寂羅漢

非/精神分析医。 人智の限界について、吟味しつつ生きる日々。 傍ら、筋力トレーニング…

寂羅漢

非/精神分析医。 人智の限界について、吟味しつつ生きる日々。 傍ら、筋力トレーニング歴は20年以上。 全国大会での入賞経験もあり。 エビデンスに基づいた、ベーシックかつ効果的なトレーニングを紹介。 誰でも、強くなれる。 強くなったその先に、ほんとうの弱さはある。

最近の記事

「エキセントリック」か「コンセントリック」か?それが問題だ ~最適な筋力トレーニングの動作について、比較実験から考える~

エキセントリックとコンセントリック。 筋力トレーニングをしていると、時おり耳にする言葉です。 どちらも「筋力の発揮」に関わる用語で、 コンセントリックは通常「短縮性(筋収縮)」と訳されます。 たとえばベンチプレスの、バーを挙上する局面を思い浮かべてください。 大胸筋が収縮しながら、筋力が発揮されていますね。 このような筋力の発揮の仕方を、コンセントリック(収縮)といいます。 それに対し、エキセントリックは「伸張性(筋収縮)」と訳されます。 同じくベンチプレスで、逆

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    • 【番外編】鏡の国のアリスが感じたのは 冷たさ? 暖かさ? ~ 心理学実験から「ミラーリング効果」について考える ~

      (今回もトレーニング分野以外の文献紹介です) さて、あなたはミラーリング効果というものをご存じでしょうか。 心理学の用語で、 好感を持っている相手の仕草や行動を自然と真似てしまう ことを言います。 たとえば、相手がコップの水を飲んだらこちらも飲み、相手が髪をかき上げたら同じようにかき上げる。 相手が首をかしげたらこちらも首をかしげる、といった具合です。 あたかも「鏡写し」のような状態なので、「ミラーリング効果」です。 どうやら、お互いのやりとりが深まるうちに、

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      • 最適な筋力トレーニングは「分割法」か「全身法」か?~長年の問題に「メタ分析」による結論が出ていた件について~

        さて、「分割法」と「全身法」。 いったいどちらが最適解なのか、筋力トレーニングをする人にとっては、古くて新しい問題です。 まず分割法というのは、現代の筋トレ業界では割とポピュラーというか人気の方法で、簡単に言うと曜日ごとにトレーニング部位を分ける鍛え方です。 一番シンプルなのは、 月曜日:上半身  水曜日:下半身 金曜日:上半身 (翌週月曜は下半身) と上下で2分割する方法でしょうか。 しかし、いわゆるトレーニングに「本気」の人ほどだんだん分割方法が細分化し、

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        • 【番外編】本当に「年収=幸福」なのか?~ついに出てしまった残酷な結論!?について考えてみよう~

          ※ ふだんはスポーツ科学やトレーニング関連の話題を提供していますが、今回どうしても気になったトピックがあったので発信しています。 「あれ?なんかいつもと違うぞ」と思われたあなた、どうもすいません。 でも、興味があったら読んでみてくださいね。 ※ ダニエル・カーネマンという研究者をご存じでしょうか。 イスラエル出身のアメリカ人で(両方の国籍をお持ちのようです)、行動経済学という研究分野を確立させるのに多大な功績のあった方です。 長らく、プリンストン大で教授を務めて

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        「エキセントリック」か「コンセントリック」か?それが問題だ ~最適な筋力トレーニングの動作について、比較実験から考える~

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        • 【番外編】鏡の国のアリスが感じたのは 冷たさ? 暖かさ? ~ 心理学実験から「ミラーリング効果」について考える ~

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        • 最適な筋力トレーニングは「分割法」か「全身法」か?~長年の問題に「メタ分析」による結論が出ていた件について~

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          熱中症は日本の「風土病」なのか⁉~WBGTの取り扱いから日本のスポーツ環境、特に「部活動」について考える~

          この夏も、連日スポーツの話題で盛り上がっていますね。 そんな中で気になるのが、日本の夏の暑さです。 とにかく暑い。 日本の夏は高温多湿なことで有名ですが、それにしてもここ何年かの暑さはちょっと異常です。 東京(都心部)の気温も、いわゆる「猛暑日」と言われる最高気温が35℃を超えた日は、2024年の7月で12日間、8月(8/30時点)で7日間です(気象庁HPより)。 少し意外ですが、7月の方が暑いんですね。 都心でさえこれですから、同じ東京都内でも、たとえば練馬や八

          熱中症は日本の「風土病」なのか⁉~WBGTの取り扱いから日本のスポーツ環境、特に「部活動」について考える~

          個人の才能+才能=チームの実力!?~勝てる組織に必要な人間とは~

          さて、早いもので、あっという間にパリ五輪が終了してしまいましたね。 国内では、夏の高校野球も大いに盛り上がったようです。 その後はパラリンピックでしょうか。 そんなわけで、今回はチームスポーツについての話題を紹介しましょう。 たとえば、あなただったら次の質問にどう答えるでしょうか。 自分が所属するスポーツチーム、もしくは自分が応援しているチームをもっと強くするためには、何が必要ですか? もっとたくさん練習するとか、優秀な指導者を連れてくるとか、いろんな回答があり得る

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          個人の才能+才能=チームの実力!?~勝てる組織に必要な人間とは~

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          原因不明のヒザの痛み、「あの部位」を鍛えても改善できる?~ランダム化比較試験から考察する~

          さて今回は、スポーツや運動をする習慣のある人なら、きっと一度は苦しんだことがあるだろう ヒザの痛み についてです。 このヒザの痛み、臨床的には「Patellofemoral Pain」、略してPFPと呼ばれるそうです。 日本語に訳すなら「膝蓋大腿関節痛」でしょうか。 明確な原因が不明(特発性といいます)で、階段を上ったり、ジャンプやランニング、スクワットの動作などを行うと痛みが悪化するものを、こう呼びます。 この痛み、従来は主に「大腿四頭筋」との関連性が指摘されていま

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          原因不明のヒザの痛み、「あの部位」を鍛えても改善できる?~ランダム化比較試験から考察する~

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          つらい腰痛、重要なのは「体幹」のあの力かも!~研究論文を手がかりにして~

          腰痛つらいですよね。 自分も、これまでの人生で何度か苦しんだことがあります。 どれもつらかったですが、とりわけ印象的だったのは、10代の頃でしょうか。 当時は、それこそ毎日のように「部活動」をしていました。 べつだん強豪校というわけではありませんが。 今思えば、蓄積した疲労が原因だったのだと思います。 グラウンドの土も非常に硬かったですし。 しかも当時は、「疲労管理」なんて発想はどこにもありませんでした。 だんだん腰の痛みがしんどくなって、しまいには歩くのもやっと、

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          つらい腰痛、重要なのは「体幹」のあの力かも!~研究論文を手がかりにして~

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          「鍛えすぎ」にはご用心、か⁉~「体幹」の深層筋と短距離走との不思議な関係~

          さて、今回もちょっと面白い論文を見つけたので、この記事ではその紹介がメインです。 いつ頃のことでしょうか。 ある時期を境に、日本の一般的なスポーツシーンでも「体幹」という用語が頻繁に使われ始めた印象があります。 「体幹」というのはおそらくtrunkの訳語で、ほんらいは木の「幹」や人間の「胴体」という意味です。 上端では肩関節(もしくは肩甲骨)を通じて腕とつながり、下端では股関節を通じて脚とつながる部位です。 (樹木であれば枝葉に相当する)四肢の動きを支える基礎となる部

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          「鍛えすぎ」にはご用心、か⁉~「体幹」の深層筋と短距離走との不思議な関係~

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          筋肥大トレーニングの「最終結論」か、それとも現れては消える「泡沫理論」か⁉~大注目の「LLP法」について考える~

          さて、筋肥大トレーニングの基本中の基本といえば フルストレッチ/フルコントラクションFull Stretch/Full Contraction ですね。 完全伸長/完全収縮ということで、かんたんに言うと、伸ばしきって縮みきる。 つまり「可動域をめいっぱい使ってトレーニングする」ということです。 これとほぼ同じ意味あいの用語で、Full ROM(Range of Motion)という言い方もします。 「全ての可動域」という意味ですね。 基本的に、できるだけ広い範囲

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          筋肥大トレーニングの「最終結論」か、それとも現れては消える「泡沫理論」か⁉~大注目の「LLP法」について考える~

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          失われた時を求めて ~アンチエイジング、あるいは「若返り」としての筋力トレーニングを考える~

          今日のテーマはちょっと「即物的」というか、普段の話題と比べるとあまり「硬派ではない」内容かもしれません。 筋力トレーニングが、「皮膚の老化」に及ぼす影響 について調べた論文を見つけたので、紹介しましょう。 2023年の研究で、「Nature」系列の「Scientific Reports」に掲載されました。 「Nature」というと世界的に有名な科学雑誌ですが、これはその「姉妹編」にあたるようです。 ぜんぜん知りませんでしたが、ひとくちに「Nature」といっても、ど

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          失われた時を求めて ~アンチエイジング、あるいは「若返り」としての筋力トレーニングを考える~

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          スクワットにおける「ニースリーブ」の有効性、そしてサイズの選び方は?~論文から、筋トレ用の「ギア」について考えてみよう~

          いわゆるBIG3、バーベルコンパウンド種目のトレーニングを行っている方は、何らかのギアを身に着けてトレーニングをするんじゃないかと思います。 トレーニングベルト、ニースリーブ、リストラップあたりは定番といってよいでしょう。 この3つに関しては、パワーリフティング競技のクラシック部門でも使用が認められています。 それぐらい、エレメンタルなギアだということでしょう。 ただ、最近はベルトを巻かずに筋トレを行う人も増えているようですが。 たしかにマシン主体のトレーニングだと、

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          スクワットにおける「ニースリーブ」の有効性、そしてサイズの選び方は?~論文から、筋トレ用の「ギア」について考えてみよう~

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          【基礎文献】アナボリックステロイドの驚愕の効果⁉ ~なぜ「ドーピング」が競技スポーツを「破壊」するのか、実験から考える~

          かなり有名で、なおかつ少し古い論文ですが、筋力トレーニングや競技に携わる人間にとっては、ぜひとも押さえておきたい内容なので紹介したいと思います。 1996年の研究で、アナボリックステロイドの効果に関するものです。 この論文によると、アナボリックステロイドの使用が筋肉量を著しく増加させ、スポーツ競技の成績向上に大きく貢献することは以前から知られていましたが、実際にその効果がどれほどのものか、具体的に確かめた研究はこれ以前にはなかったといいます。 (正確には、研究自体はある

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          【基礎文献】アナボリックステロイドの驚愕の効果⁉ ~なぜ「ドーピング」が競技スポーツを「破壊」するのか、実験から考える~

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          適切な疲労管理の第1歩!上手なトレーニングボリュームの増やし方、そして減らし方

          筋力トレーニングの基本原理の一つに、「トレーニングの成果はボリュームに比例する」というものがあります。 基本的に、トレーニングは「たくさんやるほど効果が大きい」ことが、近年のトレーニング科学の研究から分かっています。 この原理は、筋肥大においては特によくあてはまります。 1回よりは2回。 1セットよりは2セット。 週1日よりは2日。 できるだけ多くトレーニングした方が、得られる成果は大きいです。 まあ、ある意味では研究どうこう以前に、「あたりまえ」のことですが。

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          ゴムバンド、チェーンを使用した「可変負荷トレーニング」は筋力向上にどれだけ有効か?~比較実験を手がかりにして~

          バーベル種目の1RM、つまりMax重量を伸ばすための手法の一つに「可変負荷トレーニング」というものがあります。 英語では「Accommodate Resistance Training」といい、パワーリフティングなどの分野では割と浸透している方法です。 簡単にいうと、バーベルに「ゴムバンド」や「鎖」を付加して挙上するトレーニング法です。 こんなスタイルのトレーニングですね。 私の記事でも、紹介したものがあります。 その可変負荷トレーニングについて気になる論文を見つけ

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          ゴムバンド、チェーンを使用した「可変負荷トレーニング」は筋力向上にどれだけ有効か?~比較実験を手がかりにして~

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          ジャンプ力が上がるのはどっち?~カウンタームーブメントジャンプとドロップジャンプの比較実験から考える~

          バスケやバレーなど、到達点の高さが求められる競技では、ジャンプ力は必須の能力です。 そのジャンプ力を向上させるにはどのような練習が最適か、ヒントになりそうな研究があったので紹介します。 2020年の研究です。 ひとことで言うと、 カウンタームーブメント ジャンプ(Counter Movement Jump) ドロップ ジャンプ(Drop Jump) を比較したものです。 カウンタームーブメントジャンプ(CMJ) いわゆる、上体と腕の振りで反動をつけた垂直飛びですね

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          ジャンプ力が上がるのはどっち?~カウンタームーブメントジャンプとドロップジャンプの比較実験から考える~

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