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MAP SYMBOL in Reality ~メディアアート受講記~

こんにちは!
遅筆ながら2本目の記事です。

前回の記事から2か月半ほど経ちまして、記事2回目となる今回は、今年の1月~2月にかけて受講した落合先生の「メディアアート」の授業にて制作したことについてです。学類の専門科目でもありますが、完全に興味本位で選択した授業です。

メディアアート講義の内容

まずこの授業は一言で表すと、作品を制作し、展覧会を作っていくものです。クリエイティブさを最大限に発揮できる内容です。

講義概要(筑波大学教育課程編成支援システムより)

メディア装置の発明を伴う芸術活動が近年盛んに行われるようになってきている.文化的表現の手法として計算機科学や応用物理や生物などの工学的発明を伴った表現について国内外で注目が集まりつつある.本講義では,メディア技術史とメディア表現技術を概観し,斬新な表現方法について考察する.

授業計画(筑波大学教育課程編成支援システムより)

1) メディアアート ってなんだろう? どんなものがある? 何を作る?
2) グループワークの進め方
3) ラピッドプロトタイプング(電子工作とプログラム)
4) デジタルファブリケーション(3Dプリンターとレーザーカッター)
5) メディアアート制作(1)
6) メディアアート制作(2)
7) メディアアート制作(3)
8) 展覧会の設計法
9) メディアアートの展示
10) アーカイブの方法論

この講義は、週2回、火曜日と金曜日の3,4限(12:15~15:00)で開講されていたので、期間中は回を重ねるにつれてどんどんハードになっていきます。(※あくまでも個人の感想です)

1/8 第1回 メディアアートの世界に足を踏み入れる

2020年度は、先のCOVID19の影響で、春Cモジュール(7-8月)から秋Cモジュール(1-2月)に開講時期が変更され、対面からオンラインに変更されていたので、待ちに待った第1回でした。オンラインでありながら、私自身は、面白そうな授業と落合先生はどんな授業なんだろうというワクワクした思い9割、対面でなくてやや残念な思い1割で迎えました。

第1回は、講義概要とメディアアートの概説がありました。

講義概要では、講義の全体像がどういうのかのイメージとして過去の授業(他大学)の受講生による記事を交えての紹介。
※ただし、この記事は対面の時ということもあり、回を追うに従い私が今回受けたものとは内容が異なっていく部分があります

また、この講義がオススメな人についても言及されます。

コンピュータを使って綺麗なものやワクワクしたものを作りたい人
知識のカリキュラムになじめない…
俺にはクリエイティブな才能があるんだ!という人
制作の修羅場をくぐり抜けて強くなりたい人
就職のポートフォリオを埋めたい人

そして、続く概説では、メディアアートには大きく分けて4つのメディアアートがあるという話がありました。

1. 現代アートとしてのメディアアート
2. メディア自体を批評するメディアアート
3. 新しい技術を使ったメディアアート
4. エンターテインメントとしてのメディアアート

メディアアートの具体例として、チームラボや、メディアコンシャス性が高いとして谷口暁彦さんの水滴iPadアートなどの紹介がありました。

また、授業で開く展覧会について、イメージとして他の授業で開かれた窓展が紹介されました。

ちなみに、この授業における制作の進め方は以下のような流れ。

企画立案(テーマ決め)
具体的なアイディア出し
制作にかかわるコストとスタッフを決定
実作業
本番

授業のSlackへの参加や、プロフィールアイコンの設定をやりました。

1/12 第2回 好きなものを1枚のスライドで紹介

第2回は、一人ずつ自分の好きなものを1枚のスライドに敷き詰めたものを見せ話していきました。

ちなみに、私はこんな感じです。好きなもの、好きなエフェクト、好きな番組、好きな食べ物、好きな局などを敷き詰めています。(改めて見ると狂気ですね)

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スライドを見せながら、好きなものについて話していく感じです。地図とか、綺麗な画像とか、ハム太郎とか、テレビとか……

無題2

そして、それぞれのスライドに対して感想をSlackのスレッドに書いていきます。

Web展覧会全体の面では、デザインと運営に班分けしました。私はデザイン班です。デザイン班は6名、運営は11名でした。

1/19 第3回 クリエイティブコーディングとか展覧会のコンセプトとか

センター試験があったので、第3回は1週間後の火曜日です。第3回では、Web展覧会のコンセプト案をみんなで持ち寄りました。そして、結構あっさりと「人生を狂わせた〇〇」がテーマになりました。一際インパクトが強かったので。

その後、Arduino、Python、クリエイティブコーディング(openFrameworks、Processing、TouchDesignerなど)、3D系のプログラミング環境、OpenCV、Mathematicaなどの経験をSlackでアンケートしたうえで、実際にクリエイティブコーディングのフレームワークであるProcessingを触りました。Processing、楽しかったです。面白かったサンプルコードを見つけてスレッドに貼っていきました。

カーソルを当てるとぶるぶる震えてやがて逃げていくもの

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押し花でお絵描き(ドラッグしながらだと筆みたい)

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バネ(弾性がある)

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1/22 第4回 悩む作品構想

第4回では、どんな作品を作りたいか具体的に考えます。最初は地図をVRに組み込むようなことを考えていました。しかし、VRで地図記号を立体的にするのは時間的に壮大過ぎで、どう収めていこうかとの落合先生からの助言を受け、案を練り直しました。地図記号を現実世界に置いた様子を撮ったらどうかといった助言も受けました。私も地図記号を現実に置換するとどうなるか面白いと思い、次回の構想につながりました。

後半では、展覧会のタイトルを考えていきました。そして、授業後Slackでの投票や落合先生の判断で「じンせいヲ狂わセた展」になりました。

1/26 第5回 展覧会のデザインと個人作品の構想決定

デザイン班は、各自で持ち寄ったロゴ案から、落合先生からの助言も交えて、今回のグリッチの効いたロゴを決めていきました。また、メインイラストもこの時に案が上がってきました。

また、この回からWebデザインもスタートし、Webのワイヤーフレームを作成しました。WebはGoogleサイトで制作する方針とかも決めました。

個人作品の構想も、この回には決心して、私は、最終的に地図記号を立体化して現実世界にあてはめてみることにしました。

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1/29 第6回~2/5 第8回 展覧会Webサイト制作

ここからは展覧会全体のWebサイトと個人作品で分けて述べます。

第6回はWeb制作を引き続きやりました。私はConcept Statementの部分をCSSで格闘しました。この結果、Googleサイトの仕様で、CSSで書いたものを適用しても期待通りに動くものができないことがわかりました。そこで、GIFでアニメーションを再現しようと考えました。

第7回では、ヘッダーに出来上がったメインイラストをはめ込んだり、ロゴをはめ込んだりしました。また、この日までに展覧会のWebサイトに載せる個々のプロフィールアイコンを各自用意します。私は、noteのアイコンと同じですが、このアイコンはこのときにIllustratorで作ったものなんです。

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第8回にはWebはほぼ完成しました。Concept StatementはGIF画像で作ることで、Googleサイトでもアニメーションのようなものを実現することができました。GIFはPhotoshopで作りました。

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1/29 第6回~2/5 第8回 個人作品(地図記号の3Dモデリング)

第6回は個人作品の進捗確認です。このころは3Dモデルを作る方法とか考えていて、Autodesk Fusion360とかを試してみていましたが、最終的にはBlenderを使いました。Blenderだと色をつけられるので。

第7回までには、SNSでの広報用に制作風景の写真を用意しました。個人作品はBlenderで地図記号の3Dモデルを制作していたところでした。以下は、図書館の制作風景です。前後左右上下、どの方向から見ても図書館の地図記号に見えるように作っています。

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第8回のときには3Dモデリングがひと段落つきました。以下は、博物館の3Dモデルです。

MAP SYMBOL in Reality - コピー

2/6~2/8 日曜日も現地写真を撮りに

日曜日ですが、写真を撮影しに外に出向きました。博物館、図書館、大学、郵便局などを撮影しました。つくば駅周辺と研究学園、県境にある関宿の3地域に撮影しに行きました。

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写真は、同じ場所で少しずつ角度を変えながらROWで撮影していきました。

プレゼンテーション1

ROWデータなのでかなり容量を使いました。

家に帰って撮影したROWデータの写真をLightroomで取り込み、人を消したりした後、パノラマ球面写真に結合して現像します。

出来上がった球面写真がこちら。博物館の場所(つくばエキスポセンター)です。自動でもかなりきれいにつなぎ合わせてくれました。

博物館

2/9 第9回~2/12 最終回直前 ラストスパート

第9回では、個人作品の題名とかを確認したり、サムネイルを確認したり。また、Googleサイトで個人作品のWebページを作りました。

作品制作は、佳境を迎えていました。360°パノラマ球面写真をBlenderに読み込み、それぞれの地図記号を現実世界にあてはめました。本当であれば、VR動画としてフェードした様子を書き出したいと思っていましたが、動画を書き出すのにあまりにも時間がかかってしまうため、少し方針を変えることにしました。Blenderでは、VR画像を各場面で書き出し、その画像をPremiere ProでつなぐことでVR動画を作りました。これがBlenderで書き出した博物館のVR画像です。8000×4000ピクセルの大きさです。

博物館44

Premiere Proでは、VR動画を編集することができるモードがあります。画質は8Kで、書き出すと、1本1分500MBくらいになります。さすがでかいです。

これをYouTubeにアップロードします。
YouTubeにアップロードするのは初めてでしたが、卒なく上げることができました。YouTubeに上げてぐりぐり動かせる動画になっていてとても嬉しかったです。出来上がった博物館の動画がこちらです。8KなのでVR動画でも鮮明に視聴することができます。

ほかにも8つほど作っていますが、そちらは後程。

Googleサイトで個人作品のWebページの制作も急ピッチで行いました。

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この期間はあまり寝ておらず、早朝まで粘っていました。
ただ、その甲斐があって、私は納得のいく作品を何とか間に合わせることができました。

2/12 最終回 展覧会の公開と個人作品の講評

ついに、最終回。

前半は、展覧会のWebサイトや個人作品の最終確認をしました。

後半は、落合先生による個人作品の講評会。
例年は複数人による共同制作もあるらしいですが、今回はオンラインであったこともあり、個人制作のみでした。
私の作品MAP SYMBOL in Realityは、A+の評価を頂きました。ありがとうございます。

ほかの方も様々な作品を作っていて、小説の文字が執筆されていく様子や、アニメーションを作っていた作品、原文の文字を連ねてプーさんが作られている作品もあり、面白いものがたくさんありました。

制作した個人作品と展示会

私は、MAP SYMBOL in Realityという作品を制作しました。このリンクから9つの地図記号を視聴できます。

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この作品は、地図中に描かれた地図記号たちが、突然現実世界に実寸大で出現した場合のシミュレーションとして、制作しました。

~Hello, Map Symbols~
日本人は無意識に大量の地図記号に囲まれている。単なる幾何学図形を、大学、交番、図書館、県境だと認識している。そして、それらは時として目印となり、またある時は人を狂わせるものでもある。しかし、これらの地図記号が実体を持ったらどうだろう?この作品は、地図中に描かれた地図記号たちが、突然現実世界に実寸大で出現した場合のシミュレーションである。

MAP SYMBOL in Realityにて、現実世界に現れた地図記号たちを、ぜひあなたの目で確かめてみてください。


じンせいヲ狂わセた展は、2月から公開されております。下記のリンクからご覧いただけます。

じンせいヲ狂わセた展

多様で素晴らしい作品が並んでおりますので、ぜひご覧いただければ幸いです。

むすびに

今回、作品制作の修羅場を潜り抜け、かなり大変で濃いめな制作を経験しました。しかし、その分得られた達成感はとても大きいものです。

今回、地図記号で立体化のメディアアート作品を作り上げることができたのは、落合先生のご指導や幅広く深みのある知見からの助言があってのことでした。落合先生にはこの場を借りてお礼申し上げます。

また、この授業は、個人でメディアアート作品を制作するだけでなく、展覧会を学生みんなで創って運営していくという経験もすることができました。

最後に、展覧会や個人作品で様々なご指導や助言をしていただいた落合先生や、一緒に展覧会を創り上げてきた受講仲間の方々、展覧会を創り上げるうえでサポートしてくれたTAさん、そして、展覧会を見に来てくれた皆さんも、本当にありがとうございました。


この授業は知識学類開講の授業としては、最もクリエイティブを追求する授業で、まさに作品制作の修羅場を乗り越えて大きな達成感を味わいたい人にはぴったりな内容だと思います。そのような人は、ぜひ受けてみてはいかがでしょうか。作品も1つ出来上がりますよ!

今回の記事で、筑波大生にはメディアアートをとるかどうかの判断の一助につながれば、そのほかの方には良い暇つぶしになっていれば嬉しい限りです。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

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