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<ラグビー>2023~24年シーズン(11月第一週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
 
 衛星放送の「旅チャンネル」を見ていると、視聴者は老年が多いせいだろうか、やたらと精力剤のCMが流れてくる。その中で「23時のほろ酔い男女に尋ねました」というのがあって、もちろん役者がやっているのだが、飲み屋街の街頭インタビューに答えて、「最近、ごぶさたでねえ」というような期待通りの回答をしている。まあ、CMだから当然だが。
 
 もしも、そこに私とFさんのジジイ二人組みがほろ酔いで、いかにもポン引きのカモにされそうな雰囲気を漂わせながらこのCMのインタビューを受けたら、たぶん期待外れの答えになると思う。つまり、Fさんは「いえ、全然元気ですよ!煩悩、煩悩!」と答えるし、私は「そんなレベルはもう卒業しました、色即是空」と答えるから、どちらもCMのネタには絶対にならないなあ。


1.大学ラグビー(関東大学対抗戦Aグループ)試合結果

立教28-10青山学院
 立教が頑張った。

成蹊7-73筑波
 やはり今年の筑波はなかなか強いと思う。大学選手権では要注意だ。

早稲田21-36帝京
 本来このぐらいのスコアなんだろうけど、帝京圧勝の予想だったから、後半に21-24の3点差に迫った時間帯もあったので、早稲田が大健闘した印象になってしまった。でも、スコアの流れからみれば、帝京が負ける要素はなかった。

慶應40-66明治
 なんだろう、このスコアは。明治は、アタックは良いが、ディフェンスは反省点ばかり。これでは帝京に惨敗し、早稲田とも接戦になるだろう。慶應のLOシュキリ・オライオンとSO山田響は良い選手だ。明治の廣瀬雄也キャプテンは、上手の手から水が零れるプレーが時折あるが、大学選手権までには落ちつくだろう。

2.その他のニュース

(1)WRの各賞、決まる


 WRの今年の各賞が決まった。

 最優秀監督賞は、アイルランドのアンディ・ファレルになったが、最優秀選手賞は、オールブラックスのアーディ・サヴェア、また最優秀新人賞(ブレークスルー賞)が、オールブラックスのマーク・テレアとなり、オールブラックスの二人が存在感を見せた。。セヴンズでは、女子のティラ・ネイサンウォンが最優秀選手賞に選ばれた。しかし、RWC優勝の南アフリカからは、一人も選ばれなかった。

 一方、ベスト15では、LOスコット・バレット、NO.8アーディ・サヴェア、SOリッチー・モウンガ、11番WTBウィル・ジョーダンの4人がオールブラックスから選出された。トップは、アイルランドのCTBバンディー・アーキを含む5人、開催国フランスもSHアントワーヌ・デュポンを含む5人が選出されたが、優勝した南アフリカからはLOエベン・エツベスのみが選出された。

 ベスト15は以下のとおり。( )内は国名。
1.シリル・バイユ(フランス)、2.ダン・シーハン(アイルランド)、3.タデュク・ファーロング(アイルランド)、4.エベン・エツベス(南アフリカ)、5.スコット・バレット(オールブラックス)、6.ケイラン・ドリス(アイルランド)、7.シャルル・オリヴォン(フランス)、8.アーディ・サヴェア(オールブラックス)、9.アントワーヌ・デュポン(フランス)、10.リッチー・モウンガ(オールブラックス)、11.ウィル・ジョーダン(オールブラックス)、12.バンディー・アーキ(アイルランド)、13.ギャリー・リングローズ(アイルランド)、14.ダミアン・プノー(フランス)、15.トマス・ラモス(フランス)

 また、RWC決勝を担当した後、多くの中傷被害を受けているイングランドのウェイン・バーンズは、最優秀レフェリー賞を逃し、アイルランドのデイヴィット・マクヒューが受賞した。マクヒューは、次回2027年のRWCオーストラリア大会で活躍することだろう。

(2)エディー・ジョーンズが、オーストラリア代表監督を辞任


 オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルドが、ジョーンズがオーストラリア代表監督を辞任したと報道し、その後オーストラリア協会が11月25日付けで退任することを公式に発表した。

 ジョーンズが今回のわずかな期間に指揮したワラビーズの戦績は、9戦2勝7敗の勝率22%とかなりの低率で終わった。勝った2試合は、RWCのジョージアとポルトガルというティア2国相手のものだけで、ティア1国には全敗していた。また、フィジーには70年ぶりに負けるという不名誉な記録を残したため、ワラビーズ史上最低最悪の監督となってしまった。

〇 ジョーンズは、オーストラリアを改革しようとしたが、そのための協会からの必要な支援がなかったと主張

 ジョーンズは、協会と代表は銀行と会社との関係のようなもので、改革に必要な「政治的及び財政的支援」を得られなかった(のが成績不振の理由)と述べている。また、日本代表監督就任に関する報道については、全く根拠のないことをメディアが一方的に報道して、非常に困惑したと述べている。

(3)次期ワラビーズ監督候補

次期ワラビーズ監督候補として、次の5人が候補と言われている。

スティーヴン・ラーカム
元ワラビーズSO及びアタック担当アシスタントコーチ、現ブランビーズ監督

ダン・マッケラー
元ワラビーズのFW担当アシスタントコーチ、元ブランビーズ監督、現レスタータイガース監督

マイケル・チェイカ
元ワラビーズ監督、2023年RWCでアルゼンチン監督

ダレン・コールマン:
現ワラターズ監督

ジェイソン・ギルモア
現ワラターズのアシスタントコーチ、現オーストラリアA監督

〇フォスターの可能性も?

 ジョーンズと異なり、RWCで準優勝するまでチームを立て直した、オールブラックス前監督のイアン・フォスターについては、NZ国内でも一定の評価がされている。また、自身もオールブラックス退任後に別の国代表監督に就任したいという意欲を見せており、ワラビーズ監督に就任する可能性が浮上している。

 なお、ジョーンズが既に日本協会のインタビューを受けたとの報道に関して、「自分はそんな信頼を裏切るようなことを、RWC大会前には絶対にしない」と明言している。

〇 ロビー・ディーンズは否定

 クルセイダーズ監督として輝かしい実績を残す一方、現在リーグワンのワイルドナイツを指導するロビー・ディーンズは、2007年のオールブラックス監督争いでグラハム・ヘンリーに破れた後、ワラビーズ監督に就任し、2008年から2015年にかけて75戦44勝29敗2分けという、今回のジョーンズをはるかにしのぐ好成績を収めた。しかし、オールブラックスに勝てなかったという理由で解任された経緯がある。

 そのため、ジョーンズの後任としてワラビーズ監督に就任する可能性が噂されているが、本人は否定している。

(4)RWCベストフィフティーン


 プラネットラグビーが、RWCベストフィフティーンを選んでいる。フランスとアイルランドに偏重しているWR選出のドリームチームより、こちらの方がより説得力がある。特に、3番のタメイフナ、7番のクレメール、13番のナヤザレヴの選出は良い視点で選んでいる。

1.オックス・ノッチェ(スプリングボクス)、2.ペアト・マウヴァカ(フランス)、3.ベン・タメイフナ(トンガ)、4.エベン・エツベス(スプリングボクス)、5.フランコ・モスタート(スプリングボクス)、6.ピータースティフ・デュトイ(スプリングボクス)、7.マルコス・クレメール(アルゼンチン)、8.アーディ・サヴェア(オールブラックス)、9.アーロン・スミス(オールブラックス)、10.リッチー・モウンガ(オールブラックス)、11.チェスリン・コルベ(スミス)、12.バンディー・アーキ(アイルランド)、13.ワイセア・ナヤザレヴ(フィジー)、14.ウィル・ジョーダン(オールブラックス)、15.ボーデン・バレット(オールブラックス)

(5)スコット・ロバートソンのオールブラックス予想


 NZヘラルドが、次期オールブラックス監督に就任するスコット・ロバートソンのメンバー23人を予想している。このうち日サブバティカルで日本へ移籍する選手も含まれているが、テストマッチシーズンにはNZに戻ることを想定している。

1.イーサン・デグルート、2.コーディ・テイラー、3.タイレル・ローマックス、4.スコット・バレット、5.ツポウ・ヴァアイ、6.イーサン・ブラカッダー、7.サム・ケーン、8.アーディ・サヴェア(キャプテン)、9.キャメロン・ロイガード、10.ダミアン・マッケンジー、11.マーク・テレア、12.ジョルディ・バレット、13.リエコ・イオアネ、14.ショーン・スティーヴンソン、15.ウィル・ジョーダン
16.サミソニ・タウケイアホ、17.タマイティ・ウィリアムス、18.フレッチャー・ニュウウェル、19.ジョシュ・ロード、20.ダルトン・パパリイ、21.フィンレイ・クリスティー、22.ブライドン・エンノー、23.スティーヴン・ペロフェタ

(私見)
 ほぼ順当な選考だと思うが、ケーンはもう代表から引退する潮時ではないか。また、決勝で受けたレッドカードの心痛は想像以上に影響が残ると思うので、オールブラックスから外すことでその心痛を軽減してあげたい。

 ケーンに代わって、パパリイを7番に入れ、20番にはルーク・ジェイコブソン(次期キャプテン候補)を加えたい。全般に世代交代を行って、21番にフォラウ・ファカタヴァ、22番にスティーヴン・ペロフェタを移動させ、23番にルーベン・ラヴを入れたい。特にラヴは、2027年RWCでは、ロイガードとともにオールブラックスの中心になる選手だと期待している。

 一番悩ましいのは、ブロディー・レタリックとサムエル・ホワイトロックという、オールブラックス史上最強コンビとも言える二人を失った影響が、簡単に払拭できないLOだ。ヴァアイとロードには早く成長してもらいたいし、その他のオールブラックス候補たちには一層の奮起を期待したい(私はパリパリ・パーキンソンが好きなのだが・・・)。

(6)スティーヴ・ハンセンは、TMOが多すぎたと指摘


 元オールブラックス監督として、RWC2回優勝を含む輝かしい実績を持つコーチであるスティーヴ・ハンセンは、今回のRWCの特に決勝を見た感想として、TMOが多すぎる上に、レフェリー以上にTMOがゲームを支配しすぎていたと指摘している。

 なお、サム・ケーンのレッドとシヤ・コリシのイエローの違いについても違和感を持っているようだが、明確なTMO及びレフェリー批判はしていない。

(7)ウェイン・バーンズが、SNS上の脅迫などを理由に、レフェリーを引退


 RWC決勝を担当したウェイン・バーンズは、そのレフェリングをめぐって多くの脅迫を受けていることを理由に、レフェリーからの引退を発表した。

 この決勝では、オールブラックスのサム・ケーンにレッドカードを出した一方、スプリングボクスのエベン・エツベスの危険なプレーの見逃しがあった他、オールブラックスのアーディ・サヴェアの正当なジャッカルを反則にした直後、サヴェアに「すまなかった」と謝罪したことなど、複数の誤審を指摘する声が多く出ていた。

 しかし、例え誤審があったとしても、脅迫行為は決して許容できないものだ。そして、そのためにレフェリーが仕事をできなくなるのは、市民社会のコモンセンスに反する行為である。

〇 NZ協会は、RWC決勝の誤審についてWRに意見書を提出

 NZ協会は、RWC決勝にいくつかの誤審があったとして、WRに意見書を提出した。これで決勝の結果が変わるわけではないが、ラグビーの進化・改善のために必要な行動と見なされる。

(8)RWC主催側のオールブラックスへの酷い対応

 NZヘラルドのグレガー・ポールが、RWC開幕前にオールブラックスが受けた酷い対応を伝えている。

 それによると、リヨンのノボテル・ホテルは、駅から90分かかる長距離にある上に、四つ星とは名ばかりで三ツ星にも満たないホテルだった。また暑い時期だったのにも関わらずエアコンは故障しており、選手はマットレスを外に出して寝た。その上、午前3時に非常ベルの誤作動でたたき起こされるアクシデントが起きていた。

 また、ホテルのキッチンは酷く汚れていて、オールブラックスに帯同したシェフは、仕事をするために3時間もかけて掃除をした。事前に使用可能と聞いていたプールは、雨水とゴミを溜めるための場所でしかなかった。ようやくオールブラックスがパリに移動した後、このRWC主催者が提供したホテルを利用するチームが皆無だったのは当然だった。

 一方、開幕戦のスタジアムには、オールブラックスのメディア担当は警備員に試合前の入場を許可されなかった。しかし、フランス側は自由にスタジアムをチェックしていた。こうしたいわゆる「アウェイの洗礼」はよくあることだが、RWCという国際的なイベントでこうしたことをオールブラックスが経験したのは、これが初めてだった。こうしてオールブラックスの選手たちは、寝不足などの悪条件を課せられて、開幕のフランス戦を迎え、(フランス側の期待通りに)負けた。

 イアン・フォスター監督も、こうした最悪のコンディションを強いられたことを承知していたが、これを開幕のフランス戦で負けた理由に取られたくないため、敢えて公表しないでいたという。NZのメディアも沈黙を守っていたが、大会が終了したため公表することにした。

(私見)
 前回2007年フランス大会のとき、オールブラックス一行はまるで大名旅行のようなバカンス気分で大会を過ごしているうちに、準々決勝のフランス戦で、ウェイン・バーンズのスローフォワード見逃しトライという世紀の大誤審で敗退した。

 そして、今回の世界が注目した開幕のフランス戦は、シャノン・フリッゼルとジョルディ・バレットが前戦のスプリングボクス戦に続いて欠場するという危機的状況に加え、試合直前にキャプテンのサム・ケーンまでが欠場する悪条件だったが、さらにこうした酷いコンディションが加味されていた。これが敗因に直結しないわけはない。

 またフランス特有の治安の悪さや、大会主催者の不手際によるメディア関係者の苦労など、今大会は数多くの不手際があったことが散見される。今回の大会では、アントワーヌ・デュポンの怪我の治療に象徴されるように、フランスは国を挙げてRWC母国開催での優勝を目指していたが、こういう部分にもフランス優勝のためには、なりふり構わぬ姿勢が表れていたように見える。そして、準々決勝でフランスがスプリングボクスに負けたのは、やはり神は公平だったのではないかと思ってしまう。

 一方オールブラックスが、プレー以外の部分で襲って来た文字通りの万難を排して、決勝までたどり着いたのは、数々の逆境を乗り越えた見事な成果だった。しかし、リッチー・モウンガのコンバージョンとジョルディ・バレットのPGが、ともに少しだけ左に外れてしまって、オールブラックスの物語は大団円を迎えられなかった。神は少しだけ気まぐれだったのだろう。

(9)オールブラックスの選手がリーグワンに続々と移籍

〇 ダン・コールズはクボタスピアーズ

オールブラックスをRWC後に引退したダン・コールズが、マルコム・マルクスの怪我で空いたスピアーズのHOをカバーすることとなった。

〇 サム・ケーンは、サンゴリアスに

 RWC決勝でレッドカードとなった、オールブラックスのキャプテンであるサム・ケーンは、1シーズン限定だが、サンゴリアスに移籍することを発表した。

3.WXV結果

WXV1
オーストラリア25-19ウェールズ
フランス20-29カナダ
イングランド33-12ブラックファーンズ
 ブラックファーンズは、WCの時と異なりイングランドとのフィジカル勝負に負けてしまった。こう考えると、WCでフィジカルに勝るフランスとイングランドに勝たせたウェイン・スミスは、文字通りの稀代の名将だと思う。

 最終順位は、イングランド、カナダ、オーストラリア、ブラックファーンズ、フランス、ウェールズとなった。ウェールズがWXV2へ降格し、スコットランドがWXV1に昇格する。

WXV2
 順位が決まり、1位から6位の順は、スコットランド、イタリア、南アフリカ、日本、アメリカ、サモア。フィジカルに勝るアメリカがなぜか低迷した。最下位のサモアがWXV3に降格し、代わりにアイルランドが昇格する。

WXV3
 WXV2同様に順位が決まり、1位から6位の順は、アイルランド、フィジー、スペイン、ケニヤ、カザフスタン、コロンビア。アイルランドがWXV2に昇格する。

(参考)WXVについての説明


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