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コミュニティの新しいOS「コミュニティ思考」をインストールしよう

先日の記事にて、コミュニティの認識のズレについて書かせていただきました。そして、その中で、これからは"コミュニティ思考"が大事だとお伝えしました。

自分で書いておいてなんですが、"コミュニティ思考"という言葉は聞き慣れないのではないでしょうか?前回の記事の中では詳しくは触れていなかったので、今日は「コミュニティ思考」について説明したいと思います。

コミュニティ思考って何?

5月に河原あずさんと共著で出版予定の本「コミュニティ思考(仮)」の根幹の考え方としても紹介しているのが、「コミュニティ思考」という考え方です。

コミュニティ思考は、コミュニティを醸成していく上で必要な価値観であり、下記3つの要素で構成されると考えてます。

1:Vison driven. (ビジョンを基準にして行動を選ぶ)
2:Be flat.(周囲と対等な関係を築く)
3:Give first.(まず最初に利他的行動を心がける)

コミュニティ思考では、まず、自分自身が「こうしたい!こうなりたい!こうする事で世の中がきっと良くなる!」というビジョンを掲げ、そのビジョンを軸にどのように行動していくのかを選択して行きます。(=Vison driven)
そして、関わるメンバーが「自分はここにいて良い。必要とされているんだ」と感じられる状態、すなわちお互いの強みを活かしあえる「心理的安全性」が担保された関係性を築きます。(=Be flat)
その上で、まずは自分や身内ではなく、その外側の周りの人に対しての貢献を考え、利他的に行動するのです。(=Give first)

「ビジョンを掲げ、心理的安全性の高い環境を作りながら、まず利他的に動いていく」

それが、コミュニティ思考なのです。この考えは、コミュニティ活動していく上で、基本となる価値観であり、コミュニティに関わる上でのOS的な存在となります。この「コミュニティ思考」というOSをコミュニティのメンバーにインストールし、様々な判断をする際の規範とすることで、より良いコミュニティ運営につながっていくのです。

コミュニティ思考ベースの集まり

前回の記事のコミュニティの変遷の箇所で書きましたが、現在のコミュニティはこのコミュニティ思考を軸にした「コミュニティ思考ベースの集まり」というフェーズにあると考えています。

現在のコミュニティ :「コミュニティ思考ベースの集まり」
ムラ・コミュニティ、都市コミュニティ、問題解決型コミュニティは今でもしっかり社会に根差し、人々の生活を支えてますが、最近では、新しいコミュニティの形が生まれています。それはより「個人」の想いに起点を置いた
「コミュニティ思考」をベースにした集まりです。
このコミュニティ思考ベースの集まりにおける行動の動機は、問題解決コミュニティが外的動機であることに対して、「自分は、これをやりたい!これをやれば世の中がきっと良くなる!」という内的動機によって成立するコミュニティです。

上記の通り、現在のコミュニティ思考をベースにした集まりにおいては、コミュニティを立ち上げた人による「自分はこうしたいんだ!」というVision drivenに基づく行動やビジョンに共感した仲間が集まりコミュニティが形成されて行きます。

そしてこの「コミュニティ思考ベースの集まり」を理解する上で重要な2つのキーワードがあります。

それが、
1. 心理的安全性
2. 自己中心的利他
の2つです。

1つ目の「心理的安全性」に関しては、コミュニティ思考の3つの要素の1つであるBe flatのパートでも簡単に説明しましたが、コミュニティに関わるメンバーが安心して発言したり、活動が出来る状態を「心理的安全性が高い」状況だと考えます。コミュニティにおいては、この心理的安全性の高い状況であることはとても大切で、マウンティングを取る人がいたり、孤独を感じる人がいない状況であることが大切なのです。

2つ目の「自己中心的利他」とは、楽天大学学長の仲山進也さんが提唱する概念で、「自分はこうしたいんだ!」という個人のビジョンに、「そうする事で世の中がきっと良くなるんだ!」という利他的な想いが加わり行動する事で、結果として他者が喜んでくれる状態を確立することを示します。

この「心理的安全性」と「自己中心的利他」という2つの考え方・動き方は、コミュニティ思考をベースとした集まりにおいては、必要不可欠なポイントとなります。このコミュニティ思考(ここでは自己中心的利他)をベースにした動きについて具体的な例をご紹介しましょう。

ビジネスでもコミュニティ思考アプローチは有効

ビジネスにおいてもこのコミュニティ思考ベースでのアプローチで成果を挙げるケースも次々に出ているのです。ここでは、伊藤園の例を挙げたいと思います。(他のケースは出版予定の本の中で紹介予定です。)

今、伊藤園の「お〜い お茶」がアメリカで人気を博しています。GoogleやFacebook, Twitterなどのテック系スタートアップ企業を中心に、「お〜い お茶」が熱烈に支持される飲料ブランドになっていますが、その根底にはコミュニティ思考によるアプローチがあるのです。

約10年ほど前、伊藤園のアメリカ担当者であった角野賢一さんは「お〜い お茶」の価値を訴求するため、日夜シリコンバレーのミートアップに参加し、集まるエンジニア達に緑茶を配り、その魅力を伝えていきました。

その頃、アメリカではお茶といえば、砂糖の入った甘いお茶が基本であり、当初、ほんの一握りの愛好家しかいませんでした。そこから角野さんの「健康的で、素晴らしい緑茶の魅力をとにかく伝えたい!」という自己中心的利他を大切にした動きから緑茶ファンの輪が、じわじわと広がり、やがてシリコンバレー中にファンを生み出したのです。健康ブームの追い風もあり、「お〜い お茶」はヘルシーなドリンクとして、強固なファンを確立しました。

このように「コミュニティ思考」をベースとしたアプローチは、自分が実現したい世界を作っていくだけでなく、他者を巻き込みファンをつくることが可能となるのです。草の根の活動をされている方も、ビジネスに携わる方も、より多くの人にこの「コミュニティ思考」というOSをインストールしていただければと思います。
(詳しくは、発売予定の本の中でご紹介したいと思いますので、発売しましたらお手に取っていただければと思います。)

今回の記事では、
コミュニティを醸成していく上では「Vison driven」「Be flat」「Give first」の3要素で構成される「コミュニティ思考」が大切な価値観であり、心理的安全性が高い状態で、自己中心的利他の精神で行動する事で他者に喜んでもらえるアクションにつながる
ということをお伝えしました。

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