大学生が旅とは何かを本気で考えた。2


ある女子大学生が、ゲストハウスに憧れてアルバイトをしました。

バックパッカーに憧れて、ひとり旅をしました。

旅とは何か、経験浅くぺらぺらの頭を使って、でも本気で考えました。

その記録です。


第X章.初海外ひとり旅19歳


大学生活の中で、とにかく数日でいいから海外に行ってみたかった。でも、一緒に行けるような人がぱっと思いつかなかったし、友達と楽しむというよりはただただ自由に、気ままに街を見てみたかった。そんな時、ネットで”ひとり旅の勧め”という内容の記事を読んで、1 人でも、まして女子ひとりでも楽しんでいいんだ!と思えた。自由に行先を決めて、誰にも干渉されずに自分の時間を持てる。そこで見て、聞いて、思ったり考えたりしたことはプラスにしかならない。そう思った。


決めたら行動は早くて、行先は単純に安全で高くないところ。韓国に決まった。西日本を少し回りたくて、大阪から夜行バスに乗り広島へ。その後電車に揺られ友達に会いに大分。バスに乗って福岡、一泊。翌朝福岡から飛行機に乗り韓国へ、韓国で一泊。翌日関西国際空港へ到着。二泊三日の旅だった。
キャリーケースを引っ提げて、スニーカーで自由に歩く。自由に写真を撮る。食べたい物を食べる。こんなに自由って楽なのかと感動すると同時に、自分がいかに普段人といるとき自由でないのかが分かった。気を使いすぎているんだと、そんな気付きもあった。
実は写真を撮るのが苦手だったりもする。通行人が入らないように待つんだけど一向に過ぎ去ってくれない、とか、あの人を撮りたいんだけど勝手に撮っていいかな、とか。いろいろ気にしちゃう。はぁ。頭痛い、、、
現地の人と気軽に話せることが嬉しい。一人だから、お店の人なんかは話しかけてくれる。お土産を何にしようかな、と考えるのも楽しい。今は一人だけど、一人じゃないんだなと思うと、寂しさは和らいだ。確かに、周りを見たらカップルや友達同士、家族で来ている人が多く目に入るから、こんな観光地に 1 人で来るなんて寂しいなと思った。自由で楽しい。でも周りを見ると寂しい。二つの気持ちが同時並行だった。


この旅で一番ワクワクしたのが、韓国にいる時間だった。朝早くに福岡のゲストハウスを出て、福岡空港に向かった。天気は気持ちがいいほどの晴天、空気は清々しかった。手続きを簡単に済ませ、ターミナルへはバスで向かった。乗客はほとんど韓国や中国からの人で日本人は少なかった。これが夏休みや休日だったら日本人ももう少し居たのかもしれない。でも、そのおかげで私は今から外国に行くんだという実感がわいてきた。

そして、あ、なんだ意外と簡単に一人でも行けちゃうんじゃんとも思った。

ターミナルに着き、観光などの調べものをしながら搭乗時刻まで待った。韓国での目的は、観光でも買い物でもなく街を歩くこと。それが出来れば満足だった。街の雰囲気や人の暮らしを垣間見れることができれば、それでよかった。(と言いつつも、買い物からグルメまでたくさん楽しむことになるのだけれど)
飛行機は日本の会社ではなかったが、何も問題は無かった。福岡からだから、一時間ほどのフライトで空港に着いた。

それにしても、空港にいるときのあの開放感は一体何なのだろう。スーツケースを転がしながら歩いているだけで、自分はどこにでも行けるしなんにでもなれるというなんの根拠もない自信が湧いてくる。すごく気持ちがいいよね。今日本にいる自分がいったんリセットされる感じ。だから旅は必要なのかもしれない。


小腹が空いたのでコンビニでおにぎりと飲み物を買ったのだが、如何せん店員の態度が無愛想すぎだと感じた。残念というか、え?って思った。うーん、日本が丁寧すぎるのだろうね、きっと。もし私が店員をするんだったら、このくらいでもいいって、なんか楽だなと思った。不愛想でもいいって、すごい楽だなって。
有名な観光地や綺麗なビルを見るんじゃなくて、現地の人の生活やローカルな部分を見たいと思っていた。だから街の市場に行ってみた。
そこの市場は、キムチ・海鮮・お茶などの食料品から服や雑貨なり何でも売っていた。屋台もたくさん出ていてトッポギやおでん、お餅やお菓子など豊富に揃っていた。細い路地をくぐり抜け、海鮮やキムチが混ざった香りをかぎながら歩くと、おじちゃんやおばちゃんが話しかけてくる。韓国語が分からない顔をすると、英語に切り替わる。背が高くて肌の色が白いからだろうか、韓国人に見られることが不思議と多くてなんだか得した気分になった。

おでんなりお餅なりをつまんでお腹が満たされたので、宿に向かった。今回もゲストハウスを選んだ。きれいなホテルの一人部屋に泊まる必要はないし、最低限綺麗なベッドとシャワーがあればいいと思っていた。それに一泊 3000 円くらいなのはとても安い。フロントでチェックインを済ませ案内してくれたのは韓国人のオーナーさんだった。部屋は女性専用のドミトリールーム。確か二段ベッドが一部屋に 4 つあったから、8 人部屋ということになる。ただその時は誰もいなかったか、誰か寝ていたくらいで部屋は静かだった。
オーナーさんは話しかけやすくて、気さくで、適度な距離感があって、その人も宿も居心地が良かった。そのオーナーさんがその日泊まっていた日本人を紹介してくれて、交流するきっかけも作ってくれた。

適度な距離感というのは、あなたの手を止めるほどではないけれども共有している時間を楽しみましょうというほどのものだと感じる。お互いがお互いを引き留める理由はないが、でもそこに一緒にいる時間のちょっとした会話や挨拶が、特に一人で旅をしているような人にとってはすごく安心するし、心温まるきっかけになると思う。私を含めひとり旅をしている人は、自由な選択肢をいつまでも残しておきたいのではないだろうか。自分のその日の気分や思いつきに任せて行動をしたい、学校や仕事は決められた通りに動くものだけど、その当たり前を一回取り払って、そんな贅沢な時間を味わいたい。

自由な時間は、いつになっても贅沢だ。


朝食を食べないで、宿を出た。散歩をしながら食べたかったから。泊まっていた街はソウルの中心から少し離れたミョンドン―若者の街だ。そこの建物はグレーのコンクリートでできたシンプルなビルが多く、そこにレンガ造りの塀がアクセントを加えていた。その塀はたいていカラフルな落書き、でも可愛いストリートアートが描かれていることが多かったから、シンプルなビルと対照的でなんとも可愛らしい景観をつくっていた。透明感を出すのは空気だろうか、朝もやがかかったようなベールは街全体を包み込んでいて、新鮮な印象を受けた。色で例えるならば、透明なグレー。コンクリートの建物に朝もやがかかり、近代的な、でもどこか親しみを覚える。そんな清々しい朝に散歩をしていると、焼き立てのパンのいい香りがしてきた。棚にたくさん並んでいる中から選び、歩きながら食べる。なんとも気持ちがいい時間だった。
帰りの飛行機はお昼過ぎだから、そろそろ空港に行かなければならない。後ろ髪を引かれながら、初海外ひとり旅は終わりました。

帰ってきて、自分の生活に戻る。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー現在ーー


結局あれは、内省の時間だったんだ。

リフレッシュ、見直し、リセットボタン、その時間が必要な時期だったのか ?


とにかく、

自己に敏感になっていただきたい。外界ではなく。

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