毎日超短話353「パフェ」
頼んでいないパフェがテーブルにやってくる。お待たせしましたと言われるけど、お待たせしてない。でも、2歳の息子が「はーい」と手を上げるので、まあいいかとパフェを受け取る。
「あ、これ」と妻が言いかける。
「あ、これ」とぼくも言う。
亡くなった母といつか一緒に食べたパフェだ。息子は誰もいないほうに顔を向けて、手を振っている。
「食べたいんだね、きっと、おかあさん」
みんなでそれを食べようと思う。
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