マガジンのカバー画像

日本一周 京都・滋賀編

36
日本一細かい京都・滋賀旅行の記録。
運営しているクリエイター

#旅

【日本一周 京都・滋賀編1】 そうだ、京都と滋賀に行こう

・旅立ちは夜に限る。  アルバイトを九時四十分に終えると、大急ぎで自転車を走らせ、朝に荷造りをすませておいたリュックサックをひっつかんで駅へと走った。何を隠そう、発車時刻がシビアなのだ。  駅に着くと、すでに到着している尾道の姿が見えた。青春18切符による九州旅行以来、およそ一年ぶりとなる二人っきりの旅である。深夜バスの時間の関係から課金して有料特急に乗車し、先頭列車を占拠した。乗客は1車両に1人、多くて2,3人ときわめて少なく、鉄道会社の経営を案じた。  車内ではノー

【日本一周 京都・滋賀編2】 ファストフード店の惨劇

 京都駅到着のアナウンスで目覚めるという深夜バスにおける最上級の夜を過ごした僕は、無機質な白色灯に目をくらまされながら、安眠グッズをのそのそとリュックサックに収めた。今回の深夜バスタイムにおける失態を挙げるならば、旅行道具を詰め込んでパンパンに膨れたリュックサックをバスの下っ腹に預け忘れたことだ。そのせいで足の置き場に困り、寝返りの回数が増えたことは火を見るよりも明らかだったが、夢の世界に居場所を見つけられた点において致命的ではなかったとの結論に甘んじよう。  時刻は6時2

【日本一周 京都・滋賀編3】 清水寺を貸し切りで

・ゴーストテンプル清水  マクドナルドを出ると、京都駅構内でバス一日券の券売機を見つけ、早速購入した。これまで幾度となく京都へ足を運んできたが、市内観光する上での最適な移動手段はバスであると、自信を持って太鼓判を押せる。一日券は600円とリーズナブルで、三回乗車すれば元が取れてしまう。京都市の隅々まで張り巡らされたバス網にかかれば有名観光地はもちろんのこと、穴場の銭湯や定食屋に行くときも重宝する。ただ、バス路線が多いために一つのバス停にたいして停留所が5,6個あるのは頂けな

【日本一周 京都・滋賀編5】 駆け足平等院

・10円玉には収まらない国風文化  平等院鳳凰堂の最寄り、京阪宇治駅のロータリーに「大人はズルいと思いませんか?」を店名に掲げる食パン屋を発見した。そういえば最近この手の、奇を衒った店名で街行く人の注意を引きつける食パン屋をよく目にする。明石曰く、これらの店は、とあるプロデューサーの手によって数を伸ばしているらしい。とにかく目に留めてもらいたいという一心での広告戦略なのだろうが、食パンの良さをアピールするわけでもないやり方は、広告として不健康である。食パンの味に自信があるの

【日本一周 京都・滋賀編9】 高級うどん

・大盛りは量が多いから大盛り  先ほど見つけたうどん屋の名前はずばり「鴨川製麺所」。京都観光客の琴線にたやすく触れる名前である。それに鴨川という単なる川の名前にもかかわらず、「鴨」という美味な食材の名前が入っているためにうっかりすると暗示にかかってしまう。注意が必要だ。  メニューはシンプルなすうどんから明太クリームうどんまで、ビギナーから上級者まで楽しめるバラエティに富んだ品揃えである。好奇心から初手明太クリームうどんの暴挙に出そうになったが、すんでのところで踏みとどま

【日本一周 京都・滋賀編18】 仁和寺の斬新なプロジェクト

・立ち喰いスパゲッティ  仁和寺行きのバスが来るまで15分あるということで、京都仕様に茶色くそまったローソンで朝ごはんを食べることにした。  たらこスパゲッティを購入した。僕はことにスパゲッティに目がなく、常日頃からお世話になっている。その中で、たらこスパゲッティに抱くのは「信頼」。麺とバターとたらこと海苔の黄金メンツには欠点などない。不味く作る方がはるかに難しいのが、たらこスパゲッティである。  しかし、このローソンのたらこスパゲッティ。めちゃまずい。  バターの

【日本一周 京都・滋賀篇19】 仁和寺×現代アート 異色コラボとの邂逅

・ゼロ・ヒガシダ>仁和寺  御室仁和寺バス停で下車。初めての参拝のつもりでいたが、入り口の仁王門からひたすら直線に伸びる砂利道を目にした瞬間、中3の修学旅行で訪れた記憶が蘇る。(やっぱり何かにきちんと記録しておかないと記憶は綻ぶものですね)  砂利道を進んだ左手にある唐破風が施された門に惹かれて立ち止まる。欄間や側面には鳳凰や唐草模様などの精緻な彫刻が施されてあり、二人してしばらくこれらの意匠に目を凝らした。  ところで、先ほどからずっと気になっていたのだが、境内のあち

【日本一周 京都・滋賀編20】 龍安寺での暇のつぶし方

・陽だまりの石庭  続いて目指すは龍安寺。仁和寺からは徒歩でも行ける距離にあるが、時間削減のためにバスを使う。  龍安寺に着いたものの入り口がわからず、広い駐車場をうろうろしていると警備員のおじさんが「こっちだよ」と言葉少なに教えてくれた。優しい。受付でお金を払って門をくぐると、左手には大きな池があった。鏡容池という名にもかかわらず、英語の看板にはLakeと表記してあった。確かに大きいけど、湖とは強気な、、。  方丈に入ると、すぐにかの有名な石庭が現れた。観光客は数える

【日本一周 京都・滋賀編21】 京都で一番かっこいいチケット

・会いに行けるアイドル・金閣  金閣寺は中学校の修学旅行にはじまり、高校時代の家族旅行や、直近では半年前に訪れていた。そのため、ぶっちゃけて言うと訪れること自体への感動は皆無に等しかった。どちらかといえば、昨夜に夢破れたスシローへのリベンジを昼食に控えていたため、それへの布石として、腹をすかすための散歩に価値を見出していた。ごめんなさい。  金閣寺の魅力の一つに、参拝券の格好よさがある。縦長の和紙が墨文字と朱色のハンコで彩られたもので、お神札のようなありがたさが感じられる

【日本一周 京都・滋賀編22】 意地でスシローに行った話

・スシロォォォー!!  京都一の繁華街である四条河原町交差点から歩いて5分、蛸薬師通り沿いのスシローにやってきた。昨晩とは異なり、ちゃっかりしっかり「営業中」である。よしよし。 (昨夜起こった事件については、下の記事に書いてあります。  はじめてNote公式の「国内旅行 記事まとめ」に載せていただいた記事が、まさかこれになるとは、、、)  祝日ということもあってか、受付は混雑しており、待ち時間は30分もあった。しかし、スシローへの思い入れが違う我々は、それくらいのことで

【日本一周 京都・滋賀編23】 大正の夢見たSF建築

・分離派建築会100年展〜建築は芸術か?〜  この記事は、旅中に立ち寄った京都国立近代美術館にて開催されていた企画展、「分離派建築会100年展〜建築は芸術か?〜」の鑑賞記録である。  西洋の建築様式の受容と独自のスタイルの確立の狭間で揺れる、日本建築史上最もホットといえる明治・大正時代、そのなかで切磋琢磨した分離派建築会の活動を紹介するのが、この展覧会である。  分離派はその名の通り、既存の建築を模倣するだけのスタイルに異議を呈し、新たなる様式を模索した集団である。その

【日本一周 京都・滋賀編24】 平成を揺るがした現代アートたち

 この記事は、旅中に立ち寄った京都市京セラ美術館にて開催されていた企画展、「平成美術 うたかたと瓦礫」の鑑賞記録である。 ※平成に制作された現代アート作品を中心にとりあつかった企画展  「平成美術」展の会場へ向かうと、入り口の外からしてすでに、スペードのエースを無限に投影し続けるプロジェクター(IDEAL COPYの作品)がカタカタと騒いでいた。「これはすごいものがはじまる」という予感が肌を走った。 件の図録  入場して最初に迎えられたのは、高さ4mを超える壁一面を覆

【日本一周 京都・滋賀編25】 見知らぬ人とじゃんけんぽん

・京極スタンドでの珍事  閉館ギリギリの18時までミュージアムショップにいたものだから、四条河原に着く頃には19時をとうに回っていた。時短営業の影響ではやく閉まる店が多いことは、京都随一の商店街である新京極や寺町通りにおいても例外ではない。昨夜に身をもって知っていたにもかかわらず、またもや食いっぱぐれるところであった。京極通りに位置する居酒屋兼定食屋「京極スタンド」がギリギリ開いていて、すぐさま駆け込んだ。 新京極の通り沿いにある「京極スタンド」  ラストオーダーギリギ

【日本一周 京都・滋賀編26】 京都でおすすめの古風な銭湯

・錦湯と冬  昨夜の日の出湯に続き、この旅行では京都の銭湯をまわろうと決めていた。 (日の出湯については下の記事に!)  高校の修学旅行で訪れて以来、なにかと足繁く通っている「錦湯」。今回はまだ行ったことのない尾道を誘ってやってきた。入り口の戸を開けるとすぐさま裸のおじさんたちという、プライバシーの草創期のような脱衣所で服を脱ぎ、浴場へと向かった。 昔ながらの行李と木棚(撮影許可とってます)  事前に宿から拝借して小さいジップロックに入れてきたシャンプーリンス石鹸をシ