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2021年12月07日の脚本「配達の踊り人」

脚本の練習のために60分で書き上げた脚本をアップしていきます。
ぜひ演技の練習などで使ってください。

ランダム単語で出たのがこちら。

今回はそれをテーマとして書きました。

「配達の踊り人」(脚本)

脚本形式のファイルはこちらからどうぞ。

登場人物表

江原麻里奈(20)…元バレエ団員・フリーター
片瀬春菜(20)…バレエ団員
小鳥遊直人(18)…フリーター
石山圭吾(30)…麻里奈のバイト先の社員
先生

※基本的には男1女1のやり取りが多いです

あらすじ

バレエ団の江原麻里奈(20)はケガでバレエ団を退所して、絶望した
毎日を送っている。ある日、直人と出会い、もう一度人生をやり直す
ことを決意する。

〇脚本本文(横書き)


〇 バレエ団・スタジオ内

軽やかに飛び、舞い、バレエ踊っている、団員たち。

〇 バレエ団・スタジオ・外観

窓から、クラシックの音楽が鳴っている。

看板には「立花バレエ団」と書かれている。

その前を自転車で走る、江原麻里奈(20)。麻里奈は配達屋の恰好をしている。

〇 道

自転車で走る、小鳥遊直人(20)と。

曲がり角を曲がると麻里奈は直人とぶつかる。

転がる麻里奈。

倒れる直人。

直人「いってぇ…」

道には麻里奈の配達用のチキンが転がっている。

倒れたままの麻里奈。

上を見ると、太陽が麻里奈を照らしている。

麻里奈「…」

直人「(麻里奈の顔を覗き込み)大丈夫…?」

直人の顔が目の前にある麻里奈。

麻里奈「…」

〇 病院・外観


〇 同・待合室

ベンチに座っている直人。

麻里奈「ありがとうございました」

病室から出てくる麻里奈。

直人「大丈夫?」

麻里奈「…どうもすみませんでした」

石山圭吾(30)がやってくる。

圭吾「江原さん」

麻里奈「?」

圭吾「接触事故って…」

麻里奈「ああ…」

圭吾「こちらの方?!」

直人「僕は大丈夫ですよ。丈夫なんで」

圭吾「うちのしがないバイトが大変失礼いたしました」

直人「いえいえそんな。僕もよそ見していたので」

圭吾「ほら、頭下げて」

直人「いやいいですよ」

圭吾「そんなわけには」

麻里奈の頭を無理くり、下げさせる圭吾。

圭吾「大変申し訳ございませんでした」

麻里奈「…」

直人「…」

圭吾「治療費はこちらがお支払いしますので」

直人「…」

圭吾「ほら、ちゃんと謝って」

もう一度、麻里奈の頭を無理くり、下げさせる圭吾。

麻里奈「どうもすみませんでした」

圭吾「大変申し訳ございませんでした」

直人「…」

〇 道・バレエ団前(夕)

トボトボ歩く麻里奈。 

ふと立ち止まる。

クラシックの音楽が聴こえてくる。

窓からは片瀬春菜(20)が練習している姿が見える。

麻里奈「…」

直人がやってくる。

直人「あの…!」

麻里奈「?」

直人「これ」

直人から小袋を渡される、麻里奈。

袋の中には麻里奈が配達しようとしていたチキン。

直人「無事だったやつ」

麻里奈「…いりません」

直人「え?」

麻里奈「もうクビんなったので」

直人「それ、僕のせいっすよね?」

麻里奈「…事故のせいです」

直人「じゃあ僕のせいじゃないですか」

麻里奈「…」

直人「すみません」

麻里奈「なんであなたが謝るんですか?」

直人「いや、さっきもあの人が無理やり謝らせたじゃないっすか」

麻里奈「別に大丈夫です、もう会いませんから」

去ろうとする麻里奈。

直人「待って」

チキンの袋を見せ

直人「これ、一緒に食べませんか?」

麻里奈「?」

直人「謝罪はいらないので、一緒に食べて欲しいんです」

麻里奈「…」

〇 公園(夕)

ブランコに乗っている麻里奈と直人。

缶ジュースとチキンの袋が地面に置かれている。

チキンを頬張る、直人。

直人「これ、美味しいですね」

麻里奈「…」

直人「バレエやってたんですか?」

麻里奈「?!」

直人「なかなかいないですよ。あんなとことで立ち止まる人」

麻里奈「…」

直人「お姉さんも訳アリですね」

麻里奈「お姉さんって…」

直人「だからなのかなぁ…」

麻里奈「?」

直人「なんか、お姉さんのこと、気になって」

麻里奈「…」

直人「俺、中学の時、ずーっと野球部だったんです。で、肩壊しちゃって。それで野球辞めたんです。高校に入って、サッカー部に入ったら、今度は膝壊しちゃって。それでスポーツ諦めたんです。どっちも大好きで、いい線行ってたのに、おかげで高卒でフリーターですよ」

麻里奈「…」

直人「頑張れば努力は報われるってよく言うじゃないですか?あれは絶対

 ウソですよね」

麻里奈「それは…そうだね」

直人「お姉さんもケガで?」

麻里奈「まぁ…」

直人「そっかぁ…そうだったんすね…。じゃあ、もう見れないのかぁ…」

麻里奈「…え?」

直人「ほら、俺もウーバーなんで。この辺よく通るんですよ。だから、あなたが踊っているのがいつも見えて」

麻里奈「…」

直人「夜遅くまで今日も頑張ってるなぁ~…俺も頑張るかぁ…って。あの人の頑張りは報われるといいなぁっていつも思ってたんです」

麻里奈「…」

直人「最近見ないなぁ…と思ったら今日ぶつかったのが…」

麻里奈「…」

直人「ドラマみたいな話っすよね」

麻里奈「…これがドラマなら、この後の展開って何?」

直人「え…んー…えっと…恋、ではないっすね。たぶん…いや、俺の希望は主人公が諦めかけた夢を追いかける~とかですかね?」

麻里奈「それ希望すぎるでしょ」

直人「まぁ、そうっすね…」

麻里奈「ドラマでなら、そうかもね。でも一度ダメになったものは簡単にもとには戻らないよ」

直人「じゃあこういうのはどうっすか?主人公は出会った若き青年のためにもう一度、最後に最高の踊りを披露する」

麻里奈「…」

直人「ダメっすか?」

麻里奈「…」

直人「俺、一応あなたのファンなんですけど」

麻里奈「私の踊りはそんな安くないの」

直人「やっぱ現実はドラマみたいにはいかないっすよねぇ…」

麻里奈「…」

直人「じゃあさっきの」

麻里奈「?」

直人「実はファンだった主人公の青年と恋を始めるっていう物語は…ナシっすか?」

麻里奈「……(微笑みながら)無しだね」

直人「(微笑みながら)ですよね」

〇 バレエ団・スタジオ内

T「一年後」

掃除をしている、麻里奈。

春菜「麻里奈~。次の公演のことなんだけど」

麻里奈「うん」

 麻里奈の周りに団員が集まってくる。

〇 道・バレエ団前

自転車で通る、直人。

ふと立ち止まり、窓から見える麻里奈の笑顔を見て、再び

自転車で走り出す。

                              (了)

本文ダウンロードしたい方や、脚本で読みたい方はこちら。


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