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停滞しない筋トレプログラムの3原則、HPS法(たぶん日本語では一番詳しい解説)

ある程度筋トレの知識や経験がある方は、普段のトレーニングでいわゆる「サイクル」とか「プログラム」を組んでいると思います。
週や曜日によって重量やセット数、レップ数を変化させるやり方ですね。

その中でも一番シンプルなのは、プログラムが進むにつれて直線的に重量を増やしていくやり方です。

LP、Linear periodizationと呼ばれ、「線形ピリオダイゼーション」などと訳されます。

その他には、重量の増減に変化をつける方法が存在します。
日によって重量を増やしたり減らしたりする方法で、これをDUP、Daily Undulating Periodizationといいます。

直訳すると「日々持続させないピリオダイゼーション」という意味ですが、一般には「非線形ピリオダイゼーション」と呼ばれます。

どちらが優れているか、まだ最終的な結論は定まっていません。
でも、LPよりDUPの方が見込みありそうかな?という気配です。

LPよりやることが複雑ですし。

本記事では、そのDUPの中でもHPS法と呼ばれるプログラムを紹介したいと思います。

HPSはそれぞれHypertrophy、Power、Strengthの頭文字です。
それぞれ筋肥大、瞬発力、筋力、という意味になります。

このHPS法は、これらをバランス良く獲得すべく行うプログラムです。
3つの要素ないしは目標がある分だけ、停滞しにくい、重量を伸ばし続けやすいです。

週3日、合計で6週間のプロトコルが組まれています。
基本はスクワット、ベンチプレス、デッドリフトのバーベルコンパウンド種目をメインにするようです。

もちろん、マシンでも同じような効果は得られると思いますが。

補助種目については後ほど説明しますが、あまり多くは入れられないと思いますよ。

では紹介しましょう。
1日目、これを仮に月曜日とします。
この日は筋肥大を狙ったトレーニングをします。

スクワット   75%1RMで8reps×5sets
ベンチプレス  75%1RMで8reps×5sets
デッドリフト  なし

1RMというのは「最大筋力」のことです。
たとえば、ベンチプレスのMAX重量が100㎏の方は、75kgでこの日のベンチプレスを行います。

けっこうなボリュームですね。
75%ということは、だいたい10回ギリギリ挙げられる重量設定です。

それを8回5セットは、かなりの負担です。
特にスクワットの4セット目、5セット目辺りは相当キツいと思います……

2日目、これを水曜日としましょう。
別に火曜でも構いませんが、それぞれ1日は空けた方がいいと思います。

この日はパワー、爆発的な力を意識して行います。
具体的には、できるだけ素早くバーベルを挙上してください。

ただし、フォームを崩さないようにご注意を!
特に下す局面(エキセントリック)のスピードを速くすると、フォームが乱れやすいので注意してください。。

VBTのような、バーベル速度を計測する器具があると便利です。
(なくてもかまいません)

スクワット    80%1RMで1rep×5sets
ベンチプレス   80%1RMで1rep×5sets
デッドリフト   なし

全て1rep、つまり1回を5セットです。
というとボリュームが少ないように思いますが、これがこのプログラムのポイントです。

おそらく、1日目の筋肥大メニューでかなり疲労していると思います。
その回復をはかるためにボリュームを少なく設定し、なおかつある程度の高重量を扱うことで3日目のトレーニングにつなげます。

また、挙上スピードを意識することで、「パワー発揮」の感覚を体に刷り込みます。
ちなみに挙上スピードが上がると、スティッキングポイントを越えやすくなることが、実験などから知られています。

以上のことから、H→P→Sの順番で行うのがどうやら最適解のようです。
実施された実験では、H→S→Pの順序よりも有効であることが示唆されています。

それでは3日目、これを金曜日としましょう。ストレングスの日です。
この日は、高強度で負荷をかける日ですね。

スクワット   85%1RMでAMRAP×3sets
ベンチプレス  85%1RMでAMRAP×3sets
デッドリフト  85%1RMでAMRAP×3sets

AMRAPとはAs Many Reps As Possibleの略で、要は「できるだけたくさんやる」という意味です。

ただし個人的なアドバイスをすると、本当に潰れる限界まではやらない方がいいです。

たとえば5回挙げて、「次の6回目は挙がらないな」と感じたら、そこでセットを終えた方がいいでしょう。
高強度のセットでオールアウトを意識し過ぎると、フォームが乱れてケガのリスクが高まります。

場合によっては、もっと手前、1回や2回の余裕を残してセットを切り上げるという選択肢もあると思います。

論文や実験ではなるべく手法を統一したいので、AMRAPという基準を採用していると思われます。
余力を残すとなると、主観による個人差が出やすいですから。

これが基本的なサイクルになります。
やってみると分かりますが、3日目の高強度よりも、1日目の筋肥大の方がつらい!です。

先ほども言いましたが、補助種目はあまり増やさないでください。

特に、プログラムの前半はオーバーワーク気味になると思います。
そこに加えて補助種目を増やすと、プログラムの遂行そのものが困難になる恐れもあるでしょう。
少なくともプログラムの1巡目は、補助種目を控えめにするか、潔く「なし」でもいいでしょう。

上記を基本として、2週目以降はそれぞれの日のセット数を減らしたり、重量を上げたりしながら変化をつけて行きます。

具体的にいうと、以下の表のように重量とセット数を変化させます。
下図をごらんください。

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