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豚肉のソテー、グレープフルーツソースに咲きたてのカプシーヌを添えて

私は、花や野菜といった植物たちをまともに育てられたことがほぼない。
雄大な田畑に囲まれて育ったけれど、である。

そんなのは「寒国出身だから寒いの大丈夫でしょ」というのが当てはまらないのと同様。
犬のお世話はできても花のお世話ができるとは限らないのだ。

今だから白状するけれど、小学校の自由研究、1年生のときの朝顔も2年生のときのミニトマトも父が見てくれていた。
ん?でも3年生のときのお蚕さんだけは、自ら早朝に桑の葉を取ってきてせっせと蚕に与えていたな。動く生き物はなんとかなるのか?


北フランスに生息するようになって、いくらでも菜園をつくれるキャパはある。けれども、ミニトマト、ラディ、数々のハーブ、ただの一度もうまくいかない。

Otto氏が結婚記念日に贈ってくれた柑橘系の枝も、ベリー系の枝ももれなく枯れた。デストロイヤーかよ私は。


例外的に、昨年夏、なにもしなくてOK!と書かれたミックス種を蒔いて、書かれている通り本当に何もしなかったら、非常に野生的な花畑ができた。

それはそれはうれしかったけれど、コスモスは天まで届けとばかりに私の身長を軽く超してしまったし、海近特有のどえらい強風にやられて最後の方はなんだか見るも無惨に終わってしまった。


今年の春、ご近所が庭仕事に励み始める頃。田舎民の週末の憩い場、ホームセンター(Leroy Merlin)で工事用の材料を調達しているOtto氏に「今年も去年の種と同じやつをお願い」と頼んだら、違うものを買ってきた。私に育てられると思っているのかこの人は・・・ちっとも学ばないな。。

真ん中の表記は読めないからおいておいて、
(左2つ)カプシーヌ、ナスタチウム
(右)スシ、ポ・マリーゴールド

フランスに長いこと住んでも一向に覚えないのが、魚の名前(これは港町に住んでだいぶマシになった)、病気の名前(内臓器官も含む)、そして花の名前だ。マリーゴールドは一応外見でわかるけども、イメージなしでSouci(スシ)と言われても生魚と米しか思い浮かばないそんな私はジャポネーゼ。

2袋もあるカプシーヌってのはなんだ?検索したらヴィトンのバッグの名前しか出てこない。マジそういうの興味ないんだけどモードに入る手前、検索ワードに花も加えたら、ようやく参考になりそうなページに辿り着いた。

え!この花って食べられるの!?
俄然やる気になるアメーバなみの単細胞。


郷にいれば郷に従え。フランス人のやっている家庭菜園系Youtubeを探してみてみると、種を蒔いたらそんな手間をかけなくても大丈夫と言っている。それはすなわち自然にまかせてオッケーということよね?ミドリムシなみの単細胞。

そんな流れで、日本に発つ前、4月下旬に庭の一角に蒔いていったのですよ。戻ってきてから蒔くのでは蒔き時を逃すのではないかと思って。


6月頭に自宅に戻ってきたときはカプシーヌ(ナスタチウム)だけ葉っぱが茂っていたけれど、マリーゴールドの方はまったく動きなし。これはマリーゴールド失敗だな。寒かったみたいだし致し方なかろう。

残るは本命カプシーヌ。葉がしげれば花って咲くよね?と毎日言い聞かせること1ヶ月。

6月最終日。夕方庭で俺と追いかけっこをしているついでに、緑に混じる未確認物体を目視。ドキドキしながら近づくと・・・ついに花を咲かせたではないの!

思わず声を出して狂喜乱舞してしまったよね


嬉しすぎるときは決まって衝動性が増す。葉っぱに隠れている花たちとともに早速摘んで、ブラシで慎重に水洗い。

俺ギョロ見


さて何をつくろうか。花をメインにするわけではない。あくまで花をそえるのだ。和の茶色いおかずには合わなそうだから、やっぱり洋かエスニックか。マルシェで仕入れていた豚肩ロースの厚切りを主役にもってこよう。


我、豚とフルーツの組み合わせ大好き民。いつもは豚×りんごと安牌に走ってしまうが、今日はちょっぴり冒険。カッペリーニに合わせようと思って買っていたグレープフルーツを採用することにした。以下簡単な覚書。


豚肩ロースのソテー、グレープフルーツのソース


【材料と適当な分量】
・豚肩ロース厚切り:200gくらい
・塩:適量
・昆布茶:適量
・小麦粉:適量
・にんにく:1かけ

・グレープフルーツ:皮をむいて1/2玉分
・みりん:大さじ1くらい
・白だし:小さじ1くらい
・ホワイトバルサミコ酢:大さじ1いかないくらい

適当すぎて分量書かなくてもいいんじゃないか?の覚書


ソースにできるだけ茶色をつけたくないので醤油不採用、白だし採用。マイユのホワイトバルサミコ酢はフルーツをおかずに変換する際に使うことにしている。

みりんはツルヤのです


まずは豚肉から調理。

豚肩ロースの両面に塩を軽くひとふり、昆布茶を軽くひとふりして馴染ませ、小麦粉をはたき、にんにくとオリーブオイルを熱したフライパンでソテーする。両面を中〜強火で焦げ目が軽くつくくらいで焼いたら、アルミホイルに包んでバットの上で中休み。(写真なし)

次、ソース。豚肉を焼いたフライパンにみりん・ホワイトバルサミコ・白だしを混ぜたものとグレープフルーツを加えて、フライパンにこびりついた肉エキスをこそげ取りながら混ぜる。肉汁いねえがー?気分はナマハゲ。

にんにくは取り除いたほうがいいですね


グレープフルーツがやわやわになるまで煮詰めたら、アルミホイルにおくるみされた豚を投入してソースにからめる。アルミホイルに滲み出ているであろう肉汁も投入するのを忘れるなかれ。

いつもはバターは加えるけれども、今回はさらっとさせたい気分なのであえて加えず


真ん中にメインをドーンとおいて周りにセンスよく花などを散らし、メインとひとつのストーリー仕立てにするというプロっぽい盛り付けにしたい・・・のは理想だけど、力量なし。

結局、「花を添える」の域を出ない盛り付けでフィニッシュ。

葉っぱも美味しいらしいので葉っぱも添える


うんうん、花があるとやっぱり食卓も華やか!

手持ちのうつわのなかから爽やかメンバーを動員


炭水化物は、そら豆のサラダ風カッペリーニ。

枝野豆男登場の翌日だったので、そら豆を使って何かしたく、カッペリーニを茹でてマヨ&ゆかりとあえて茹でそら豆を加えた。

白山陶器の青磁色ともとても合うのね〜

ゆかりってセクシーな万能調味料(進次郎?)って感じでとても好き。思いつきの割にとてもよかった。


花は食べている間見ていたかったので、ひとまず葉っぱをかじってみたらば、これがなかなかに美味しい!青臭さという名の清涼感があるというかなんというか。サラダみたく大量にあると疲れそうだけど、油っぽいものの間にかじる分にはすごくいい存在感を出しているなと思った。

なお、花をかじる頃にはお腹いっぱいで味がよくわからなくなってしまったというオチ。。

主食(パスタ)、主菜(豚)、汁物(野菜たっぷり)、デザート=理想食

肝心の🐽もグレープフルーツソースも、これがバッチリはまって美味オブ美味!酸味が効いてて、りんご合わせより好きかもしれない。脂多めの肩ロースにはグレフル、ヒレにはりんご&バターがいいかもとぼんやり考えた。あとは季節に合わせて冬はりんご夏はグレフルかな。


炊き立ての〜とか、とれたての〜とか、出来立ての〜とかは巷にあふれているけれども、咲きたての〜、が食卓のお皿の上に並ぶというのはなかなかに貴重。何もしなかった自分をねぎらうとともに、とにかく自然に感謝する夜なのであった。


放っておいたらもさもさ咲いてきたので
他の使い方を有識者の方教えてください🙇

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