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認知症に随伴する拒食…どう対応する?

皆さん、こんにちは!!
急性期でスーパーSTを目指すyuccoです。
STの仕事と育児、脳外臨床研究会での活動に奮闘中です♫

脳外臨床メンバーから皆さんのもとに、皆さんから患者さんのもとに熱い想いと質の高いリハビリが届くように、バトンを繋いでいます。
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《はじめに》

認知症になるとだんだんと意欲が乏しくなり、食事に対する興味や食欲も低下してきてしまい、食事に対して拒否の意思表示をされることがあります。
特に、アルツハイマー型認知症の患者さんは末期まで嚥下機能は保たれているにも関わらず、食事を拒否するために必要カロリー水分の摂取が困難となります。

家族や医療従事者が、最後まで口から食べて欲しいという望みは本人にとって苦痛なのでしょうか?
なぜ、食事を拒否するのかの原因追求をしながら考えていきたいと思います。


《認知症による摂食・嚥下障害》

認知症とひとくくりにいっても、認知症のタイプ(原因)別に診断基準があり、摂食嚥下障害の特徴も異なってきます。
また、同じタイプの認知症でも、個人の性格やこれまでの生活にも影響を受けるため、決めつけることはできませんが、おおまかな特徴を知っておくとアプローチのヒントになると思います。


●アルツハイマー型認知症(AD:Alzheimer's disease)
嚥下機能は末期まで保たれることが多いですが、偏食や食べたことを忘れることがあります。徐々に進行してくると、食具の使い方がわからなかったり、異食や拒否がみられます。
また甘味に嗜好が偏る患者さんも多く経験します。
終末期では食事を拒否するかのように経口摂取をしなくなることが多いです。


●レビー小体型認知症(DLB:dementia with Lewy bodies)
1番の特徴は、早期からパーキンソン症状が出ることであり、ドーパミンの不足による咳反射、嚥下反射閾値の上昇のため、不顕性誤嚥(むせない誤嚥)に注意する必要があります。
認知機能の影響やパーキンソン症状の変動、内服の有無により嚥下機能も浮動する可能性が高いです。
幻視があり、エプロンや食具は柄のないものが適しています。
終末期は、経口摂取量が極端に減少します。


●脳血管性認知症(VaD:vascular dementia)
多発性の脳血管障害により、仮性球麻痺など嚥下機能に影響する場合があり、誤嚥や肺炎へのリスク管理が必要です。
老年期認知症判定と対応(NS-I)にて、認知症の進行に伴い、どんな摂食嚥下障害の問題が顕在化してくるのかが下記表で確認できます。

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《食べない原因①:身体的要因》

上記タイプ別の摂食嚥下機能の要因だけでなく、食事を拒否するときの理由の1つに腹痛や吐き気、便秘などの身体的要因も大きく関わってきます。

認知症に随伴し言語障害を伴っていると、なかなか症状を訴えることができずに悪化するまで見逃してしまうことがあります。
圧痛がないかどうかや便が出ているかなども確認しましょう。

便秘に対してのリハビリの方法はyucco《セミナーレポート&動画》にて、脳外臨床研究会山本先生のミニセミナーがありますので、アプローチする上での3つのポイントを学んでみてください❣️


《食べない原因②:嚥下機能の低下》

食べない原因の一つに嚥下機能も大きく関わってきます。
特にレビー小体型認知症や脳血管性認知症では嚥下機能評価が必須です。
むせて苦しい、飲み込みにくくて食べたくない、食べるとしんどくなるなどの嚥下機能低下の要因から食事量が減ってしまいます。


まずは嚥下機能評価‼︎
そして、適切な食物形態の選定にて安全に必要カロリーを摂取した上で、リハビリにて機能改善を考えていきます。
今までのブログにも掲載しているので、是非参考にしてください。

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