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<ラグビー>2023シーズン、インターナショナルラグビー関連等(7月第五週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 TVドラマのエルキュール・ポワロの几帳面さを見ていると、なにか身につまされる気になって面白い。少し前、スーパーの棚の品物がバラバラだったので、思わず並べ直していたら、店員に間違われてしまったことがある。最近は、我が家の掃除と洗濯を担当しているので、家の空気はいつも清々しい。食後の洗い物をしているから、ガスコンロやキッチンはいつもピカピカだ。あるべきところにモノが揃っていて、見えるもの全ては整合性あるいはシンメトリーを保っている。これはとても気持ちが良いことなのです。そして、世界もそうあれば良いのになあ。

 ところで大相撲は、大栄翔と若元春は残念だったが、次からまた大関取りに向けて頑張れる姿を長い目で見守りたい。一方、解説の舞の海も言っていたが、北勝富士は次がないかも知れないので、優勝決定戦はとても残念だったが、勝負事だからどうしようもない。優勝し大関に昇進した豊昇龍が強かったのだ。それから、千秋楽で一番面白かったのは、幕内で一番小さい翠富士が一番大きい北青鵬を投げ飛ばした取組だった。爽快さ・意外さ・面白さが全て揃った良い相撲だったと思う。こういう取組をいつも見たいものだ。


1.テストマッチの結果

オーストラリア・ワラビーズ7-38オールブラックス

 ワラビーズ監督のエディー・ジョーンズは、戦前の「オーストラリアは弱い」という下馬評に対して、逆にオールブラックスに対するプレッシャーになると述べている一方、NZ国内では「このような下馬評をオールブラックスは要注意」という指摘が出ている。

 そうした中でジョーンズ監督は、FBトム・ライト、BKリース・ホッジ、FLピート・サムをスコッドから外し、代わりにWTBアンドリュウ・ケラウェイ、PRタニエラ・ツポウ、CTBジョーダン・ペタイアを入れた。FLマイケル・フーパーは、怪我からの復帰途中だったが、怪我が完治せずに試合メンバーから外れた。先発SOには若いカーター・ゴードンを入れ、大ベテランのクエード・クーパーを22番のリザーブに入れている。キャプテンは、3番PRアラン・アラアラトアが代行する。

 ジョーンズ監督は、「我々がオールブラックスに勝てば、NZは国も経済も落ち込むので、NZの首相はオールブラックスの勝利を祈っている」と自信満々のコメントをしているなど、試合前の「言葉による攻撃」を乱発しており、これに対する批判が多く出ている。日本のラグビー評論家の中には「試合前のジャブ」等と称して、こうした行為を称賛する人もいるが、スポーツマンシップの観点から鑑みれば、自制すべき部分が多いように思う。

(余談ながら)なお、同じようなことを昔のトップリーグ時代に、サントリーの清宮監督が東芝の薫田監督相手にやっていた。早稲田監督時代の成果を持って鳴り物入りでサントリー監督に就任し、日本のメディアが諸手を挙げて清宮監督を絶賛していた時代だった。これに対して、相手にならない大人の対応をした薫田監督に代わって、当時の富岡主将がケンカを買って出た姿に、さすが九州男児と見直した思い出がある。これだけで、富岡主将は良い男、最高のラガーマンだと思った。

 オールブラックスのイアン・フォスター監督も、ジョーンズ監督の挑発を相手にしない大人の対応をしているが、NZのメディアは、一斉にジョーンズ監督批判をしている。つまり相手の土俵に乗らないフォスター監督に代わって、NZのメディアがジョーンズ監督のケンカを買っている状況になっている。

 そのオールブラックスは、アルゼンチンとスプリングボクスに続けて完勝し、自信を深めている。世界の論調では、一躍RWCの優勝候補に躍り出た感がある。実際、今アイルランドやフランスと戦えば、完勝できる雰囲気を持っている。23人の試合メンバーでは、キャプテンのサム・ケーンが、スプリングボクス戦で受けた首のダメージから十分に回復していないため、今回はメンバー外となり、7番FLにはダルトン・パパリイを先発させる。キャプテン代行は、NO.8のアーディ・サヴェアが務める。リザーブでは、19番LOに怪我から復帰のサムエル・ホワイトロック、21番に新鋭SHキャメロン・ロイガード、22番CTBに出場停止処分から復帰のアントン・リエナートブラウンが、それぞれ入っている。

 この試合でメンバー外となった、好調のSOダミアン・マッケンジーとFBショーン・スティーヴンソンの二人については、次のワラビーズ戦では是非プレーしてもらいたいと思っている。また怪我から復帰したCTBクイン・ツパエア、オールブラックスXVで活躍したFBルーベン・ラヴ、SOスティーヴン・ペロフェタ、SHブラッド・ウェバー、FLアキラ・イオアネらにも、テストマッチのチャンスを与えたい。

 試合は、キックオフ早々、ワラビーズ陣ゴール前の、ワラビーズボールのラインアウトから出たボールをSHテイト・マクダーモットが持った瞬間に、オールブラックス5番LOスコット・バレットが激しいタックルを浴びせて、マクダーモットに落球させる。それを好調な6番FLシャノン・フリッゼルが拾って、オールブラックスが先制した。その後、8分にワラビーズは、NO.8ロブ・ヴァレティニがTMOでトライを認定され、7-5と逆転するが、ワラビーズの得点はこれだけで終わった。

 14分にワラビーズSOカーター・ゴードンがPGを外した後の28分、11番WTBマリカ・コロイベテが、自陣ゴール前のラックで明らかにオフサイドに位置にいるのにもかかわらず、オールブラックスの選手にディフェンスしてシンビンになる。これで拮抗していたゲームは、一気にオールブラックスに傾き、34分に2番HOコーディ・テイラーがトライ、また41分には、14番WTBウィル・ジョーダンが23試合で23個目となるトライを挙げて、7-19と前半をオールブラックスがリードする。

 後半は、キャプテン代行のアラン・アラアラトアと負傷交代した18番PRタニエラ・ツポウが、58分のハイタックルでシンビンとなった後、流れはオールブラックスに完全に傾いた。59分に23番WTBケイレブ・クラーク、64分に11番WTBマーク・テレア、67分には13番CTBリエコ・イオアネがそれぞれトライを重ねて、トライ数6対1の完勝に華を添えた。なお、60分から交代出場したSHキャメロン・ロイガードの活躍が期待されたが、特筆すべきプレーは無かった模様だが、スター候補でもある良い選手なので、これからも多くのテストマッチでプレーを見たい。

 これでオールブラックスは、今年のザ・ラグビーチャンピオンシップに優勝し、ブロディスローカップ保持も決めた。昨年後半から持ち直したチームは、昨年最後にイングランドと引き分けた後は、アルゼンチン、スプリングボクス、ワラビーズにいずれも良い内容で勝利しており、かつての最強状態に近づいている。

 今後のウォームアップマッチとしては、来週のワラビーズ戦とトウィッケナムでのスプリングボクス戦を残しているが、現状からは負ける要素は見当たらない。RWCでは、開幕戦でフランスと対戦し、その後ナミビア、イタリア、ウルグアイとプールマッチで対戦するので、決勝トーナメント入りは確実な上に、ライバルと見られるアイルランド、フランス、スプリングボクス、ワラビーズ、イングランドは、いずれも好材料がないため、オールブラックスの株が益々上昇していくと思われる。

 完敗となったワラビーズは、キャプテン代行の右PRアラン・アラアラトアがアキレス腱の怪我で途中退場した他、交代出場した右PRタニエラ・ツポウも、臀部の負傷で退場した。このため、左右両方のPRをできるジェイムス・スリッパーが、ツポウに代わって右PRをこなした。しかし、RWCまでにアラアラトアが戻る可能性は低く、またツポウの怪我が酷い場合は、ベストの右PR二人を欠いた状態でRWCを戦うことになる。RWCでは、ジョージアとウェールズと言うスクラムの強いチームと同じプールに入ったため、右PRのトップ選手不在が憂慮されている。

「エディー・ジョーンズは詐欺師と元ワラビーズ監督ジョン・コノリーが批判」

 メディア相手に大言壮語するエディー・ジョーンズは、勝っているときは良いが負けだすと格好のターゲットにされてしまう。前任のNZ人監督デイヴ・レニーの跡を継いで、鳴り物入りでワラビーズ監督に就任したジョーンズだが、ザ・ラグビーチャンピオンシップでは、スプリングボクスに大敗、アルゼンチンに惜敗、オールブラックスに完敗し、全くいいところがない。

 残るRWCまでのウォームアップマッチとしては、来週のオールブラックス戦とフランス入りした後のフランス戦を残すが、現状から予想すると5連敗でRWCに臨む可能性が高い。またRWCのプールマッチでは、ジョージア、フィジー、ウェールズ、ポルトガルの順で対戦する。ポルトガルには勝てるとしても、ウェールズは過去3位に入った実績を持つ他、ジョージアとフィジーはともに過去にベスト8入りした実力を持つので、かなり苦戦することが予想される。

 これに対して、以前ジョーンズが2001~3年までワラビーズ監督をした後に、後任として監督に就任した経験を持つジョン・コノリーは、当時のワラビーズの選手は、まるで牧羊犬のように大人しく、誰もリーダーシップを執る者がいなかったと、ジョーンズのパワハラ気質を述懐しており、オーストラリア協会から大きな期待を持って契約したジョーンズは、まるで詐欺師だと強く批判している。

南アフリカ・スプリングボクス22-21アルゼンチン

 南アフリカのジャック・ニーナバー監督は、オールブラックス戦の敗戦とは関係なく、9人の先発選手をローテーションした。SOにマニー・リボックが戻り、また11番WTBにはトライゲッターのカートリー・アレンゼが戻った。SH及びFWメンバーもローテーションしている。キャプテンは、4番LOエベン・エツベスとNO.8デュアン・ファルミューレンが共同で務める。ファルミューレンは、この試合が南アフリカでの代表としての最後の試合だと表明している。

 アルゼンチンのオーストラリア人監督マイケル・チェイカは、ワラビーズ戦の劇的な勝利から先発5人を代えた。休みがなかったFB兼ゴールキッカーのエミリアーノ・ボッフェリに代えて、フアンクル-ズ・マリアをFBで先発させる。またベテランCTBのヘロニモ・デラフエンテを休養させ、12番CTBにサンチャゴ・ショコバレスを先発させる。

 開始早々、南アフリカ陣ゴール前で9番SHグラント・ウィリアムスがタッチキックした後、キックチャージに飛んだアルゼンチンFBフアンクルーズ・マリアの臀部が、ウィリアムスの頭部に当たった(TMOの結果、反則行為なしと判定)。その結果、ウィリアムスが負傷退場するアクシデントが発生した。南アフリカは、その後21番SHファフ・デクラークが交代してプレーしたが、RWCに向けて南アフリカ・スプリングボクスに一抹の不安が生じることとなった。

 ゲームは、アルゼンチンがPGで先制した後、南アフリカが2トライを取って反撃し、前半を15-9とリードする。後半は、69分に南アフリカがトライを取って22-9とリードを拡げたが、その後75分と80分にアルゼンチンに連続してトライを返され、1点差でどうにか逃げ切る勝利となった。もしも75分のコンバージョンをアルゼンチンが決めていれば、22-23の逆転負けの可能性があったために、アルゼンチンとしては勝利を逃した感が残った。

 南アフリカは、ウォームアップマッチとして、来週アルゼンチンと再戦し、その後ウェールズと対戦し、トウィッケナムでオールブラックスと対戦する。RWCでは、アイルランド、スコットランド、トンガ、ルーマニアがいるプールBに入っているが、前回2019年大会の優勝チームとしてここまで順調に来ている流れが、やや不安を抱える状況になってきた。SHに怪我人が出た他、SOは、アンドレ・ポラードが怪我で出遅れている一方、ベテランのエルトン・ヤンチースは女性問題でスコッドから外れ、ザ・ラグビーチャンピオンシップで起用したマニー・リボックとヘラント・ウィリアムスの二人の成長が遅れている。SHとSOはチームの要となるポジションなので、不安は大きい。

 惜敗のアルゼンチンは、オーストラリア人のマイケル・チェイカ監督の手腕が成功しており、明らかにチーム力が向上している。ウォームアップマッチとしては、来週の南アフリカとの再戦以外の強豪との試合予定はないが、8月26日にスペイン戦を予定しており、またアルゼンチンXVが、8月18日にウルグアイ、26日にチリと対戦する予定だ。来週の南アフリカ戦に勝利すれば大きな自信になるだろう。そして、RWCでは、イングランド、日本、サモア、チリと同じプールDに入っており、2015年以来のベスト4入りできる可能性を大きく持っている。

日本21-16トンガ

 サモア戦でレッドカードとなった日本代表FLのマイケル・リーチは、裁定委員会で3試合の出場停止処分となった。この結果、RWCまでのトンガ戦、フィジー戦及びイタリア戦は出場できないが、RWC本大会から再出場できることとなった。

 日本代表は、フランスのクラブへ移籍することが決まっているテヴィタ・タタフを、リーチの代わりのリザーブ20番に入れた。先発の7番FLにはベン・ガンターが怪我から復帰する。また12番CTBに、サモア戦でリザーブからのプレーで活躍した長田智希を先発させる。なお、HB団に変更はないので、サモア戦で失敗したキック主体の戦術は変更ないと想定される。しかし、キック主体の戦術を使うのであれば、キックの上手いSO山沢拓也、ハイボールキャッチとカウンターアタックの上手いFB野口竜司を起用すべきだが、どうも適材適所でない印象が強い。

 トンガは、6番FLヴァエア・フィフィタ、FBチャールズ・ピウタウ、23番CTBジョージ・モアラの元オールブラックス、スーパーラグビーのNZチームで活躍していた3番PRベン・タメイフナと7番FLシオネ・ハヴィリ・タリトゥイ、元ワラビーズのNO.8ロペティ・ティマニらが入り、オーストラリアAの勝利がフロックでないことを証明する強力なメンバーとなっている。また、RWCでは、元ワラビーズのFBイズラエル・フォラウがさらに加わるため、RWCではサモアとともにダークホース的存在になりそうだ。

 トンガは試合直前に、23番モアラを元オールブラックスCTBのマラカイ・フェキトアに変更した。

 試合は、日本代表SOがキックオフでノット10mのミスをし、最初のPGを外すなど、相変わらず不安定なプレーぶりだったが、19分に良いBKのサインプレーからトライを取った。その後トンガに日本の弱点であるキックオフレシーブとブラインドサイドディフェンスの甘さを突かれて、あっさりとトライを返されるも、サモア戦のような一人少ない劣勢でないこともあり、39分にキックチェイスからのトライを加えて、前半を13-5で折り返す。

 後半はトンガに続けてPGを取られるなど、不安な入りとなったが、その後持ち直し、52分にラインアウトから大外に振るトライを取ってリードを維持した。直後の56分、トンガにラインアウトからのモールでトライを返される悪癖も出たが、65分のグランドを一杯に使ったテンポの良いアタック(21番SH流大の効果)は、トライにつながらなかったものの日本代表のアタックの進化が見られた良いプレーだった。その後66分に、トライを狙っても良かったゴール前のPGで21-16とリードした後は、トンガの猛攻を耐え忍ぶ時間帯となったが、66分にトンガが判断ミスからトライを取りそこなったのに加え、23番FB松島幸太朗のバッキングアップ、16番HO堀江翔太のジャッカルなどで、どうにか苦しい勝利をつかむことができた。

 オールブラックスXVとの2戦及びサモア戦の3連敗からようやく勝利を得たことで、日本代表に自信が戻ってきた上に、今から披露して心配ないのかと思うが、トニー・ブラウンの優れたアタックのサインプレーも見られたことは良かった。まだまだディエンスには修正すべき点は残るものの、ハイタックルの反則がなかったように、徐々に良化していると言える。

 来週のフィジー戦はホームとは言え、現在のフィジーはかなり強力なチームとなっているので、サモア戦やトンガ戦のような戦いぶりでは惨敗する可能性がある。日本代表としては、RWC前の壮行試合とするべく、負けるにしても良い内容のゲームとしたい。

 負けたトンガは、暑さのためイージーミスが多かった上に、元オールブラックスや元ワラビーズが目立つプレーが少なかった。しかし、モアラパシフィカでスーパーラグビーを戦った成果が出ているので、RWCまでにさらにチームが熟成していけば、同格のルーマニアには勝つ可能性が高い他、格上の南アフリカ、アイルランド、スコットランドのいずれかからも勝利を得られる可能性と持っている。もしアップセットがあるとすれば、SOジョニー・セクストンが不在または復帰直後となる初戦のアイルランド戦ではないか。

サモア19-33フィジー

 元オールブラックスのスティーヴン・ルアトゥアが、サモアの6番FLとしてサモアの初キャップを得る試合となった。なお、同じく元オールブラックスのSOリマ・ソポアガは、来シーズンは江東ブルーシャークスに移籍するが、現在日本行きのビザをフランスで待っているため、サモア代表合流が遅れている。

 フィジーは、リザーブを含めて初キャップとなる選手を4人入れた他、12番CTBセミ・ラドラドラがキャプテンを務めるなど、RWCに向けての準備を進めるメンバーとなっている。

 試合は、前半に4トライを集中し、30-5と大量リードしたフィジーが、そのまま後半を3-14とまとめ、アウェイのゲームをものともせずに完勝した。フィジーはトンガとサモアに連勝し、残る日本に勝利すれば、RWCに向けて良い準備となるだろう。そして、フランス入りしてからは、フランス及びイングランドと対戦し、RWCのプールマッチでは、ウェールズ、オーストラリア、ジョージア、ポルトガルと相手が強い順に対戦していくが、RWCの台風の目になる可能性を秘めている。

 負けたサモアは、トンガ同様に元オールブラックスがまだチームに馴染んでいない部分があるため、今後チームが熟成すればさらに強化されると思われる。残るウォームアップマッチは、来週のトンガ戦とフランス入りしてからのアイルランド戦のみとなり、RWCのプールマッチでは、チリ、アルゼンチン、日本、イングランドと対戦し、チリ戦以外は厳しい戦いとなるが、日本とは同格である他、アルゼンチンやイングランドを倒す力を秘めているので、侮れない存在になりそうだ。

スコットランド25-13イタリア

 スコットランドのSOは、元アイルランドU20代表の若手ベン・ヒーリーを抜擢している。ヒーリーは、スコットランド及びアイルランド両国の代表資格を持っているが、スコットランドを選択した。

 イタリアは、FBとSHに初キャップの選手を入れるなど、前回の対戦から先発11人を変更しており、両チームともにウォームアップマッチの色合いを強めている。

 スコットランドは、前半を5-3で終えた後、後半に55分に二つ目のトライを取って15-6とした後、61分にイタリアにトライを返されて15-13と再び2点差に迫られたが、73分にPG、79分にトライを加えて勝ち切った。2トライを記録した14番WTBダーシー・グラハムの活躍が目立った。

 この後スコットランドは、フランス、ジョージアとウォームアップマッチを行い、RWCでは、南アフリカ、アイルランド、トンガ、ルーマニアのいるプールBで戦うが、ベスト8入りするためには、まだまだ実力が足りないようだ。

 負けたイタリアは、ウォームアップマッチとしてアイルランド、日本と対戦し、RWCでは、オールブラックス、フランス、ウルグアイ、ナミビアのプールAに入っている。近年キアラン・クロウリー監督の下でイタリアは躍進しているが、オールブラックスとフランスに勝つのは相当に難しいため、格下のウルグアイとナミビアに完勝するのが目標になりそうだ。

2.コーチ・選手の移籍等その他のニュース

(1)SANZAARが2024年からU20レベルの大会を開始

 ザ・ラグビーチャンピオンシップの運営母体であるSANZAARは、2024年から毎年U20同士が対戦する大会の開始を発表した。正代表同士の対戦に続き、U20同士が対戦することで、参加4か国のU20強化に資することが期待される。

 大会は総当たり戦を三週間にわたって行うもので、2024年は4月にオーストラリアのゴールドコーストで全チームが集まって戦う。

(2)サモアが日本戦勝利で世界ランク10位に

 先のテストマッチでサモアは日本に辛勝したが、この結果を受けた7月24日現在の世界ランキングで10位に躍進した。負けた日本は12位に下がった。1位から20位までの国は以下のとおり。

 1位から10位まで 

 アイルランド

 フランス

 NZオールブラックス

 南アフリカ

 スコットランド

 イングランド

 アルゼンチン

 オーストラリア

 ウェールズ

 サモア

11位から20位まで

 ジョージア

 日本

 フィジー

 イタリア

 トンガ

 ポルトガル

 ウルグアイ

 アメリカ

 ルーマニア

 スペイン

(3)WRはレッドカードを20分にする試行ルールを不採用

 WRのビル・ボーモント会長は、現在一部で試行している、レッドカードで退場した選手は試合に復帰できないが、20分後に交代選手がプレーできるというルールを、WRとしては、「選手の安全のために」採用しないと発表した。

(4)WRは、シックスネーションズとザ・ラグビーチャンピオンシップを統合した大会「ネイションズカップ」を2026年から開催

 ネイションズカップと称する新たな世界大会は、シックスネーションズの6ヶ国とザ・ラグビーチャンピオンシップの4ヶ国、そしてフィジーと日本が参加して、計12ヶ国により7月と11月に開催する予定となっている。この上位12チームとその下のチームとの入替は、4年周期となる予定のため、ティア2チームを筆頭に賛否両論が出ているが、RWCに次ぐ規模となる世界大会開催にラグビー界の期待が高まっている。

(以下私見)なお、日本としてはこの大会を是非有効活用し、またスーパーラグビーレベルの大会に、かつてのサンウルヴズのような準代表チームを作って参加することを進めていきたい。また、U20レベルでも、定期的かつ恒常的な国際試合の経験が必須だと思う。


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