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思わずドキっ、でも教育に必須:三つのヒント

今日の京都は大雪。でも札幌帰りのスノーブーツ でなんとか無事帰還しました、江藤です。さて今日ですが、学校でハッとした三つの言葉を5時間反芻した結果、重大なヒントが隠されていることに気が付きました。

Purpose

英語科会議でのことです。国公立二次試験の対策をどのように進めるか、主任が先生方に尋ねた時のことでした。本校では赤本指導と言って、英語科の先生たちが空きコマの数に応じて1から3つの大学を受け持ち、生徒が解いてきた赤本の解説をする、個人指導の習わしがあります。

江藤「私は同じ大学に出願した生徒たちにお互い文章を見させて、いいところや気になったところを指摘させます。また、去年はコロナ禍だったので積極的にZoomやロイロのようなものを使いました。」

すると主任は「僕は一対一で丁寧に見ますけどね。」とおっしゃったのです。そこで私は、「あの、丁寧の定義が知りたいところですけど。」と丁寧に聞いてしまいました。なんとなくそのまま会議は終わりましたが、若手の先生たちの2,3人から先生は大人の対応ですね言っていただきました。

でもイラッとしたというより、本当に定義が違うなと感じたのです。ある人にとっては一対一で時間を割くことが丁寧かもしれない。ある人にとっては丁寧なプリントを作ることかもしれない。人によってメソッドは様々、丁寧の捉え方も様々です。

今回は明らかに説明不足でした。普段から学び合いや集合知ということを意識して授業デザインをしていないと、随分受け取り方が異なるからです。

江藤の場合は:
1)過去問の作文を説いてこさせる
2)お互いの文章を読ませる
3)Zoomやテキストでいいところ、気になったところ、訳の意図などを話し合わせる
4)私の方から訳のポイントを説明する
5)生徒が自ら書き直し、さらに江藤が添削する
5)似たような作風の文章でさらにもう一度繰り返す(例えば阪大外国語学部の内田樹の文など)

この流れの中で、生徒たちの理解を図り、言語化することで気づきを促し、場をみとって次の作文に活かす。

定義はそれぞれ異なります。ですから、ここではお互いもう一段俯瞰して目的をしっかりと捉え直すべきでした。

Yet

その後の空き時間で私が受け持っている論理表現の話になりました。今年の4年グローバルは極力文法用語も英語、そして英語を使いながら、大きな世界観を捉えるということを大事にしています。そのために極力内容を削ぎ落とし、生徒が自ら考え、使うことを重視しているのです。

それをいつも身近で聞いている先生が、言いました。「僕は先生の後に論理表現持つのはまだできないと思います。」

The power of yet

この「まだ」というのが非常に重要です。「僕には合いません」と言われたらおそらくその先生とはこのような話をすることは今後避けるでしょう。でも、いつも愚痴や生徒の素行ではなく、授業デザインや英語の話で盛り上がることができるのは理由があるのです。

それが「まだ」の力。キャロルデウェックのこの動画がわかりやすいです。

しなやかなマインドセットを持っているからこそ、「まだ」という言葉がすぐ出てくるし、授業がどんどんブラッシュアップされていくのです。

Home

最後の一つです。朝礼のために教室へ入ろうとしたときのこと。江藤の口から出た言葉はおはようございますではなく、まさかの「ただいま」でした。まー、うちのクラスは掃除も行き届いておらず、暮らしたいとは思わないのですが(笑)でも、ほっとするような場の空気があるのでしょう。高校1年の時の担任の先生が持ち上がる予定だったのに急遽江藤になってはや10ヶ月です。

授業に緊張感が必要だというのはわかります。でも始終小言を言ったり、生徒を叱りつけたり、罰を与えないとうまくいかないのは生徒のせいだけではありません。教師側が、生徒とのラポール形成が中途だったり、授業デザインが自分の楽なようにされていたりすることも疑ってみるべきです。

「ただいま」はおかしいですが、大人だって日々ギスギスした場は嫌でしょう。

自己効力感の上がる場づくり

これらは何を表しているでしょうか。私は、「自己効力感の上がる場づくり」だと思います。自己効力感は、社会的認知理論の中で使用される心理学用語の一つで、スタンフォード大学教授のアルバート・バンデューラ博士によって提唱されたものです。自己効力感をなくすと生徒はどうなるかというと「劣等感」を持ち始めます。本来できるはずのことなのに自分にはできると思えなかったり、やろうともしなかったり。

究極的には、「自分にも世界は変えられる」と生徒が思えるようになることが最高の場だと考えています。そのために、授業では教員同士、教員と生徒が高次の目的を共有すること、教師も生徒も「まだ」できないということをできるようになると信じられるようになること、そして戻ってきたいと思えるような教室が大事なのです。

さいごに

掃除でのこと。「えとー先生は私たちのおかーさんみたいですね。」と言われました。褒められてるのかなんなのか分かりませんが、年を取るのも悪くないもんです。

オーガニックラーニングでは年間を通して様々な講座やワークショップをしています。2023年3月は去年の「しあわせな教室のレシピ」に続き、「自己効力感の上がる授業デザイン、場づくり」をテーマにする予定です。引き続き、お付き合いください。


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