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ハンドボールの投球動作のレビュー論文から考える⑨

ハンドボールの科学は週に2〜3回に更新にします!頑張って書き上げていくので,是非シェアしていただけると嬉しいです!

ハンドボールの科学は,エビデンスベースでハンドボールに関わらず,幅広い分野の研究からハンドボールに応用して

☑︎明日の練習に生かす!
☑︎明日の指導に生かす!

ためのnoteです!是非,ご活用ください!

また,ハンドボーラーのためのオンラインスクール『Kocs-コチ-』で運営にも携わっております.そこでは,様々な選手やコーチ,保護者の方々と意見交換しながら,よりよりコーチング方法やスキルアップ方法をインプット⇄アウトプットしています.ご興味がある方は,公式SNSからDM✉️お待ちしています!

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文献情報

タイトル
Throwing speed in team handball: a systematic review

著者
Helena Vila & Carmen Ferragut

ジャーナル
International Journal of Performance Analysis in Sport Volume 19, 2019 - Issue 5

リンク
https://www.researchgate.net/publication/334795261_Throwing_speed_in_team_handball_a_systematic_review

まとめ
https://note.com/yudai0531/n/n44e42e62eec8

方法
https://note.com/yudai0531/n/n44e42e62eec8


わかったこと!

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この研究の現場への活かし方

 今回のこの論文は,レビュー論文なので複数回に分けてnoteを書き上げていきます!このレビュー論文では,64本ものハンドボールの投球動作に関する研究をまとめ上げたものです!

 ハンドボール以外にも投(球)動作は,これまで多くのバイオメカニクス的研究がなされてきました.その中でも,多いのが野球のピッチング動作を対象とした研究で,投球速度向上や制球力,肩や肘の障害予防などの観点から様々な知見が得られてきました.ハンドボールにおいても,野球の研究数よりは少ないですが,非常に多くの研究がなされています.少し残念なのが,投球腕や体幹の動きに着目したキネマティクス(位置や角度や速度など)的な研究がほとんどです.一方,ボールに加えられた力やパワーという観点からキネティクス(力)的研究はあるものの,投球腕などに着目してその関節トルクなどを報告した研究は非常に少ないです(若山ら, 2014; Hillary et al., 2016).今後,両面の研究が増え,さらに”ハンドボールの投球メカニズム”という霧が晴れていくことを期待しましょう!
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 さて,今回は「球速を速くするための身体の特徴とフォームについて」という観点でお話ししましょう!
 
 是非,最後までご覧になっていただけると・・・筆者が驚くほど喜びます🤣.いいねやコメントをくれたら泣いて喜びます😭.

 前回の記事では,『どうして球速に男女差が生まれるのか?』と『球速とコントロールの関係』について触れましたね!

前回記事:https://note.com/yudai0531/n/n93fd7c760b93
<前回のPOINT>
✔︎競技レベルが高い試合選手の試合中のシュートはどの位置においても100キロの速度はでない!

ここまでが前回までのお話でした!
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 さて,本題です!今日も試合中の球速についてです!

 前回はハンドボールの試合中のシュート(今回は男子に限る)を追跡した研究では,100キロのシュートなんて観測されず,およそ85キロ程度でした!この事実は知っておいて損はないと思います.また,球速のモニタリングはした方がいいこと,ハンドボールにおける球速の閾値を調査する必要があるかと思います.

 今回も同様に男子の世界選手権(2013)を調査した研究の結果を見ていきましょう!

 Cortés et al.(2017)は,計47試合,3214投を調査したところ,前後半で球速は変化せず,得点したシュートと得点できなかったシュートでもその差はなかったようです.ただ,かなりの量のn数なので,もう少しカテゴリ分けしたいったりすれば,結果は変わる可能性があります.

 多くの研究者が,「シュート成功率を高めるためには”球速”は重要である」と述べていますが,今回のデータから見るとそれが絶対ではないことがわかります.ただし,一定上の球速があってこその情報なので,「やっぱり,球速より,戦術でしょ!」とは安易には言えませんね.また,Rivilla-García et al.(2011)とRivilla-Garcia et al.(2011)によると,シュートする人へ障害物があるかないかで球速が変わることを報告しており,障害物ありの条件では,球速は低下するようですね.また,このレビュー論文の著者らは,このデータから球速は「認知的作業量(cognitive workload)の量によって,ボール速度が低下するのかも!?」と述べています.

 認知的作業量(cognitive workload),換言するとシュートする前の状況判断の多さが球速の大小に影響を及ぼすということです!

 ここから考えるに,認知的作業量(cognitive workload)はどうしてもゼロにすることができないと仮定すると,以下のようなことが球速の観点での指導が求められると考えます.

①ノーマークシュートをメイクするための戦術の考案
②認知的作業の処理能力の向上

 こう思うと当たり前のことですね(笑).でも,球速の観点でこの論にたどり着けたのは,個人的に大きな発見であると感じます!
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 ハンドボールを徹底的に学び合えるオンラインスクール「Kocs -コチ-」では,ハンドボールの投球動作に関する情報としてZoomでセミナーしたりしてます!
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それでは!

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■ 名前
鈴木 雄大(すずき ゆうだい),MS,NSCA CSCS

■履歴
・日本体育大学 体育学部 健康学科(体育学)
・日本体育大学大学院 コーチング学専攻 博士前期課程(コーチング学)
・現職 青森県スポーツ科学センター スポーツ科学専門員(動作分析分野)

■大学院博士前期課程での研究テーマ
「ハンドボール選手の投球動作の3次元動作分析とバイオメカニクスを活用した指導法の構築」

■研究業績
・試合における大学女子ハンドボール選手のジャンプシュート動作の3次元分析(単著)_ハンドボールリサーチ,2020

■ハンドボール指導歴
・高校男子(2014〜2015)→ 高校女子(2015〜2020)
・日本体育大学女子ハンドボール部 アナリスト(2018〜2020)


 

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