式会社。

障害のある方ための就労移行支援事業所「ニューロワークス」や自立訓練(生活訓練)事業所「ニューロフィット」を展開している同社が、リワークを専門にした施設「ニューロリワーク梅田センター」を2020年3月にオープンしました。続いてニューロリワーク三軒茶屋センターが4月オープン。

「働く上で土台となる生活習慣をしっかり整えながら、スキルや知識の回復、自己理解とセルフケアなどのプログラムを行っています。目指しているのは、長く健康的に働ける復職・再就職。特にコミュニケーションのプログラムには力を入れています。その結果が、職場復帰後6ヶ月の定着率93%(※1)という数字に表れているのです。」

長く健康的に働く復職・再就職に効果を感じているプログラムについて、山川さんに、さらにくわしく紹介してもらいました。

※1 グループ内3事業所の卒業生の定着実績(6ヶ月以上)より【2021年2月時点】


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山川隆司
インクルード株式会社
障害福祉グループ ゼネラルマネージャー

就労移行支援事業所ニューロワークスでサービス管理責任者を務めていた際、多くの復職利用者と関わってきた経験からニューロリワークの立ち上げに携わる。現在、ニューロリワーク施設長。


実践の場としてのコミュニケーションプログラム

山川さんが特に力を入れていると話すのが「コミュニケーションプログラム」です。

多くのリワーク施設では、心理士の先生からセルフケアやストレスマネジメントの知識を教えてもらうプログラムを実施しています。

しかし、ニューロリワークで大切にしているのは、座学だけではなく、実践です。

「利用者同士が『自分の考えを伝え合う活動』を大切にしています。プログラムの座学で学んだセルフケアやストレスマネジメントを実践の中で活用できることを目指しているのです。自分の意見が相手に理解してもらえるように伝えるときや、他人の意見を受け止めるときなどのストレスを感じる場面。それこそが、習得したストレスマネジメントを発揮する機会なんです。」

自分の心をコントロールする方法を知識として知っているだけでは意味がありません。実戦の場を通して、ストレスマネジメントを身に付けていくことで、職場復帰後のセルフケアにつながるのだと感じました。

さらに、面白い取り組みとして、「利用者ミーティングによる企画プログラム」を実施しています。利用者ミーティングとは、支援員が入らずに利用者同士で話し合いや打ち合わせに取り組むこと。

今までに、忘年会や1周年のイベントなどの企画を行ったそうです。忘年会では、感謝の気持ちを伝える「ありがとうカード」を渡すイベントを利用者の皆さんで計画を頂きました。

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「実はこの名札の中に『ありがとうカード』が入っているんですよ」
とうれしそうに話す山川さん。忘年会はとても盛り上がって、大成功だったそうです。普段話すのが得意でない方でも、イベントを通して、他の方との交流が増えてきたと言います。

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「また、利用者さん同士で自由にアイデアを出し合う『ブレインストーミング』も効果があると感じています。テーマは、年末年始の過ごし方や五月病対策など身近なことを取り上げています。話し合いの内容は、「NEUROREWORK NEWS」の記事として施設の中で掲示しているのですが、これが結構好評なんです。」

話し合いでは、司会や記録など役割をもって取り組むようにしているそうです。分担をし、できることを増やしていくことが、自己肯定感を高めることにつながると言います。

相互的なコミュニケーションの場を多く設け、ストレスマネジメントを実践する機会を作ることが大切なのだと感じました。


脳科学に基づいた心身の健康を目指すプログラム

さらに、利用者さんの声で一番多いのが、「『ブレインフィットネス』を受けてよかった」という意見。ブレインフィットネスとは、脳科学に基づいた心身の健康を目指すプログラムのことです。脳の健康に良いとされる生活習慣を身につけることで、心身の健康を目指していきます。

「『ブレインフィットネス』は、ブレインケアクリニック名誉院長今野裕之先生、ブレインフィットネス研究所ディレクターで脳科学者の杉浦理砂さんが監修をしています。ブレインフィットネスは脳に良いとされる取組を総合的に行っていきますが、中でもストレスケアとして『マインドフルネス瞑想』とよばれる瞑想をお勧めしています。また、状況に応じて瞑想時に使える機器としてあるのが『M U S E(ミューズ)』という機械。これは脳波を測定する装置で、瞑想中、脳がしっかり休むことができているか確認することができます。脳の状態をcalm(落ち着きのある状態)、neutral、activeの3つの状態をグラフで確認することができます。」

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筆者も実際に試してみましたが、はじめての場所で緊張しているからか、グラフは大きく波打つ結果に。心の乱れを視覚的に見ることができました。
瞑想は、効果をなかなか感じにくい取り組みですが、科学的に分析することで、自分の状態を正しく把握することができるのだと感じました。

「また、『こんなに運動している施設はない』と言われるほど、運動プログラムにも力をいれています。運動は働き続けるために必要な体力を培うだけでなく、心身の健康にとても重要な役割を果たします。特に三軒茶屋センターでは、プレインフィットネスをパーソナルトレーニングとして行っており、週1回、目標設定と振り返りを行いながら、月に6回、自分の目標に合わせてトレーニングを行います。1回90分と本格的。まさにジムいらず。生活の中で運動が当たり前になることを意識しているんです。」

利用者の方から「今日、家でも運動やりましたよ」と聞くと、自分もうれしくなると山川さんは話します。目標を決めてトレーニングをすることで、習慣化し、職場復帰後も運動を続けることで心身の健康維持につながるのだと感じました。


働き方の変化に柔軟に対応した支援を

コロナ禍で働き方が大きく変化しました。復帰後テレワークによる在宅勤務が決まっている利用者さんもいたようです。そんな中、「在宅勤務だと、人と触れ合うことができなそうでつらそうなイメージがある」「いざ在宅勤務になった際にやり方が分からなくて不安だ」といった声もあったそうです。

「そこで、ニューロリワークでは、希望者を対象に、オンラインでの在宅訓練を行うことにしました。事務的なワークや休職の原因分析などの課題をこなすだけではなく、オンラインでプログラムに参加できるのが特徴です。在宅訓練の利用者さんが増えたときには、在宅の利用者さん同士チャットで話し合う場面も見られました。オンラインでやりとりする経験をしておくと、実際にリモートワークをするときもギャップが少なく、『慣れておいてよかった』と感じる利用者さんが多いんです。」

また、在宅訓練のメリットはそれだけではないと、山川さんは話します。

「対面での自己開示が苦手な人も、チャットなどの文面を通してなら、自分の考えを伝えられることもあるんです。」

休職中は特に周りに気を遣ってしまい、なかなか対面だとうまく話せないこともあります。文面でのやり取りは、自分の考えを伝える新しい方法として有効なのかもしれません。


「長く健康的に働く」ためのリワークで大切なこととは

「自分の状態を正しく把握することが一番大切」と山川さんは言います。
自分の状態が分かっていないと、焦りや不安から、無理をして復帰してしまい、再休職してしまうこともあるからです。

「自分と深く向き合うことは、一人だと難しいです。誰かにフィードバックしてもらうことが必要なんです。リワークがその役割になれればいいなと思ってます。」

職場復帰支援プログラムの中に、「休職原因の分析」があります。ストレスの原因の分析し、予防策を検討していくのです。大事にしているのは、じっくり自分と向き合う時間。さらに、内容はレポートにまとめて、企業と共有することで、復帰後のサポートにつなげているそうです。

「長く健康的に働く」を叶えるリワークで大切なのは、「自分自身と深く向き合うことのできるプログラム」なのです。

これからの課題は、リワークの認知度を上げていくこと。山川さんによると、「リワークの認知度は休職している人全体の数%」とのこと。助けを必要としている人のところに支援が行き届いていないのが現状です。

「今、ニューロリワークではYouTubeやTwitter、noteなどSNSを通して様々な発信をしています。初めて来所された方に、『YouTubeに出ていた方ですよね』と声をかけられたこともあったんです。『リワーク』を知らない企業もまだまだあります。ニューロリワークでは、電話で事業内容を説明するだけではなく、オンラインセミナーを実施しています。リワークの内容はもちろん、メンタル不調への対策などを世の中に広めていきたいと考えています。」

メンタル不調によって休職した方が、社会復帰していくには周りの方のサポートが欠かせません。今回の取材を通して、職場復帰後も長く健康的に働くためには、自分自身と向き合うために、「リワーク」を活用することが有効だと感じました。これからは「リワーク」の認知度を高め、気軽に活用ができる仕組みを作っていくことが大切なのではないでしょうか。


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