「朝起こして!」と親にせがむ子どもが危険な理由
「明日は○○時に起こしてね、お母(父)さん!」と言われたことはあるだろうか?一見、どこの家庭にもある普通の風景のように見えるが、私はこの状態をとても危惧している。その理由とは…。
☆子どもの“計画性“を養う機会を奪っている可能性☆
結論から申し上げると、その子の計画性を養う機会を奪っている可能性があるからだ。「朝起こして」と言われている親御さんは、お子さんの計画性に不安を覚えたことはないだろうか?
例えば…
・宿題がいつもギリギリになる
・テスト勉強になかなか取りかかれない
・テストで「時間が足りない」といつも言っている
などが常態化している場合で、親御さんが朝起こしている場合には、即刻改めた方がいいと思う。
☆背景を説明しておく☆
このnoteの中ではあまり触れていないのだが、私は18歳から塾のアルバイトを始め、そのまま学習塾業界で18年間働いてきた。その間には、様々な生徒、親御さん、家庭環境と接してきたつもりだ。
その経験の中で冒頭に申し上げた通り、「朝起こして」と親にお願いしていることが“常態化“しているお子さんは、多くの場合、上の3つの例に当てはまっている。
☆そもそも子どもが「朝起こして」というのは…☆
“起きる“という行為は、誰にでもできる行為だ。小さな子供だって、自分で目覚めて自分で起きることはできる。それがたとえ、3歳の幼児であっても、だ。
何故ならこれはスキル(技術)の問題ではないからだ。スキルであれば、それを“身に付ける“までは、小さな子にとっては難しいかもしれない。(それも習得さえすれば良いのだが…)
よって、極論「誰にでもできることを、親にわざわざ“お願いしている“」ことに注目しなければならない。
☆何故その時間に起きるのか?☆
子どもだって小学生以上になれば誰だって1日の予定がある。
○時に学校に行くから、○時に起きてご飯を食べて、○時には服を着替えて…
中学生くらいになれば、部活動があったりするので
○時に朝練が始まるから、○時に起きてご飯を食べて、○時には服を着替えて…
という、“意識はしないけど、当たり前にこなすべき予定“があるはずだ。
・家を出る時刻を、到着していたい時刻から逆算して計算し、
・その時刻に家を出るために、準備の時間を踏まえて、何時に起きるべきか
を逆算して計算する
これを、多くの子が自然とこなしているのだ。
☆「親への甘え」という指摘☆
単純に「親に甘えているだけ」という指摘も十分にあるだろう。それは全くもってその通りである。予定の時刻に自分で起きられないとしたら、どうすべきだろうか?
私は、その“課題“に対して“どうすれば改善できるか?“を考えるべきだと考える。
例:○時に起きるには、□時間は眠らないと起きられないから△時にベッドに入って寝よう!
とても身近なPDCA(笑)でもこんな小さなことも、計画性を養う大事な一歩だ。
☆新学習指導要領の3本の柱☆
2020年度から小学生において新学習指導要領が始まっている。来年には中学生で開始予定だ。この中では3本の柱が示されている。
・知識、技能
・思考力、判断力、表現力
・学びに向かう力、人間性
特に注目は、2番目の「思考力、判断力、表現力」だ。既に各県の高校入試問題などでは、知識を問うのではなく、思考力や判断力を問う問題が出てきている。高校入試問題も、ずいぶんと変わってきているのだ。
“失われた20年“を経て、次にどこへ向かっていくのか不透明な今、まさにその時々の課題に思考力・判断力を以って、自らの人生を切り開いていく大人になっていってもらいたい。「朝起きられない」なんて課題は、軽々クリアしてほしいものだ。
☆別の指摘も考えられる☆
朝、起きられない要因を探ってみると別の指摘もあるかもしれない。その代表格は「スマホを夜更けまで使っている」こと。スマホ依存とまではいかなくても、やはり夜遅い時間までスマホやPCを扱い、ブルーライトを大量に浴びることによって起こる子どもたちの不眠症は全国でも後を絶たない。
中学生くらいになれば、子どもよりも親の方が早く寝てしまったりして気づきにくいのだが、子どもが
・朝、自分で起きられない日が続いている
・午前中、ぼうっとしていることが多く、集中力がない
・テストの点数や成績が落ちてきた
・夜が更けてくると元気になってくる
という状態になっていたら、少し疑ってみてもいいかもしれない。子ども自身がスマホによる不眠を自覚しているケースは多くないが、話を聞いて可能性があると思えば、お医者さんに見てもらうのも一つの方法だ。その状態があまり長く続いてしまうと、本当に夜眠れなくなってしまう。ぜひ、その前に助けてあげてほしい。
☆補足☆
タイトルに「危険」と書いたが、仮に自分で起きられなくて学校に遅刻したとしても別に“危険“ではないと思っている。また、親に頼むのが(頻度にもよるが)たまに、まれにというくらいであれば、自分の「起きられないかも?」という不安に保険をかけているだけだと考えられるので、問題ない。
遅刻することが、あるいは起きられないことそのものが危険なのではなくて、その状態を改善しようとせずにそのまま親に頼り切ってしまっているその子の自立性に、問題意識を持ってもらいたいだけだ。
遅刻しても命まで取られるわけではないし、怒られるのは子ども本人なのでねf^_^;親としてはあまりいい気分ではないかも知れないが、そこに手助けをしすぎても改善はしていかないだろう。
より良い人生を歩んでもらうために、明日は起こすのをグッとこらえて、放っておいてはいかがだろうか。
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