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脱水と水分補給について


本日の現場からは【脱水と水分補給について】と題してお話します。

先日まで、オリンピックで熱い戦いが繰り広げられていました。
オリンピックでも選手からクレームが出るほど、今年も連日、真夏日や猛暑日が続出しています。

そんな暑い夏の時期になると話題に上がるのが、脱水症状についてです。
スポーツ現場でも必ずと言っていいほど、シーズンに一度は注意喚起します。

脱水症状の注意喚起は、「こまめな水分摂取を心がけましょう」というのが王道です。
これをそのまま解釈して、ひたすら水だけをこまめに摂る方が少なくありません。
脱水症状にならない為に行っている水分補給ですが、水だけを摂取していると、逆に脱水症状を招く可能性がある事はあまり語られることもなく、周知もされていない様に思います。

また、ここ2年はコロナとの戦いも一進一退が続いており、どこにいてもマスク着用が推奨されています。
屋内は言うまでもなく、屋外でも人込みなどではマスクを着用している人を多くみかけます。もちろん、感染拡大防止の為には、マスク着用は一定の効果があるので、大切な取り組みの一つです。
しかし、炎天下でのマスク着用は熱中症や脱水症状を招くリスクもあります。

そんな、脱水症状や水分補給についてお話します。


脱水症状とは

人の体は、60%が水分で出来ていると言われています。
小児に至っては、80%が水分で出来ています。
(赤ちゃんがもち肌な理由がわかりますよね)

この割合からもわかるように、人間にとって水分(体液)はとても大切です。

そんな水分(体液)が失われて起きるのが、脱水症状です。
脱水症状とは、様々な影響により、体の水分量が枯渇すると現れる症状です。
その症状は、めまいやこむら返りなどの軽傷から、嚥下不能や意識障害などの重傷、最悪の場合は死に至る恐ろしい症状です。

そんな脱水症状ですが、脱水症状と聞くと、脱水、つまり水が不足している状態をイメージする人がほとんどだと思います。
もちろん我々専門家は、その程度の知識ではいけません。

脱水症状とは、ただ単に水が失われた状態ではなく、発汗などによってミネラル(電解質)を含む体液が失われた状態です。
この常識を抑えた上で、水だけを摂取する行為が危険を招くことは容易に想像出来ますよね。


自発的脱水とは

脱水症状にならない為には、体の水分(体液)が枯渇してはいけないことは言うまでもありません。
そしてもう一つ、体内での水分とミネラル(電解質)濃度が一定である事がとても重要です。

汗をかくと、水分と一緒に主にナトリウムが失われます。
そんな状態の時に、水だけを飲んでいると、体内の水分とミネラルのバランスが崩れ、体液がどんどん薄くなります。
ミネラルは汗として失われているにも関わらず、水だけを飲むと、体内では残り少ないミネラルが補給した水によって更に薄められてしまいます。

すると体は、体液が薄くなることを防ごうとして喉の渇きを無くしたり、過剰な水を尿として排出しようとします。
これらは、自らが体を守る為に起こる反応です。
しかし、その結果、体液の量を十分に確保出来なくなってしまいます。
これを自発的脱水と言います。

一番伝えたいのはここで、
当然、一般の方でも気を付けなければいけないことですが、
なんと未だに、スポーツ現場でも水だけを摂取しているアスリートが多くいます。

水分補給という言葉自体が問題かと思いますが、
パフォーマンスを低下させない為にも、命を守る為にも、水だけではなくミネラルを補給することがとてもとても大切です。


水中毒とは(低ナトリウム血症)

自発的脱水と並んで、水だけを摂取することで起きるリスクの一つ、水中毒です。

摂取した水分量が過剰となり、排出する量より上回ってしまった時に起きる症状です。
血液が薄くなり、血液中のナトリウム濃度が低くなり正常値を下回ると〝低ナトリウム血症〟となります。
ナトリウムは、細胞外液の浸透圧を調整する働きや、筋肉や神経の働きを正常に保つ働きがあります。

筋肉や神経と聞くと、アスリートにも少しは耳を傾けてもらえるかと思います。
肉離れなどの致命的な外傷とまではいかなくても、神経の働きに影響を与え、神経伝達速度が遅くなったりしたら、パフォーマンスする上では大きな被害です。

2%の脱水でパフォーマンスが低下すると言われています。
それは、筋肉だけの影響ではなく、神経伝達速度にも大きく関わっています。


イオンバランスについて

人体は、水分(体液)で出来ています。
その体液の中身は、水、電解質(ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、ブドウ糖、タンパク質、非電解質(尿酸など)から構成されています。

この電解質(イオン)は、水に溶けると電気を通す物質のことで、細胞の浸透圧を調節したり、筋や神経の働きに関わったりと、体にとって重要な役割をしています。

そんな電解質(イオン)は、バランスがとても大切です。
多ければ多いだけ体にとって良いというわけではなく、適度な量が決まっています。
それがイオンバランスです。

イオンは、陽イオンと陰イオンに分けられ、主なイオンは、
ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、クロールイオンです。各イオンにそれぞれ役割があります。

電解質を含む体液が60%だとすると細胞内液40%と細胞外液20%の割合で分布しています。
細胞内液が2倍あることは重要で、細胞外液が不足したときは、細胞内から細胞外へ移動して補う仕組みになっています。

そんなイオンの内と外のバランスですが、体は水や食事から水分や電解質を摂取し、それとほぼ同じ量を体外に排泄して体内のバランスを保っています。この体の水分量や電解質の濃度を一定に維持する機能を〝体の恒常性(ホメオスターシス)〟と言います。

通常であれば、この機能により常に一定に保たれる水分量や電解質の濃度が、何らかの原因で崩れることがあります。

そうならない為に、水分補給の際は電解質(イオン)の補給が重要になります。

体内のバランスを崩さないことも考慮して、水分補給することが大切です。

兎角、大汗をかいたときは特に水だけの補給は控えて、必ずミネラルも一緒に補給しましょう。
正しい水分補給は、アスリートの方にとっては、パフォーマンスを維持する為にとっても大切です!


昔から、夏場の水分補給時には塩や梅を一緒に食べていましたよね。
これってとても理に適っていたということですね。

というわけで、
【脱水と水分補給について】と題してお話させて頂きました。
本日も、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
気づきのキッカケになった方は、いいねやフォロー、シェアなどを宜しくお願いします。

それでは、この後も心身ともに充実した時間をお過ごしください

以上、現場の竹田祐平からでした。



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