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由布市が提唱する教育「由布学」とは?全体を捉えることで見えてくる疑問

由布市が提唱する教育について紹介し、皆さんと考えていきます。

由布市では、市で定めされている教育方針があり、この方針をもとに各幼稚園、小学校、中学校、高校で教育が行われています。

私たち湯布院町も由布市の町のひとつです。
では、何を目的とした教育方針なのでしょうか?

本日は、皆さんに知ってもらい、地域の教育について考えるきっかけになれば幸いです。

由布市が提唱する教育、「由布学」とは?

住んでいる市の教育方針なんて気にしたことないし、そもそも公立の学校は全国どこも基本的には変わらないだろうと思いませんか?

私自身そう思っていました。
私も湯布院で育った一人ですが、市の教育方針なんて知りませんでしたし、大人からもそのような話は聞いたことありませんでした。

現在の由布市の教育方針は「由布学」と呼ばれています。
そして、『由布の魅力を発信できる地域のリーダーとして、地域に貢献する自立した“由布の人”づくり』を目指しています。

由布市のホームページには「由布学」について以下のように掲載されています。

「由布学」
~由布の「ひと」・「もの」・「こと」を題材に、課題解決型学習を展開する、幼・小・中・高13年間の学び~

引用:由布学全体図(PDF)

由布学のめざすもの
「由布の魅力を発信できる地域のリーダーとして、地域に貢献する自立した“由布の人”づくり」


幼稚園では既に平成30年度から、小学校は令和2年、中学校は令和3年、高校は令和4年から、新しい学習指導要領(文部科学省が定める教育の基本方針)が実施されます。この新しい学習指導要領では、これまでの知識や技能の習得に加えて、「思考力」「判断力」「表現力」や「学びに向かう力」等の資質・能力を育てることが、目標として掲げられています。そのためには、子どもたちが自ら課題を設定し、その解決に向かって、情報を集めたり、自分たちの考えをまとめたり、それらの考えを発信したりする「課題解決型」の学びの展開が必要であるとされています。また学校は、地域の皆さんと多く交流を持ち、地域の課題に対しても一緒に対応していく「地域に開かれた学校」となる必要があるとされています。
これらの方針を受け、由布市では、幼稚園・小学校・中学校・由布高校の13年間の学びを通して、由布市の「ひと・こと・もの」を題材に、子どもたちが課題解決型の学びを展開していく「由布学」に取り組んでいくことにしました。
由布市にあるさまざまな「ひと・こと・もの」に親しみ、それらを通して学ぶことによって、子どもたちの「思考力」「判断力」「表現力」や「学びに向かう力」を育てたいと考えます。また、「ふるさと由布」を愛し、ふるさとと自己との関りを考え続けられる「由布の人づくり」につながっていけばと願っています。

引用:大分県由布市

地域のリーダーを育成するための教育方針です。
由布市の将来を考えたとても素晴らしい内容だと思います。

では、さらに深堀っていきましょう。

各学年ごとで育成すべき「資質」「能力」

将来の由布市のリーダーを育成するためには、必要とされている「資質」「能力」があり、13年間を見通した、育成を目ざす資質・能力系統表(PDF)に掲載されています。

13年間とは、幼稚園、小学校、中学校、高校の期間です。子どもの発達にとても重要なこの期間に何を取り組むのでしょうか?市が公表している資料をもとに概要を紹介します。

幼稚園は「遊び」の中で

幼稚園は「遊び」の中で

上図に加えて、文部科学省が定める「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」も項目に含まれています。具体的には、「健康な心と体」「自立心」「協同性」「道徳性の芽生え」「規範意識の芽生え」「いろいろな人とのかかわり」「思考力の芽生え」「自然とのかかわり」「生命尊重、公共心等」「数量・図形、文字等への関心・感覚」「言葉による伝え合い」「豊かな感性と表現」です。幼稚園・保育園では、これらの具体的な姿をイメージしつつ、豊かな教育活動が展開されています。

▽由布院幼稚園に関する詳細情報

小学校低学年は「生活科」の中で、中・高学年は「総合的な学習の時間」で

小学校低学年は「生活科」の中で、中・高学年は「総合的な学習の時間」で

各学年ごとに目標とするそれぞれの詳細な資質・能力が決められています。小学校では由布市といっても校区内の活動を行います。関心を持ち、情報を収集し、課題を発見し、解決方法を考えるまで一連の流れを実践します。

また、保育園・幼稚園と小学校は、年3回の連携協議会と年1回の合同研修を行い、具体的な取り組みの共有や、小学校1年生の学習発表会に幼稚園生をゲストとして招待するなどを通じて連携します。

中学校は「総合的な学習の時間」の中で

中学校は「総合的な学習の時間」の中で

中学校では、市全体について取り組みます。由布市の抱える今日的な課題を捉え、解決策を考え、提言します。そして、由布市の街づくりを考えることで、自分自身の生き方とふるさとの関わりを考え、将来の選択に生かしていきます。

また、小学校と中学校は、年3回の連携協議会、家庭学習の連携、小学6年生についての中学校との連絡会、そして、小学校6年生の中学校訪問などを行い、具体的な取り組みの共有することで連携すると説明されています。

由布高校は「由布高校活性化プロジェクト」の「地域貢献プロジェクト」の中で

由布高校は「由布高校活性化プロジェクト」の「地域貢献プロジェクト」の中で

由布高校とは、由布市で唯一の高校で庄内町にあります。由布市内の中学校から進学する学生が多く、射撃部や郷土芸能部などが有名です。

大分県立由布高等学校

由布高校が設けているプロジェクトを通して、由布市の街づくりを提言したり、実際に地域の中でボランティア活動に取り組みます。

また、中学校と由布高校は、一部で中高一貫教育を行うと説明されています。合同生徒会を通じて、中高のそれぞれの取組の共有や、合同でのボランティアを実施も行います。

由布学全体図の矢印のたどり着く先は

そして、全体図の資料では以下内容にたどり着きます。資料の矢印が何を表しているのか正確には分かりませんが、上記で説明したことを実践するために必要なこと、もしくは、実践する目的でしょうか。

・ふるさととの事故の関わりを考えることのできる人づくり
・新学習指導要領の3つの資質・能力を身に付けた子ども育て
・13年間を見通した由布市型連携教育の実践
・由布高校の振興 等

引用:由布学全体図(PDF)

全体像を捉えることで見えてくる疑問

概要ではありますが、由布学の13年間を紹介しました。将来の由布市を地元の子どもたちが繋いでいくための教育方針であり、各校種で連携を取ることも素晴らしいと思います。

ただ、高校までを含めた13年間のカリキュラムであることに疑問を感じました。筆者は、幼稚園、小学校、中学校を湯布院町で育ちましたが、高校は大分市内へ進学しました。理由はその方が将来の選択肢が広がる可能性が大きいと感じたからです。そして実際に他県の国立大学へ進学し、多様な価値観、同世代に刺激を受け、とても充実した時間を過ごすことができました。大分市内の高校を選択したからこその時間だったと思います。

由布市は13年間で地域のリーダー由布の人を育成することを目標としていて、由布市外の高校へ進学した学生は、「由布学」のカリキュラムから外れてしまいます。これは自然と起こり得ることなので、中学校までの10年間でカリキュラムを考えてはどうでしょうか。その上で、由布高校で更なる
由布市への活動、学びができるよという考えだと、より素晴らしい”由布の人”を育てることができると思います。

私自身もそうですが、市外の高校へ進学しても他都道府県に移住しても地元湯布院への想いは変わりません。外を知っているからこそ、地元の魅力や課題を見つけられることもたくさんあります。その様な外にいても湯布院を想う人を力にすることを考えてみてもいいのではと思います。


私たちは、大好きな地元の今とこれからを考える「ユ布院ベース」です。これからの未来をつくる私たち自身が主体的に考え、子どもたちに素晴らしい地元を残していきたいですね。

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