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方向転換動作で重要な観点をキネマティクス変数からみる

 クオリティの高い文章を書きたいところですが,それはおいおいやっていこうと思います.このブログでは,エビデンスベースでアジリティ能力についての私の考えをメモのような感じで,綴っていこうと思います.なお,メモとしての残すので,敬語でないのはご理解ください🙇

 さて,ここからが本題.

目次

  1. 論文のタイトル

  2. 気づきと学び

論文のタイトル

バスケットボール選手の予測不可能条件下におけるサイドステップが
切り返し動作中の下肢および体幹に及ぼす影響

体育学研究,2019
亀田ほか

 この研究からの学びを綴るのは本記事でラストにして,次なる研究をもとに考えを指導への示唆を見出してみる.

 この研究の結果から,kinematicデータの特徴も理解することができたが,コーチングすることができるkinematicsの部分に本記事では着目してみよう.

 結論から言うと,事前に方向転換予測ができない場合やそもそも方向転換が遅い人の動きの特徴は,

❶予測不可の場合,ブレーキングが下手くそになり,身体重心速度を鵜なく減速ができない.そのため,移動方向と逆方向に体幹が側屈しやすい

❷同じブレーキングの問題で,水平面の地面反力が大きくなり,より強く減速を行うために,股関節と膝関節をより屈曲せざる負えなくなる

❸移動方向に下腿が内傾せずに,効率よく加速できない

 まず,❶についてだが,この研究の考察部分の文章をそのまま引用すると,こんな先行研究も紹介されている.

Lee et al.(2017)は,直線走から右90度方向への方向転換を行う課題において,予測可能条件では,予測不可能条件よりも,右方向(転換方向)へ体幹を傾斜させていたことを報告している.

 また実際のデータをみても,Pre条件が基本的には直立で,離地にかけて徐々に移動方向に体幹を傾けているが,予測不可条件では10度程度,Pre条件よりも体幹が逆に側屈してから急激に移動方向に傾けているのがわかる.これは,時間のロスにつながってしまうことだろう.

 次に股関節と膝関節であるが,データをみると以下のようであった.

実線が予測不可条件であるが,どちらの関節も屈曲角度が大きい.次の方向に切り返すのに本来十分である角度を超えて屈曲せざる負えない状況にあったということだろうか.つまり,うまく減速できなかった分,より下肢を屈曲させてブレーキをしていたということだろう.著者の言葉を借りれば,

本研究では,Un条件において切り返し動作中盤以降に,股関節および膝関節をより屈曲したことが切り返し局面時間の延長につながったと推察される.切り返し足接地時に身体重心速度が高値を示したUn条件では,身体重心速度を減速するために,切り返し動作中盤以降に下肢関節をより屈曲させなくてはならなかったと考えられる.

 最後に❸であるが,下腿の内傾は方向転換にとわず,身体の高速移動運動において極めて重要なコーチングアイ・ポイントであると考える.

どのみち,一度下腿は切り返し中期に垂直に近づく.その後,移動方向へ倒していく.だが,Pre条件では事前に条件がわかっている場合よりも,切り返し初期から,移動方向へ内傾が大きくなる.このように,事前に条件がわかる場合は,接地の時点で運動がより効率化する.

コーチングへの示唆

 これらの特徴を活かしながら,試合中の方向転換動作を観察し,動きの特徴が一致しているかどうかという観点でチェックをする.その特徴がみられない場合,1)この研究で明らかになった以外の部分にパフォーマンスの差が生じていた,2)キネマティクス変数の違いを疑うことができよう.

 また,トレーニングでは,方向転換指示をしてあげるタイミングを調整してあげるなどをして,より素早く効果的に即時判断のもと,動きが実施できるように訓練すべきかと.著者は,以下のように述べている.

矢印呈示のタイミングやサイドステップスピードを変化させ,負荷を調節しながらトレーニングをすることが重要であるといえる.これらをトレーニングすることで,姿勢の安定性を大きく損なうことを防ぐことができるといえるだろう.

 また,継続的にブレーキングテクニックのトレーニングやエキセン筋力トレなども重要となるだろう.

 以上!

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