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きっと、みんな孤独と共に生きている。

「孤独だ。」
と感じたことがある人はいますか、という質問に、何人の人が「ある」と答えるだろうか。

ひとりで布団に入ったとき。
自分がマイノリティだと感じたとき。
失恋したとき。
家族と死別したとき。
大切な人と喧嘩して分かり合えなかったとき。

いつ感じるかは、人それぞれだけど、どれだけ沢山の人に囲まれていても、人は孤独だと感じるときが、あるのではないかと思う。

全く感じませんって人とか、感じないようにしている人とか、感じる気持ちがわからない、という人もいるだろう。


私は、全く感じないわけでも、感じないようにしているわけでもなく、ふと、孤独に感じることがある。
結局、人は最終的に一人で死んでいくし、本当の意味で自分のことを100%理解してくれている人なんていない。そもそも、自分だって自分のことを100%理解できていない。

だけど「孤独」は、私にとって、決してネガティブな感情ではなくて。

「孤独」という感情があるから、自分と違う「他者」と笑い合って一緒にいられることが決して当たり前なことではなく、尊いことだと思えたりもする。

だからこそ時に、ひとりの時間を意識的に取るようにしたりする。
家族でも友達でも仕事仲間でも、他者と共にいない時間を作ることで、発見できる自分がいる。


「ああ、私今こんなこと考えてるな」
「今こういう気持ち湧いてきたな」
「私、無理してたんだな」


お。なんだか胸がぎゅーってしてきたなあ。
そんな自分を、大切に慈しんであげる。

やっかいなのは、慈しんであげられない時に、孤独を代わりの何かで埋めようとしてしまうこと。
孤独だから、誰かと会う、誰かと電話する、仕事をする。
孤独を埋めようとしたり、気づかないふりをしたり、なかったことのように取り扱うと、より一層孤独になる。
これはなんとも不思議。

そもそも何かを「埋める」という行為は、対処療法的で、効果が短いのかもしれない。
虫歯になって穴があいた歯に詰めものを入れて痛みは一瞬おさまるけど、数日してまた痛み出す、ような感じ。
もちろん、対処療法が必要な時はあって、意味がないとは決して思わない。
そうやって人は、他者を必要だと思うこともあるし、そんなどうしようもないやるせなさや弱さが、人間だとも思う。

私の一番好きな小説の中でこんなフレーズがある。

「(略)責任を感じるから、自分のためにその人間が必要だから、その人が悲しいことが嫌だから。そうやって、『自分のため』の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです。」
(ぼくのメジャースプーン 辻村深月著)

そんないっときの「埋める」という行為は、自分勝手なのかもしれないけれど、それも一種の愛なのかもしれない、とあたたかさを感じさせてくれる辻村深月さんの世界観が大好きだ。



私が孤独に感じたときは、孤独と共にそこにある、という選択をとる。基本、何もせず、孤独を感じている自分を取り出して眺めるような。
「ああ、孤独に感じているなあ」
と思いながら、家の壁を見たり、家の植物たちを見たり、空を眺めている。
例えば涙が流れてきても、その涙が止まるまで泣いてあげる。
自然に湧いてきた感情の流れのまま、生きる。

そしたらふと、
「そうめんが食べたい」とか、
「あの人の声が聴きたい」とか、
「散歩したい」とか、
自分が本当に求めていたことが見えてくる。
その時に初めて、次の行動に移す。

まずは、少しの時間でも孤独をじんわりと感じてあげる時間をつくる。
そうすると、孤独が自分の一部になったような感覚になって落ち着く。
(これはあくまでも私の場合のお話。)


ちなみに、私は孤独はとても大切にしているけれど、孤立にはならないようにしている。

私が考える、孤独と孤立の違いはこんな感じ。


孤独:自分はひとりぼっちである、と感じること。
孤立:一人だけ他から離れて、つながりや助けがないこと。

孤立は、人とのつながりを絶って人間関係から距離を置いている状態に近い。
その状態はとても辛く、深い苦しみを伴うものだと思う。
孤立はきっと、周囲の人が孤立状態になってしまっていることに気づいて声をかけあうことで、孤独に変えることができると思う。
自分から他者との関係性に対して拒否反応を起こしていたら危険サイン。

孤立は、できるだけ周りの人含め、つくりたくない。
孤独は、胸がぎゅーってなるけど、大切にしたい。

最近、友人から「ふと、自分はひとりなんじゃないかって、孤独に感じることがあるんだよね」と打ち合けられた。
そのとき、私は「素敵だな」と思った。

きっと、友人は私が孤独を感じたことがある、とわかったから打ち合けてくれたんだと思う。

孤独を感じたことがある人は、同じように孤独を感じたことのある人のことが不思議とわかる。
その人がひとりでいるときの顔が、想像できる瞬間がある。

孤独は、人とのつながりを深くする不思議な力を持っている。


たぶん、わたしはふと孤独を感じる自分のことを大切にしている。

だからきっと、人と分かり合おうとすることを諦めないでいられる。


孤独を感じることは、きっと、決して悪いことじゃない。








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