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ポートランドーコロンビア(アウトレット) 初めてのアメリカ車旅

「スタンド・バイ・ミー」を、機能不全家族や児童虐待、大人のモラルハラスメントやネグレクトの物語として観る人はどれくらいいるのだろう。

12歳の中学校入学直前の春休みは、映画の中の、小学校を卒業した最後の長期休みを過ごす彼らと同じ状況だった。そんな時に初めてこの映画に出会い、「ぼくが君の父親になる」と言う12歳の言葉に胸を掴まれた無意識は、現在へ続く原点の感覚に思う。

それと同時に同じ状況の子ども達が集まって、ちょっとした悪さや冒険の計画を企て飛び出すわくわく感も、幼い頃からずっとどうしようもなく残っている。こっそり普段は仲良くないクラスメイトと月一放課後の土曜日に集まり、冒険をしていたことを思い出す。あの時、知らない土地を駆け抜ける際に見上げた、初夏の西日の針葉樹からの木漏れ日や、森の中の細い道路をどきどきしながら突き進んだ自転車の車輪の音は、現在も心地よさの基準となっている。大人に頼らず秘密の遊びを子どもたちだけで共有する感覚も。

アメリカ旅は、そんな原点の感覚を追いかけるような、心惹かれるものに追い立てられるままに進んだ旅となり、土地をどんどん好きになって懐かしささえ覚えてゆくほどだった。規制なく自由でどこまでも好きに時間を使えて、ちぐはぐな安心感に、泣きたくなった。故郷に戻れたような感覚だった。わたしたちにはもうない故郷に。

ポートランドの人たちは、おおらかな優しさが滲み出ていて、どこへ行ってもあたたかかった。実際土地柄もそんな場所のようで、差別や貧困、環境問題などへも開いた感覚を持っている人が多いそう。朗らかに感じた所以も外国人への一層の気遣いからだったのかもしれない。各店舗で笑顔で話しかけられたのは、初アメリカ大陸への恐れをかなり、かなり軽減してくれた。

ぶるぶる震えていた左ハンドルと右側通行も、ポートランドの大きな川を渡る頃には少し余裕も出てきた。川の向こうは都会だった。都会は行かない。

どんどん針葉樹の森と川しかない道に進んだところで、コロンビアアウトレットのある小さな町への大きな橋を渡った。低い軒の店舗が両脇に並ぶ住宅地。綺麗なスタバがあり、便利なベッドタウンという感じ。

コロンビアアウトレットは思いの外ガレージマートで、解放されたガレージにずらりと商品がひしめいていた。すっかり興奮したけれど、何しろ初日のお昼時に散財するわけにもいかないと抑制してしまい、確かアウトドア靴SORELを買うばかりだったような気がする。もったいないなあ、安かったのに。(←旦那が持ち物を増やしたがらなかった。賢明!)

39ドルのSORELは当時5000円くらいだっただろうか。日本で買うのの3割分ほどかな?デザインが可愛くて決めたけれど、その時はまだ、その靴の特性である雪用が存分に役に立つとは思ってもいなかった。その時履いていたのがビブラムソールとはいえ革靴だったので、念のために買っただけだったのに。

お客さんや店員さんに話しかけられ、どこに行くのか聞かれてはナイスと言ってもらったりしながら、可愛いSORELとスタバを持って(スタバは名前を言って、受け取る時名前を呼ばれるシステム)、再び川を渡った。

すっかりコロンビアで興奮しすぎた。時間は14時前ほどになっていた。長居!

やっと「スタンド・バイ・ミー」の舞台である、キャッスルロックの町へ向かう。高速で1時間半とあるが、無事着けるだろうか。

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#スタンドバイミー #ポートランド #コロンビア #アメリカ #アメリカ車旅

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